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​錫(スズ)メッキ

 

錫メッキは、古くから金属表面の保護や装飾に用いられてきた伝統的な表面処理技術です。近年では、その優れた特性から、電子機器や自動車部品など、様々な分野で広く利用されています。

​目次

1.錫メッキとは?

2.錫メッキの種類

 2.1. 無光沢錫メッキ
 2.2. 光沢錫メッキ
 2.3. 錫合金メッキ(Sn-Pd,Sn-Ag,Sn-Bi,Sn-Cu)
 2.4. 錫メッキ、錫合金メッキ皮膜比較データ

3.錫メッキの優れた特性

 3.1.耐食性の向上

 3.2.はんだ付け性の向上

 3.3.潤滑性の向上

 3.4.装飾性

 3.5.食品衛生

   3.6.RoHS

4.錫メッキの欠点

 4.1. 融点が低い

 4.2. 柔らかい

 4.3. 酸化しやすい

 4.4.ウイスカの発生
 

5.錫メッキと他のメッキとの比較

 5.1. 錫メッキと亜鉛メッキ

 5.2. 錫メッキとニッケルメッキ

 5.3. 錫メッキと金メッキ

 5.4. 錫メッキと銀メッキ

6.錫メッキJIS規格(JIS H8619)

7.錫メッキのQ&A

 7.1.錫メッキは剥離、再処理可能か?

 7.2.錫メッキは錆びる?

 7.3.錫メッキは音質に影響を与える?

1. 錫メッキとは?

錫(スズ)メッキとは、錫の金属を溶かし込んだメッキ液に被メッキ物(メッキしたい製品)を浸し、電気を使いメッキしたい製品の表面に錫を薄く形成する電気メッキです。錫は銀白色の柔らかい金属で、展延性に優れ、加工しやすい性質を持っています。

2. 錫メッキの種類

2.1. 無光沢錫メッキ

無光沢錫メッキは、粒子の粗い柱状の結晶で、外観は銀白色〜灰色の光沢の無い外観になります。

無光沢錫メッキの特徴としては皮膜硬度がHV5〜7と非常に柔らかく、折り曲げ等でクラックが発生しない事が特徴です。

また、ウイスカが発生しにくい事から、リードピッチの狭い部品のウイスカによる短絡事故を防ぐため無光沢錫メッキが多く利用されています。

 

2.2. 光沢錫メッキ

光沢錫メッキは、表面が滑らかで光沢があり、美しい外観を持つのが特徴です。

また、無光沢錫メッキに比べ皮膜硬度がHV40〜60と高いため、コネクターなど挿抜が求められる場合には光沢錫メッキ​がお勧めです。

 

2.3. 錫合金メッキ

錫合金メッキは、錫と他の金属を組み合わせた合金メッキです。

組み合わせの金属によって、錫単体とは異なる様々な特性を与えることができます。

代表的な錫合金メッキには、以下のようなものがあります。
 

錫-鉛合金メッキ

RoHS規制が始まる以前は最も使われた錫合金メッキです。

ハンダ付け性に優れ、ウイスカの抑制にも優れた錫合金です。

​当社にて対応可能です。


錫-銀合金メッキ

接続信頼性が高いため、端子に採用されています。

 

錫-ビスマス合金メッキ

融点が139℃と低いため、低温実装用のハンダとして利用されています。

 

錫-銅合金メッキ

鉛以外の合金メッキの中で原料コストが最も安価ですが、ウイスの問題からメッキ後にアニール処理が必要になるため、トータルコストで考えると見極めが必要です。

2.4. 錫メッキ、錫合金メッキ皮膜比較データ

錫メッキの優れた特製

3. 錫メッキの優れた特性

錫メッキは、その優れた特性を生かして、様々な分野で広く用いられています。
具体的な特徴と用途例を以下に示します。

3.1. 耐食性の向上

錫メッキは、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸などの有機酸に腐食されにくいため、鉄板にスズメッキを施したブリキとして缶詰、屋根、容器などに利用されています。


少し変わった耐食性の向上方法として、光沢ニッケル無電解ニッケルメッキの上にスズメッキを施した後に熱処理を行う事でスズーニッケル金属間化合物を形成し、より耐食性を向上させる方法もあります。

3.2.はんだ付け性の向上

錫メッキは融点が低く、他の金属と容易に合金を形成するため、はんだ付け性に優れています。チップ抵抗器やチップコンデンサーの電極に錫メッキを処理する事で実装時のハンダ接合性を向上させます。

3.3.潤滑性の向上

錫メッキは潤滑性があるため、錫メッキを施すことで、摩擦を軽減し、潤滑性を良くすることができます。ベアリングなどの潤滑性を目的とした部品に使用することで、摩擦力が軽減されるため、摺動部の滑り性向上に有効です。

3.4. 装飾性

光沢錫メッキは銀白色の美しい光沢のある外観になります。この外観を利用して装飾目的で錫メッキを施すこともあります。食器や仏具などの表面に錫メッキを施すことで、高級感のある仕上がりになります。

光沢錫メッキ以外にも、スズ-コバルト合金めっきやスズ-ニッケル合金めっきなどが装飾目的で使われる場合があります。スズ-コバルト合金めっきは装飾クロムめっき似た青白い色調、スズ-ニッケル合金めっきがピンクがかったシルバー色です。ニッケルアレルギー対策用ようとして銅-スズめっきなども実用化されています。

3.5. 食品衛生

錫は、人体に毒性が無いため、食品や飲料と接触するような容器などにも安心して使用することができます。
毒性が無いだけでなく、「錫の杯は酒の毒を消す」「錫に入れたお水は腐りにくい」と言われるほど、錫には殺菌作用がある事が古くから知られています。錫メッキには錫同様の抗菌作用があるため、食品容器や食品製造機器などの表面に錫メッキを施すことで、食品衛生を向上させることができます。

3.6. RoHS対応

錫は、RoHS指令で規制対象となる有害物質を含まないため、欧州市場への製品輸出を容易にします。

 

4. 錫メッキの欠点

錫メッキは、優れた導電性、耐食性、はんだ性などを有する一方で、いくつかの欠点も持ち合わせています。以下では、錫メッキの代表的な欠点について詳細に説明します。

4.1.融点が低い

錫メッキは、融点が232℃と低いため、高温環境で使用できないという欠点があります。例えば、高温になるエンジン部品や半導体製造装置などには使用できません。また、はんだ付け時の熱にも弱いため、高温のはんだを使用すると、錫メッキが溶けてしまう可能性があります。

4.2.柔らかい

錫は柔らかい金属であるため、摩擦や衝撃に弱く、傷がつきやすいという欠点があります。特に、硬い物質との接触や、頻繁な摩擦を受けるような環境では、すぐに傷が付いてしまいます。傷が付くと、そこから腐食が始まる可能性もあり、耐食性が低下してしまうという問題もあります。出荷の際にも製品を紙などで包んでしまうと輸送時の振動でメッキ面と紙が擦れて傷の原因となりますので、出荷時の梱包にも注意が必要です。

4.3.酸化しやすい

錫は空気中の酸素と反応して酸化しやすい金属です。そのため、酸化を防ぐために、表面に保護膜を形成する必要があります。しかし、保護膜は時間の経過とともに劣化するため、定期的なメンテナンスが必要となります。

4.4.ウイスカの発生

錫メッキは、表面にヒゲ状の錫単結晶であるウイスカが徐々に自然成長することがあります。ウイスカは短絡などの原因となるためウイスカの発生を抑制するメッキ処理が必要です。

 

5.錫メッキと他のメッキとの比較

錫メッキは、優れた導電性、耐食性、はんだ性などを有する一方で、融点が低い、柔らかい、酸化しやすいなどの欠点も持ち合わせています。そこで、ここでは錫メッキと他の代表的なメッキとの比較について詳細に説明します。

 

5.1. 錫メッキと亜鉛メッキ

亜鉛メッキは、鉄鋼材料の防錆目的で広く利用されています。錫メッキと比較すると、以下のような特徴があります。

  • 亜鉛メッキと錫メッキはどちらも優れた耐食性を持っている皮膜ですが、使用される環境により異なりますので、ご評価が必要です。
    また、亜鉛メッキ皮膜は自己犠牲型の防錆に対し、錫メッキ皮膜は自己防錆型皮膜の違いがあります。

  • 錫メッキに比べ亜鉛メッキの方が低コストで処理できます。亜鉛は比較的安価な金属であり、メッキ処理も比較的簡単です。

  • 亜鉛メッキは、錫メッキよりも光沢が少なく、灰色をしています。そのため、装飾性を重視する場合は不向きですが、クロメート処理を施す事で黒色、青白い外観、黄色味の外観など色調を替える事が可能です。
     

用途:亜鉛メッキは、主に鉄鋼材料の防錆対策として使用されます。建築材料、自動車部品、電柱など、様々な用途で使用されています。

 

5.2. 錫メッキとニッケルメッキ

ニッケルメッキは、適度な硬度があり、強磁性を示す金属です。 ニッケルめっきを施すと、黄白色の美しい外観になるほか、優れた耐食性が得られます。。錫メッキと比較すると、以下のような特徴があります。

  • ニッケルメッキの方が、錫メッキよりも皮膜硬度が高く、耐摩耗性に優れています。

  • ニッケルメッキは、錫メッキよりも優れた耐食性を持ちますが、中性塩水噴霧試験での評価では亜鉛メッキより劣ります

  • ニッケルメッキは、錫メッキよりも導電性に優れています。

  • ニッケルメッキは、錫メッキよりも高コストで処理されます。
     

用途:ニッケルメッキは、装飾品、機械部品、電気部品など、様々な用途で使用されています。

 

5.3. 錫メッキと金メッキ

金メッキは、室温付近における熱伝導・電気伝導共に全金属中で3番目に優れた性質を持っています。化学的に安定で耐食性に優れており、また、電気と熱の伝導性、はんだ付け性に優れています。錫メッキと比較すると、以下のような特徴があります。
 

  • 金メッキは、錫メッキよりも金属的に安定で、優れた耐食性により、腐食しにくい特徴があります。

  • 錫メッキよりも金メッキの方が導電性に優れています。

  • 金メッキは、錫メッキよりも非常に高コストで処理されます。金は希少価値の高い金属ですので、日毎・月毎でコスト計算がされる程です。

  • 金メッキは、金色に輝く美しい外観を持ちます。
     

用途:金メッキは、装飾品、電気接点、コネクタなど、様々な用途で使用されています。

 

5.4. 錫メッキと銀メッキ

銀メッキは従来、洋食器及び装飾品の表面処理に使用されていましたが、近年では優れた電気伝導性を利用した電子部品、優れた潤滑性を利用した軸受部品、および優れた反射率を利用した光学部品の製造への用途展開がされています。
 

  • 銀メッキは、金属の中で最も優れた導電性で、電気抵抗率(nΩ)が錫メッキの約7分の1と低い抵抗率です。

  • 銀メッキは、錫メッキに比べ耐食性が劣り、硫化や酸化しやすいメッキ皮膜です。

  • 銀メッキは、錫メッキよりも高コストで処理されます。

  • 銀メッキは、銀白色の光沢のある外観を持ちます。
     

用途:銀メッキは、食器、装飾品、電気部品など、様々な用途で使用されています。

6. 錫メッキJIS規格(JIS H8619

JIS H8619は、電気部品などのはんだ濡れ性、防食性などの向上の目的で金属素地上に行った有効面の電気すずめっきについて規定する。

​注)電気めっきされた光沢または、無光沢もしくは電気メッキ後に溶融処理によって溶融光沢化されためっきを含む。

7. 錫メッキのQ&A

Q:錫メッキは剥離、再処理可能か?
A:母材によって剥離できない場合もありますが、剥離剤や機械研磨
によって剥離し、その上から再メッキ処理する事が可能です。

 

Q:錫メッキは錆びる?
A: 錫自体は錆びにくいですが、表面に酸化皮膜が形成されることで、黒ずみやくすみが発生することがあります。

 

Q:錫メッキは音質に影響を与える?
A: はい。錫メッキは音質に影響を与えることがあります。特に、オーディオ機器に使用する場合には、音質の変化に注意が必要です。

 

Q :錫メッキはアルミ素材へも処理できる?

A :はい。アルミ素材へも処理可能です。色々な処理方法がありますが、当社の場合ですと下地にニッケルメッキを施してからの錫メッキをお勧めしております。

その他の素材、銅合金鉄鋼などへの錫メッキはもちろんですが、チタンやセラミックスなどへも錫メッキ処理が可能です。

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Q&A

  • 純チタン2種(170×150 t 10mm)の製品にニッケルめっき可能でしょうか?
    純チタンへのニッケルめっき対応可能です。 ​サイズ的にも問題ございませんので、形状の詳細がわかる図面を送って頂けると幸いです。
  • 亜鉛ダイキャスト(亜鉛ダイカスト:ZnDC)素材にニッケルめっきを施したいのですが、対応可能でしょうか?
    亜鉛ダイキャスト素材へのニッケルめっきを直接処理することができないため、下地に銅メッキを5μm以上施した上のニッケルめっき となります。指定の膜厚などお聞かせ下さい。
  • ニッケルめっきを施したシャフト(SCM435)を一部追加工を施したのですが、一部ニッケルめっきが無くなってしまいました。 一部ニッケルめっきが無くなった箇所へニッケルめっきを施す事は可能でしょうか?
    形状によりますが、部分ニッケルめっき可能ですが、既存のニッケルめっきの上に再度ニッケルめっきを重ねても宜しければ全体的に 再度めっき処理を施させて頂いた方が意匠性、費用などの面から優位です。
  • 他社で処理しておりますニッケルめっき品で下地の銅めっきとニッケルめっきの層間で剥離が発生するものがあります。 考えられる原因は何でしょうか?
    考えられる原因としましては次の事が考えられます。 1.下地の銅めっき後の水洗水の汚れ 2.銅めっきからニッケルめっきに入るまでの時間が長い ​3.下地の銅めっき表面に光沢剤の薄い皮膜がついている いずれにしましても弊社にて一度試作処理させて頂ければ問題を解決できると思われます。
  • 鉄鋼材をバレルめっきにてニッケルめっきを行なっていますが、凹み部などに黄色のシミ(変色)が発生することがあります。 シミ(変色)の発生原因と対策を教えて頂けないでしょうか?
    鉄鋼製の製品をバレルでめっきを行なっているとの事で、凹み部にめっきが析出していないものと考えられます。 ニッケルめっきが析出していないことで素材のサビが発生しているのでは無いかとかんがえられます。 対策としましては、1回の処理量を減らして尚且処理時間を伸ばし全体的なニッケルめっきの膜厚を厚く処理することで緩和されるものと思われます。
  • 真鍮製品にニッケルめっきを施していますが、皮膜の欠陥により被覆されていない事を目視で判断することはできなでしょうか?
    真鍮製品に施したニッケルめっきが被覆されているか確認する方法としましては、純水700ml、アンモニア水700ml、25%トリクロル酢酸700ml、もしくは過硫酸アンモニウム50g/l、アンモニア水75ml/lの溶液に5分浸漬することで、ニッケルめっきの欠陥などにより真鍮素材が露出している箇所は溶液が青色に変化するため可視化しやすく判断が可能です。
  • ニッケルめっき浴(ワット浴)を使用してめっき処理を行なっていますが、pHが調整していないのに少しずつ下がって行きます。 一般的にpH調整で下げる事はあると思いますが、上げる事は少ないと思いますが適正な状態でしょうか?
    結論からお話しますと、適正な状態ではありません。 適正な状態ですとニッケルめっき浴の陽極のニッケルが溶解し、使用していない状態でも徐々にpHが上昇していく状態が正常な状態です。 ​pHが下がっていく原因としましては、ニッケルの陽極が少ない、もしくは前処理の酸が持ち込まれているのでは無いかと考えられます。
  • ニッケルめっきのpHを上げるには水酸化ナトリウムやアンモニア水は使わずに炭酸ニッケルや水酸化ニッケルなどを使っていると思いますが、ナトリウムイオンやアンモニウムイオンが有害であるためと言われましたが、ピット防止剤や光沢剤ではナトリウム塩が用いられていますが有害では無いのでしょうか?
    メッキ浴にナトリウムイオンやアンモニウムイオンが含まれますとメッキ皮膜が硬く、脆いメッキ皮膜となるためこれらの塩は使わないようになっていますが、ピット防止剤や光沢剤は添加量が少量であるため、影響が小さいと考えられます。
  • ニッケルめっきに非ろ波の整流器を検討しておりますが問題ありませんか?
    ろ波の必要性はありませんが、整流器の波形は全波がよく、半波ですとニッケルめっきにはおすすめできません。
  • 他社で処理しているニッケルめっき品ですが、時々めっき皮膜に割れが発生します。 突発的な不具合ですが、ニッケルめっき皮膜が割れる原因を教えて下さい。
    ニッケルめっき皮膜が割れが発生するということは、めっき皮膜が脆い事が原因かと思われます。 ニッケルめっき皮膜が脆くなる原因としましては、次の事が考えられます。 ①浴温が低すぎる。 ②pHが規格外になっている。 ③電流密度が高すぎる。 ​④光沢剤が過剰などが考えられますので処理されているメーカー様にこの辺りの 情報を開示して頂ければ再度弊社の方で問題が無いか確認させて頂きます。
  • 装飾クロムめっき(ニッケルクロムめっき:下地に光沢ニッケル)で白く曇る現象がでております。 また、つき周りも低下しておりますが考えられる原因は何でしょうか?
    クロムめっき液の不調が考えられますが、下地に使用している光沢ニッケルめっきとして考えられる原因としましては、光沢剤過剰によりクロムめっきの析出を阻害している事が考えられます。 弊社の方でめっき専業社様へのコンサルティング(課題解決)なども行っておりますので、必要でしたらご相談ください。
  • ニッケルめっきした製品にザラつきが発生しております。 原因としてはどのような事が考えられますか?
    ザラつきの原因は複数考えられます。 ①異物付着(メッキ液内に不純物が混入したものが付着) ②過剰な電流密度 ③素材起因のザラつき ​現物をお送り頂ければ弊社の方で確認させて頂きます。
  • ステンレス鋼にニッケルめっきを行う場合、ニッケルストライクが必要と言われましたが、なぜ直接ニッケルめっきが処理できないのでしょうか?また、ニッケルストライクとはなんでしょうか
    ステンレス鋼は鉄とニッケルとクロムが主成分の材料です。その主成分であるクロム成分が素材表面に濃縮し、不動態膜が形成されるためですが、この不動態化が通常のニッケルめっきの前処理工程では除去できず、密着低下の原因となります。 ​ニッケルストライクは塩酸をベースとしたメッキ浴で、塩酸中でクロム金属は不動態化できないため、塩酸ベースのニッケルストライクで処理を行うと、不動態化を除去しながらニッケルめっきを処理することができ、密着性を確保することが可能です。
  • ニッケルめっきとクロムめっきですが、素人では見分けが難しいのですが、簡単に見分ける方法はありませんか?
    簡単に見分ける方法としましては、息を吹きかける、シャワーを掛ける、日の光で確認するなどがあります。 ​いずれもニッケルめっきは黄色っぽく、クロムめっきは白っぽくなりますので見分けができると思います。
  • 柔軟性のあるニッケルめっきが欲しいのですが、対応可能でしょうか?
    無光沢ニッケルめっきでニッケル濃度、pH、温度、不純物などを調整することで、 比較的柔らかい(硬度HV150程度)のニッケルめっき皮膜を形成することが可能です。
  • 亜硫酸ガス雰囲気中で使用される部品がありますが、このような腐食性の大きい雰囲気中ですが、ニッケルめっきを施す事で使用可能でしょうか?
    亜硫酸ガス雰囲気での使用との事ですが、亜硫酸を含む腐食液を用いて行われるケスタニッチ法試験にて2層のニッケルめっきを評価した場合、下層の半光沢ニッケルめっきまで腐食されることから、亜硫酸ガス雰囲気での長期使用は難しいと思われます。 2層ニッケルめっきではなく、3層(トリニッケルめっき)や半光沢ニッケルめっきの下地に銅めっきを施す3層めっきにて使用できる可能性がありますのでご評価頂けると幸いです。
  • 3層めっき(トリニッケルめっき)はめっきの層を積層(ミルフィーユのように重ねる)することで耐食性が上がる事はなんとなくわかるのですが、母材から半光沢ニッケルめっき→トリニッケルめっき→光沢ニッケルめっきの組み合わせでなぜ耐食性が向上するのでしょうか?
    最下層の半光沢ニッケルめっき(メッキ皮膜硫黄含有率0%)と最上層の光沢ニッケルめっき(メッキ皮膜硫黄含有率0.05%)との中に、硫黄含有率の多いトリニッケルめっき(メッキ皮膜硫黄含有率0.1~0.2%)を施すことで、ニッケルめっきが腐食される際に局部電池作用が発生し、トリニッケルめっきが優先的に溶解するため最下層の半光沢ニッケルめっきが守られ結果的に耐食性の向上に繋がります。
  • ABS樹脂(3Dプリンター整形品)材料に装飾のニッケルクロムめっきを施したいのですが、試作~対応可能でしょうか?
    ABS樹脂(めっきグレード)であれば処理対応可能ですが、3Dプリンターでの成形品との事ですのでスポンジで製作したような隙間の沢山ある製品となり、めっきの前処理液が成形品の隙間に残留しめっきの析出を阻害してしまうことが懸念されます。 外観の意匠性目的だけであれば銀鏡皮膜『クリアシルバ』をおすすめしております。 こちらにABS樹脂(3Dプリンター成形品)への処理品の画像を掲載しておりますので参考にして頂けると幸いです。
  • 鉄素材(S45C)にニッケルめっきが処理されていますが、剥離して頂き追加工をしたいのですが現状のめっき皮膜を剥離する事は可能でしょうか?
    鉄素材(S45C)に処理されたニッケルめっき(ニムフロン、カニフロン)の剥離可能です。 ​剥離の際には剥離液を使用してめっきを剥離しますが、多少素材が荒れてしまうので注意が必要となります。
  • CrCu(クロム銅)にニッケルめっき(5~10μm)処理可能でしょうか?
    クロム銅へのニッケルめっき処理可能です。 ​製品の形状、サイズや数量など教えて下さい。
  • アルミニウム素材(A5052)にニッケルめっきが施されている製品がありますが、ニッケルめっき皮膜を剥離することは可能でしょうか?素材を極力粗さずできますか?
    アルミ素材を極力粗さずニッケルめっきを剥離対応は可能です。 ​サイズ的に制限がございますので、製品サイズ等を教えて下さい。
  • SS41(一般構造用圧延鋼材)材にニッケルめっき10μm処理可能でしょうか?
    SS41はSS400の旧規格ですが、SS41にニッケルめっき(電解ニッケルめっき)10μm処理対応可能です。 ​電気めっきは膜厚に多少ばらつきが発生致しますので、寸法精度など必要な場合には無電解ニッケルめっきをお勧め致します。
  • アルミニウム素材(A5052)に電解ニッケルめっきを施したいのですが対応可能でしょうか?
    アルミニウム素材への電解ニッケルめっきですが、直接処理ができませんので下地に無電解ニッケルめっき(カニゼンめっき)を施した上であれば処理可能です。 ​膜厚などの詳細は別途ご相談できればと思います。
  • チタン合金Ti-6Al-4V(α-β型)に電解Niめっき10μm処理対応可能でしょうか?
    チタン合金に電解Niめっきは処理対応可能です。 ​大きさに制限がございますので、図面など大きさわかる資料を送って頂ければ確認させて頂きます。
  • チタン合金Ti-6Al-4V(α-β型)に処理されております電解Niめっきを剥離することは可能でしょうか?
    チタン合金Ti-6Al-4V(α-β型)素材上の電解Niめっきを剥離可能です。
  • HPM77(快削プリハードン鋼)にニッケルめっきを施したいのですが対応可能でしょうか?
    HPM77にニッケルめっき対応可能です。 製品のサイズや形状の判る図面やイラストを送って頂ければ処理の方法を​確認させて頂きます。
  • プリハードン鋼に黒色ニッケルめっきの対応は可能でしょうか? 膜厚5μm指定です。
    プリハードン鋼へ黒色ニッケルめっき処理可能です。 膜厚5μmとのことですが、黒色ニッケルめっきの膜厚は1μm以下と薄いため、膜厚を稼ぐ必要がある場合には下地に光沢ニッケルめっきを施させて頂きトータルで5μmに調整可能です。
  • アルミナセラミック(アルミナ99.5%)にニッケルめっきは処理可能でしょうか?
    アルミナセラミックにニッケルめっき処理可能です。 アルミナセラミックに直接ニッケルめっきは施すことができませんので、下地に無電解ニッケルめっきを施した後、 電解ニッケルめっきでの対応となります。
  • コバール素材へ意匠性目的のための光沢ニッケルめっきを検討しております。 コバール材へのニッケルめっき処理可能でしょうか?
    コバール材への光沢ニッケルめっき処理可能です。 製品の形状、サイズや数量など教えて下さい。
  • サーメット(cermet)金属の炭化物や窒化物など硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料に ニッケルめっきを施し脆さを軽減出来ないかと考えております。 サーメット材にニッケルめっきは可能でしょうか?
    実際に処理を施させて頂き脆さなどのご評価を頂く必要がございますが、サーメット材へのニッケルめっき処理可能です。 ​試作処理など行いながらご評価頂けると幸いです。
  • 銅とモリブデンが接合されている製品の防錆目的でニッケルめっきを検討しております。 銅素材とモリブデン共にニッケルめっきを施したいのですが処理可能でしょうか? 密着性を気にしております。
    銅素材とモリブデン素材接合品に対し同時にニッケルめっきを施す事が可能です。 ​適切な前処理を施しますので密着性も問題なく対応可能です。
  • 銅素材とタングステンが接合されている製品にニッケルめっきを検討しております。 銅素材とタングステン共にニッケルめっきを施したいのですが処理可能でしょうか?
    銅素材とタングステン素材が接合された状態でニッケルめっきを施す事が可能です。 ​適切な前処理を施しますので密着性も問題なく対応可能です。
  • コバール(鉄、ニッケル、コバルトを主成分にした合金)に導電性目的のためにニッケルめっきを施す事は可能でしょうか?
    コバール素材へのニッケルめっきに関してですが処理実績もありますが、処理可能です。 ​指定の膜厚などお聞かせ下さい。
  • 窒化アルミナセラミックス(AIN)にニッケルめっきを施したいのですが可能でしょうか?
    窒化アルミナセラミックス(AIN)へのニッケルめっきにつきまして過去に処理実績がございますが、材料により反応が異なることから先行で試作処理を施させて頂き、処理可能かの確認テストが必要でございます。 端材で結構ですので条件出しに使用してもいい材料をご用意頂けるとテスト条件確認可能です。
  • 亜鉛ダイキャスト(ZnDC)にニッケルめっきを施したいのですが対応可能でしょうか?
    亜鉛ダイキャストにニッケルめっき関しまして過去に処理実績がございます。 特に問題なく処理可能ですが、下地に銅めっき5μm以上が必須となります。 製品の形状などわかる資料を送って頂けると幸いです。
  • ベリリウム銅(BeCu)にニッケルめっきは可能でしょうか? 他社で処理して頂いたのですが、密着性が悪く剥がれが発生致します。
    ベリリウム銅(BeCu)は特殊な前処理を行わないと密着の悪いめっき処理となります。 弊社では複数のクライアント様よりベリリウム銅素材へのメッキ処理をご依頼頂き対応致しておりますので、 ​ご安心してご依頼頂ければと思います。
  • 高速度鋼にニッケルめっきを施したいのですが、対応可能でしょうか?
    高速度鋼にニッケルめっき(電解ニッケルめっき)対応可能です。 指定の膜厚などがございましたらご連絡下さい。
  • ステンレス(SUS304)につや消しの電解ニッケルめっきを施すことは可能でしょうか?
    ステンレスにつや消し電解ニッケルめっきの対応可能です。 ​つや消しの方法はショットブラストでのつや消し、めっき液でのつや消しなど選んで頂く事が可能です。
  • 小さなボタンのような形状の鉄素材の製品ですが、数量も多く吊るし用の穴なども無いのですが、電解のニッケルめっきは 可能でしょうか?
    小さなボタン形状との事ですのでバレルめっき(専用の容器に入れてメッキ処理)にて対応が可能でございます。 バレルめっきは一度に大量の製品が処理可能なため、ラック(一つ一つ製品を保持して処理)処理に比べ安価にできるメリットが ございます。 デメリットとしましては、製品同士が容器の中でぶつかりあうため、傷や打痕がついてしまいます。
  • 亜鉛鋼板へのニッケルめっき(装飾目的)を検討しておりますが、製品サイズが大きいのですが対応可能でしょうか? 寸法1800×1000 t0.4mm
    亜鉛鋼板へのニッケルめっきの対応可能です。 亜鉛を一旦除去してからの処理となりますが、一連の流れで亜鉛を剥離~めっき処理まで行いますので、腐食などは発生いたしませんのでご安心下さい。 サイズ的な所ですが、1800×1000mmであればギリギリのサイズとなりますが対応可能です。 ​製品が大きいため板の中央部などがニッケルめっきの光沢が鈍くなる可能性がございますのでご了承下さい。 ​
  • ステンレス鋼(SUS304)に処理されておりますニッケルめっきを剥離することは可能でしょうか?
    ステンレス鋼(SUS304)素材上のニッケルめっき剥離可能です。
  • ABS樹脂に導電性を持たせる目的でニッケルめっきを検討しております。 処理可能でしょうか?
    ABS樹脂へのニッケルめっき対応可能です。 ABS樹脂へ直接電解のニッケルめっきは処理できませんので、下地に無電解ニッケルめっきが必要となります。

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