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【めっき技能士直伝】めっき処理の方式を詳しく説明(ラック方式、バレル方式)

更新日:1月5日

電気めっき処理には治具に製品を装着して処理を行うラック方式と、容器を使っためっき方式のバレル方式があります。

ラックの別名として引っ掛けやいかり、たこ、ジグなど処理メーカーによって呼び名は異なりますが、同じラックを意味しております。

バレルの別名としてガラめっきなどと呼ばれる場合がありますが、こちらも同じバレル方式です。



■INDEX■


ラック方式



ラック方式は静止めっき、引っ掛けめっきなどと呼ばれる方法で、ラックと呼ばれる治具に製品を固定または吊るすなどし、手動または自動装置によってラックを処理浴槽に搬送し処理を行う方法です。

治具に製品を1つ1つ固定して処理を行うことから、製品同士の衝突による傷や打コンなどが発生しない事がメリットですが、治具に固定するため、設置跡が発生するといったデメリットがあります。 また、人の手による固定が必要な事から大量生産に不向きな方法です。

バレル方式


バレル方式とは、バレルと呼ばれる樽状の容器を使用しめっきを行う方式で、ボル ト・ナットなどの小形部品や、ラックに固定出来ない製品などへのめっき方法として使われます。 バレルはめっきの処理液が通る小孔が多数開いており、バレルの中に品物を入れてめっき液に浸漬しバレルを回転させながらめっきを行います。バレルの材料としてPVCやPP、アクリルなどの樹脂材料が使用されています。



まとめ

本記事ではラック方式、バレル方式について解説しました。


以下まとめです。

めっきの処理方式としてラック方式、バレル方式があります。

ラック方式は製品を1つ1つラックと呼ばれるジグに装着し処理を行う為、製品同士のぶつかりによる傷や打コンを付けずに処理する事が可能です。

デメリットとしては、取り付けにマンパワーが必要になる。取り付け位置に設置跡がついてしまうといったデメリットがあります。


バレル方式は、バレルと呼ばれる樽状の容器に入れて処理を行う為、小物や大量生産に優れています。 デメリットとしては、ある程度製品の量がないと処理できない。 製品同士のぶつかりによる傷や打コンが避けられない。などがありますが、同一製品を大量に処理できる事から処理代を抑える事ができるなどのメリットがあります。


ラック方式、バレル方式共に電気めっき、無電解めっきのどちらも対応可能ですが、無電解めっきの場合高温で処理を行う場合がある為、その温度に耐える素材でラックやバレルを作る必要があります。

また、めっきの前処理やめっき液も強酸性、強アルカリ性の処理液が使われていますので、ラックやバレルがこれらの薬品にも耐性のある材料を選択する必要があります。



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【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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