装飾クロムめっきとは字の如く装飾を目的としためっきです。
皆さんが一番目にされているめっきだと思います。
例えば車のハンドルについているエンブレムやバイクのハンドル、自転車の荷台や石油ストーブの反射板などに使われていますので皆さんも一度は目にされているのでは無いでしょうか。
クロムめっきの歴史
1848年に塩化クロムの水溶液からクロムの薄膜を得たのがクロムめっきの始まりと言われています。その後様々な研究がされ1920年にクロム酸と硫酸クロムの溶液からのクロムの電析について報告されました。
この報告がクロムメッキの基本になっています。
装飾クロムめっきとは具体的にどのようなめっき処理なのでしょうか?
装飾クロムめっき(通称ニッケルクロム)とは、ニッケルめっきとクロムめっきの2層仕立て(積層)のめっきを装飾クロムめっきと呼ばれております。
表層は耐食性に優れたクロムめっきで仕上げるのですが、このクロムメッキ自体光沢性のあるめっき皮膜では無いため、下地に光沢性の優れたニッケルめっきを施す事で美観性(意匠性)を持たせ、耐食性に優れたクロムめっきでめっき皮膜の保護する目的で処理されます。
装飾クロムめっき(ニッケルクロム)イメージ断面
装飾クロムめっきの外観や色目はどのような外観になるのでしょうか?
装飾クロムめっきの外観は先にお伝えしたように光沢性のある外観です。
言葉で表現すると鏡面(素地の状態にもよりますが、ある程度綺麗な素地ですと顔が写るくらい綺麗な外観の状態になります。)となります。
装飾クロムめっきの色合いは、青白いシルバー色です。
ただし、クロムめっきはつき周りが悪いめっきのため電気の届きにくい影になるような部分は黄色く見えることがありますが、それはクロムめっきがつき回っていない事が原因です。
装飾クロムめっき(ニッケルクロム)と硬質クロムめっき(工業用クロムめっき)は別物です。
装飾クロムめっきと間違えやすいめっきとして硬質クロムめっきがあります。
どちらもクロムめっきを施すため名前も装飾クロムめっき、硬質クロムめっきとよく似ておりますが、実は異なる処理なんです。
装飾クロムめっきと硬質クロムめっきの違いを説明していきましょう。
簡単に表現しますと、硬質クロムめっきはクロムめっき皮膜のみ、もしくは下地にニッケルを施した場合でもクロムめっきを厚く処理した皮膜が硬質クロムめっきです。それに対し装飾クロムめっきのクロムめっきの膜厚は非常に薄く1μm以下です。硬質クロムめっきは数μm〜数mmまで処理を行いますので、膜厚が大きな違いとなります。
クロムめっきは装飾クロムめっきと硬質クロムめっきに大別されていますが、JIS規格では皮膜硬度750HV以上、膜厚2μm以上が工業用(硬質クロムめっき)とされています。
まとめ
クロムメッキとしては、装飾クロム(ニッケルクロム)も工業用クロム(硬質クロム)も本質的な相違はなく、使用目的が装飾以外のもので比較的厚いメッキを工業用クロムメッキと区別しています。(JIS8615 では2μm 以上と規定)
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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