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​錫(スズ)メッキ

 

錫メッキ(スズメッキ)は、耐食性や導電性、はんだ付け性に優れた表面処理技術として、電子部品や食品容器、装飾品など幅広い分野で活用されています。特に電気錫メッキでは、銀白色で展延性に富むスズを用い、光沢スズメッキや無光沢スズメッキといった多様な仕上げが可能です。

電気の力で被めっき物の表面に均一なスズ皮膜を形成することで、素材の耐久性と機能性を高め、RoHS対応製品の製造にも適しています。長い歴史の中で培われた錫メッキの技術は、現代の高度な電子機器や自動車部品にも広く採用され、信頼され続けています。

錫めっきの主な種類と技術特性

​​​​無光沢錫メッキ

無光沢錫メッキは、微細な粒子が積み重なったような粗い柱状結晶構造を持つため、銀白色から灰色にかけての落ち着いた、光沢のない外観を呈します。その最大の特徴は、HV9(当社測定)という非常に低い皮膜硬度です。

 

優れた柔軟性により、折り曲げなどの物理的な力が加わってもクラック(ひび割れ)が発生しにくいという利点があります。

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光沢スズメッキ      

光沢錫メッキは、鏡面のような滑らかな表面と、鮮やかで美しい光沢を持つことが最大の特長です。

その外観は、製品に高級感や清潔感を与えるため、デザイン性を重視する用途にも適しています。

 

また、無光沢錫メッキと比較して皮膜硬度がHV40〜60と高いため、優れた耐摩耗性を発揮します。これにより、コネクターのような頻繁な挿抜が求められる部品においては、メッキ層の摩耗を防ぎ、長期にわたり安定した接触信頼性を維持することができます。

​錫合金メッキ(半田メッキ)

錫合金メッキは、錫に他の金属を意図的に組み合わせることで、単体の錫メッキでは得られない多様な特性を付与する表面処理技術です。組み合わせる金属の種類や組成比率を調整することにより、耐食性、硬度、耐摩耗性、電気特性、はんだ付け性、耐ウィスカ性など、様々な機能を向上させることが可能です。

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例えば、錫と鉛の合金メッキ以下のような効果が期待できます。

錫と鉛の合金メッキは融点が低く、はんだとの濡れ性が良いため、確実な接合を形成しやすく、また錫単体で懸念されるウィスカの発生を抑制する効果があります。

しかしながら、近年ではRoHS指令(特定有害物質の使用制限に関する欧州連合の指令)により、電子機器への鉛の使用が原則禁止されたため、錫鉛合金メッキの利用は大幅に減少しています。​​​​​​​

錫メッキの特性

​耐食性

錫メッキは、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸などの有機酸に腐食されにくいため、鉄板にスズメッキを施したブリキとして缶詰、屋根、容器などに利用されています。


少し変わった耐食性の向上方法として、光沢ニッケル無電解ニッケルメッキの上にスズメッキを施した後に熱処理を行う事でスズーニッケル金属間化合物を形成し、より耐食性を向上させる方法もあります。

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はんだ付け性

錫メッキは融点が低く、他の金属と容易に合金を形成するため、はんだ付け性に優れています。チップ抵抗器やチップコンデンサーの電極に錫メッキを処理する事で実装時のハンダ接合性を向上させます。

潤滑性

錫メッキは潤滑性があるため、錫メッキを施すことで、摩擦を軽減し、潤滑性を良くすることができます。ベアリングなどの潤滑性を目的とした部品に使用することで、摩擦力が軽減されるため、摺動部の滑り性向上に有効です。

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装飾性​

光沢錫メッキは銀白色の美しい光沢のある外観になります。この外観を利用して装飾目的で錫メッキを施すこともあります。食器や仏具などの表面に錫メッキを施すことで、高級感のある仕上がりになります。

光沢錫メッキ以外にも、スズ-コバルト合金めっきやスズ-ニッケル合金めっきなどが装飾目的で使われる場合があります。スズ-コバルト合金めっきは装飾クロムめっき似た青白い色調、スズ-ニッケル合金めっきがピンクがかったシルバー色です。ニッケルアレルギー対策用ようとして銅-スズめっきなども実用化されています。

 

​食品衛生​

錫は、人体に毒性が無いため、食品や飲料と接触するような容器などにも安心して使用することができます。毒性が無いだけでなく、「錫の杯は酒の毒を消す」「錫に入れたお水は腐りにくい」と言われるほど、錫には殺菌作用がある事が古くから知られています。錫メッキには錫同様の抗菌作用があるため、食品容器や食品製造機器などの表面に錫メッキを施すことで、食品衛生を向上させることができます。

 

RoHS対応

錫は、RoHS指令で規制対象となる有害物質を含まないため、欧州市場への製品輸出を容易にします。

▶ RoHSについて 詳しくはこちら

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錫メッキの欠点

錫メッキは、優れた導電性、耐食性、はんだ性などを有する一方で、いくつかの欠点も持ち合わせています。

融点が低い

錫メッキは、融点が232℃と低いため、高温環境で使用できないという欠点があります。例えば、高温になるエンジン部品や半導体製造装置などには使用できません。また、はんだ付け時の熱にも弱いため、高温のはんだを使用すると、錫メッキが溶けてしまう可能性があります。

柔らかい

錫は柔らかい金属であるため、摩擦や衝撃に弱く、傷がつきやすいという欠点があります。特に、硬い物質との接触や、頻繁な摩擦を受けるような環境では、すぐに傷が付いてしまいます。傷が付くと、そこから腐食が始まる可能性もあり、耐食性が低下してしまうという問題もあります。出荷の際にも製品を紙などで包んでしまうと輸送時の振動でメッキ面と紙が擦れて傷の原因となりますので、出荷時の梱包にも注意が必要です。

酸化しやすい

錫は空気中の酸素と反応して酸化しやすい金属です。そのため、酸化を防ぐために、表面に保護膜を形成する必要があります。しかし、保護膜は時間の経過とともに劣化するため、定期的なメンテナンスが必要となります。

ウイスカの発生

錫メッキは、表面にヒゲ状の錫単結晶であるウイスカが徐々に自然成長することがあります。ウイスカは短絡などの原因となるためウイスカの発生を抑制するメッキ処理が必要です。​​

 

▶ ウイスカについて 詳しくはこちら

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錫メッキJIS規格(JIS H8619)

JIS H 8619は、電気部品などのはんだ濡れ性や防食性を向上させる目的で、金属素地の有効面に施す電気すずめっきについて規定した日本工業規格です。

この規格の対象となるめっきには以下が含まれます。

  • 光沢すずめっき(光沢剤を使用した電気すずめっき)

  • 無光沢すずめっき(光沢剤を使用しない電気すずめっき)

  • 電気すずめっき後に溶融処理を行い、光沢化させた溶融光沢すずめっき

これらはいずれも、有効面(製品の機能や性能に関わる部分)を対象とし、はんだ付け性や防錆性を高めるための仕様が定められています。

▶ JIS H8619について 詳しくはこちら

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