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硬質クロムめっき

硬質クロムメッキ

 

硬質クロムメッキは、機械部品の表面にクロムを電気メッキにより析出させて形成する表面処理技術です。高い皮膜硬度、優れた耐摩耗性と耐食性を持ち、様々な産業分野で広く用いられています。

​目次

1.硬質クロムメッキの処理工程

2.硬質クロムメッキの特性

 2.1. 皮膜硬度と耐摩耗性
 2.2. 耐食性
 2.3. 摺動性

3.硬質クロムメッキの欠点

 3.1. 6価クロムの使用

 3.2. 析出効率の低さ

 3.3. クラックの発生

4.図面指示(図面表示)

 4.1. めっきを表す記号

 4.2. 素地の種類を表す記号

 4.3. メッキの種類を表す記号

 4.4. 処理を表す記号

 4.5. 使用環境を表す記号

 4.6. 等級と記号と膜厚

 4.7. 記号の例

5.硬質クロムメッキの硬度

6.硬質クロムメッキと装飾クロムメッキの違い

7.硬質クロムメッキの実績

8.当社オリジナル硬質クロムめっき

 8.1. チタン素材への硬質クロムメッキ

 8.2. ノンクラック(クラックフリー)硬質クロムメッキ

アンカー 1

1. 硬質ロムメッキの工程

1.1 鉄鋼

脱脂→電解脱脂→酸中和→硬質クロムメッキ→仕上げバフ研磨
 

1.2 アルミニウム

脱脂→エッチング→スマット除去→亜鉛置換→亜鉛置換剥離→亜鉛置換→硬質クロムメッキ→仕上げバフ研磨

1.3  樹脂材料

脱脂→エッチング→触媒付与→無電解ニッケル→硬質クロムメッキ→仕上げバフ研磨

2. 硬質クロムメッキの特性

2.1 皮膜硬度耐摩耗性

硬質クロムメッキは、非常に高い皮膜硬度(Hv1000以上)を持つ表面処理技術です。鉄鋼よりも数倍高い値であり、優れた耐摩耗性を発揮します。摩擦や摩耗を受ける部品に用いることで、部品の寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減することができます。

使用例

  • 軸、ピストン、シリンダー、ベアリングなどの機械部品

  • プラスチック成形金型、ダイカスト金型などの金型

  • 切削工具、刃物などの工具

 

2.2 耐食性

硬質クロムメッキは、クロム金属の優れた耐食性とメッキ表面に形成される酸化膜により、優れた耐食性を持ちます。腐食しやすい環境で使用される部品に用いることで、錆や腐食による機能低下を防ぎ、製品の寿命を延ばすことができます。

使用例

  • 化学プラントや食品工場で使用される機械部品

  • 船舶や海洋構造物

  • 建築材料

 

2.3 摺動性(滑り性)

硬質クロムメッキは、摩擦係数に優れた皮膜で摺動性(滑り性)に優れています。スムーズな動きを実現したい部品に用いることで、機械の効率を向上させ、エネルギー消費を抑えることができます。

使用例

  • 軸受、ガイドレールなどの機械部品

  • 油圧シリンダー、プーリなどの油圧機器

硬質クロムメッキは、高い皮膜硬度耐摩耗性、優れた耐食性、滑り性など、様々なメリットを持つ表面処理技術です。機械部品の耐久性を向上させ、製品寿命を延ばすために、様々な分野で広く活用されています。

3. 硬質クロムメッキ

硬質クロムメッキは、高い硬度と耐摩耗性、優れた耐食性、滑り性を持つ表面処理技術です。一方で、いくつかの欠点も存在します。

 

3.1 六価クロムの使

硬質クロムメッキは、メッキ液に6価クロムを使用します。6価クロムは、発がん性や皮膚障害などの健康被害を引き起こす可能性があるため、環境負荷が懸念されています。

皮膜としては6価クロムではなく金属クロムとなるため、環境負荷はありませんが、メッキ液として存在するため、メッキ液が残留するような製品形状ですと注意が必要です。

 

3.2 析出効率低さ

硬質クロムメッキは、他のメッキに比べて析出効率が低いため、厚い膜を形成するには時間がかかります。析出効率が悪い理由としては、電流効率が10~25%程度と低く、電流がメッキの析出に使われず多量の水素発生に使用されてしまうことが生産性低下に繋がります。

 

3.3 クラックの発生

硬質クロムメッキは、クラックと呼ばれる微細な割れが発生することがあります。クラックは、腐食の原因や、剥がれの原因、転写性などの問題となるため、品質管理において重要な課題となります。

当社ではノンクラックの硬質クロムメッキをご用意しております。

硬質クロムメッキは、優れた機能性を持つ表面処理技術ですが、環境負荷、処理時間、品質管理などの欠点が存在します。

 

4. 図面指示(面表示)

図面には表面処理の指示を記載する必要があります。指示の記号はJIS H0404に準じて記載されます。

4.1 めっきを表す記号

電気めっき又は無電解めっきを表す記号が必要です。
ただし、電気めっき無電解めっきとによってめっき層が構成されている場合には、最終めっきを表します。

電気めっき:Ep または SPLE

無電解めっき:ELp または SPLEL

 

4.2 素地の種類を表す記号

素地の種類を表す記号は、素地が金属の場合には、その金属の元素記号とし、合金の場合には主成分金属の元素記号で表します。

鉄、鋼及びそれらの合金    Fe

銅及びその合金        Cu

亜鉛及びその合金       Zn

アルミニウム及びその合金   Al

マグネシウム及びその合金   Mg

 

4.3 メッキの種類を表す記号

めっきの種類を表す記号はその元素記号による。

合金めっきの場合には、合金を構成している主な元素の元素記号をハイフンで結んで表示します。

 

クロムメッキ    Cr

ニッケルメッキ Ni

金メッキ    Au

銀メッキ    Ag

銅メッキ    Cu

 

4.4 後処理を表す記号

2種類以上の後処理を行う場合には、処理操作の順又は素地に近い順に左から右に各記号をコンマで区切って示す。

 

後処理            記号

水素除去のベーキング      HB

拡散熱処理           DH
光沢クロメート処理       CM1
有色クロメート処理       CM2

塗装              PA
着色              CL
変色防止処理          AT

 

4.5 使用環境を表す記

腐食性の強い屋外環境 A

通常の屋外環境    B

湿度の高い屋内環境  C

通常の屋内環境    D

アンカー 2
アンカー 4
アンカー 3

4.6 等級と記号と膜厚

アンカー 5

4.7 記号の例

鋼材に硬質クロムメッキを20μm厚以上で処理したい場合 Ep-Fe/ICr20

硬質クロムメッキ20μm以上、メッキ前後にバフ研磨が必要な場合 Ep-Fe/ICr20/1BF,BF

硬質クロムメッキ20μm以上、メッキ前にブラスト処理が必要な場合 Ep-Fe-ICr20/1SB

 

メッキの膜厚はμm(マイクロメートル)で表されます。

硬質クロムメッキの場合、一般的に1~100μmの範囲で設定されます。膜厚が厚くなるほど、耐摩耗性や耐食性が向上しますが、コストも高くなります。

5. 硬質クロムメッキの硬度

冶金学的に作製された金属クロムの硬さは200~350kg/mm2です。クロムめっき皮膜は700~1000kg/mm2となり、金属クロムに比べクロムメッキの皮膜硬度は高くなります。

硬くなる要因として析出金属の結晶粒子の微細化、吸蔵水素、格子歪などが挙げられます。

 

メッキ皮膜の硬度は一般的にビッカース硬さ試験が広く使われています。

ビッカース硬さ試験の単位はHv(ビッカース硬さ)で表され、硬質クロムメッキのビッカース硬度はHv750以上と非常に高い硬度の皮膜です。

6. 硬質クロムメッキと装飾クロムメッキの違い

硬質クロムメッキと装飾クロムメッキは同じクロム金属を母材表面に処理する方法です。

同じクロム金属ですので、基本的な皮膜硬度は硬質クロムメッキ、装飾クロムメッキ共に同じ特性になります。装飾クロムメッキは下地のニッケルメッキの保護膜である事から1μm未満の非常に薄い膜です。それに比べ硬質クロムはクロムメッキ単体で特性を持たせる事から1〜100μm程度の厚膜での対応となります。

アンカー 6
アンカー 7

​7. 硬質クロムメッキ(工業用クロムメッキ)の実績

硬質クロム(不具合)

硬質クロムメッキ(不具合)

他社で硬質クロムメッキを施しましたが、溝の中だけでなく、平面部にも硬質クロムメッキが処理されていません。

​対策案も出てこないとの事で弊社にご依頼頂きました。

硬質クロム(良品)

硬質クロムメッキ(良品)

他社で硬質クロムメッキした状態でお預かりし、状態を確認、現行のメッキ剥離、再メッキにて対応させて頂きました。
​現行のままでは同じ状態になる事から対策案をクライアント様にお伝えしてから対応させて頂きました。

アンカー 8

​8. 当社オリジナル硬質クロムメッキ(工業用クロムメッキ)

チタンは色々な面で非常に優れた材料ですが、摩耗性が劣るという欠点があります。

チタンでシャフトを製作されますと、摺動部の摩耗性が悪く部品として長期使用ができないなど不都合があります。そんな時には必要部に硬質クロムめっきを施す事で解決できる可能性があります。

 

チタン素材への硬質クロム対応可能。​

一般に硬質クロムめっき皮膜にはチャンネルクラックと呼ばれる細かなワレが存在します。

このクラックが存在することで、クロムめっき皮膜が剥がれる、硬質クロムめっきを施しているのに腐食するなどの原因となります。​弊社コネクションではクラックフリーの硬質クロムめっきが可能です。

ノンクラック(クラックフリー・クラックレス)硬質クロムめっき対応可能。

お気軽にご連絡下さい。ご相談、お見積りは無料です。

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