【メッキ技能士直伝】銅・銅合金・銅メッキの種類と特徴|用途・見分け方も徹底解説
- connectionfukui
- 8月23日
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更新日:9月20日
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銅という金属は、多くの方にとって身近な存在です。オリンピック競技で3位の選手に授与される「銅メダル」や、電気を流す銅線、日常で目にする10円玉などが代表的な例でしょう。
赤みがかった独特の色合いを持つ銅は、見た目だけでなく、性質や用途にもさまざまな特徴があります。さらに「銅合金」と呼ばれる、銅をベースにした合金も多く存在し、私たちの暮らしの中で幅広く利用されています。
本記事では、銅合金の種類や特徴・用途をご紹介するとともに、純銅と銅合金の違いについても解説します。また、素材の表面に銅を付着させる「銅めっき」についても触れ、その仕組みや活用例をご説明します。
銅の導入や活用を検討されている方は、ぜひご参考になさってください。
■INDEX■
1.1. 純銅の特徴
1.2. 純銅の用途
3.1. 黄銅(真鍮)
3.2. 青銅(ブロンズ)
3.3. 白銅
3.4. その他の銅合金
4.1. 導電性の比較
4.2. 強度や耐食性の違い
4.3. 見た目の見分け方
5.1. 銅メッキとは
5.2. 銅製品と銅メッキの違い
1. 銅とは
1.1. 純銅の特徴

銅は日常生活の中でもよく見かける金属のひとつです。赤みを帯びた独特の光沢を持ち、私たちにとって身近な存在といえるでしょう。
一般に「銅」と呼ばれるものの中で、銅原子の純度が99.9%以上のものを純銅といいます。純度が高いため、銅本来の性質を最大限に活かすことができます。
銅の代表的な性質は、次の5つにまとめられます。
導電性銅は金属の中でも銀に次いで高い導電性を持ちます。これは、銅原子の外殻に自由電子が存在するためです。
熱伝導性電気と同様に、熱も効率よく伝えることができます。これも自由電子による性質です。
加工性(延性・展性)薄く延ばしたり、細く引き延ばしたりしやすく、優れた加工性を持っています。
耐食性表面に安定した酸化膜を形成し、錆びにくい性質があります。
抗菌性細菌の繁殖を抑制する効果があり、衛生面での利用も注目されています。
さらに純銅は、酸素の含有量や微量元素の有無によって種類が分けられます。代表的なものは、微量の酸素を含み高い導電性と熱伝導性を持つタフピッチ銅です。
このほか、水素脆化を起こしにくくするためリンを添加したリン脱酸銅や、酸素をほとんど含まない無酸素銅などもあります。
1.2. 純銅の用途

純銅は、その特性を活かしてさまざまな分野で利用されており、私たちの日常生活の中にも広く存在しています。
まず、高い導電性を活かした用途として、電線、モーター、コネクタ、ICリードフレームなどが挙げられます。また、熱伝導性に優れることから、エアコンや冷蔵庫の熱交換器、さらには鍋やフライパンといった調理器具にも使用されています。
さらに、耐食性を持つことから、水道管や給湯管など一部の建築資材としても利用されます。そして、抗菌作用を応用し、病院や公共施設のドアノブなど、衛生面が重視される場所でも活用されています。
2. 銅合金とは

合金とは、金属に他の金属や元素を組み合わせ、新たな性質を持たせたものをいいます。純銅に他の金属を加えて機械的性質を高めたものが銅合金です。
銅合金には次のような特徴があります。
強度・耐食性・加工性が純銅より向上する
導電性・熱伝導性は一般に純銅より低下する
抗菌性は純銅と同様に保持される場合が多い
銅と結合させる金属には亜鉛・スズ・ニッケルなどがあり、それぞれ異なる特徴を発揮します。例えば、亜鉛を加えた「黄銅(真鍮)」、スズを加えた「青銅」、ニッケルを加えた「白銅」などが代表的な銅合金です。
3. 銅合金の種類(それぞれの特徴と用途)
3.1. 黄銅(真鍮)

銅に亜鉛を加えた合金を黄銅(おうどう)といい、一般には真鍮(しんちゅう)とも呼ばれます。加工性に優れており、亜鉛の含有量によってさらに細かく種類分けされます。
丹銅(たんどう)亜鉛の含有量が少なく、美しい光沢を持ちます。建築部品、装飾品、金管楽器などに利用されます。
七三黄銅(亜鉛約30%)/六四黄銅(亜鉛約40%)自動車用ラジエーター、配線器具部品などに使われます。
快削黄銅鉛を添加して加工性をさらに高めたもので、機械部品やボルトなどに利用されます。
なお、私たちに身近な日本の五円硬貨も黄銅製です。
3.2. 青銅(ブロンズ)

銅にスズを加えた合金を**青銅(ブロンズ)**といいます。高い強度や耐食性、鋳造のしやすさが特徴です。
スズ青銅古くから美術品、ブロンズ像、鐘などに利用されてきました。
リン青銅リンを添加することでバネ性が向上し、コネクタやリレーの端子、バネ材料などに用いられます。
アルミニウム青銅銅とアルミニウムをベースに添加したもので、耐海水性や耐摩耗性に優れています。船舶のプロペラ軸など、過酷な環境下で使用される部品に適しています。
なお、私たちに身近な日本の十円硬貨も青銅製です。
3.3. 白銅

銅にニッケルを加えた合金を白銅といいます。耐食性や耐海水性に優れており、船舶部品や海洋構造物などに広く利用されています。
また、私たちに身近な日本の五百円硬貨や百円硬貨も白銅製です。
3.4. その他の銅合金

主な銅合金(黄銅・青銅・白銅)に加え、近年では高導電性銅合金と呼ばれる合金も活用されています。これは、銅の高い導電性を維持しつつ、強度や耐熱性を向上させるため、ベリリウム、ジルコニウム、クロムなどを添加したものです。
代表的な高導電性銅合金と用途は以下の通りです。
ベリリウム銅 コネクタやスイッチなど、電子部品に不可欠です。
ジルコニウム銅 バスバー(大電流を流す導体)や半導体放熱基板などに使用されます。
クロム銅 スポット溶接用電極や半導体部品などに用いられます。
高導電性銅合金は、スマートフォンや自動車部品、精密機器など、現代の電子機器分野で非常に幅広く利用されています。
4. 銅と銅合金の違い
4.1. 導電性の比較

銅合金は銅以外の金属を含むため、純銅とは別の材料です。一般に、銅合金は純銅に比べると導電性は劣ります。
たとえば、電極材料にも用いられるクロム銅でさえ、純銅の導電率の約70〜80%程度にとどまります。ベリリウム銅も、高導電性銅合金であるものの、クロム銅より低い導電率です。
他の銅合金も同様で、リン青銅は純銅に比べ10〜30%程度、黄銅は25〜45%程度の導電率です。ただし、純銅の導電率は非常に高いため、青銅や黄銅でも十分に電気を通すレベルに達しています。
各銅合金が使われる用途は、導電性と強度・耐食性などの性質のバランスを考慮して選ばれています。
4.2. 強度や耐食性の違い

純銅は比較的柔らかい金属で、鉄鋼に比べると強度は低めです。加工されていない状態での引張強さは約210MPaで、一般的な鉄鋼材の半分程度に相当します。
大気中では表面に緑青(ろくしょう)と呼ばれる皮膜を形成するため、耐食性は一定程度あります。しかし、純銅に対して強度や耐食性を向上させる目的で製造される銅合金は、これらの性質で純銅を上回ります。
中でも高強度な銅合金には、ベリリウム銅、アルミニウム青銅、リン青銅などがあります。また、高耐食性の銅合金としては、白銅、アルミニウム青銅、黄銅などが代表的です。
4.3. 見た目の見分け方

銅は赤みを帯びた光沢のある金属です。
一方、主な銅合金の見た目は純銅とは異なります。
黄銅(真鍮):赤みがなく、いわゆる黄金色
青銅:くすんだ黄赤色や黒っぽい色
白銅:銀白色
また、銅合金は純銅より硬いため、触れると違いが感じられることがあります。重さについては種類によって差がありますが、アルミニウム青銅を除けば銅とほぼ同じ程度です。
5. 表面に銅性質を付与する銅メッキ
5.1. 銅メッキとは

メッキとは、物質の表面に金属の皮膜を付着させる技術です。
銅メッキは、他の素材でも表面に銅の性質(導電性・熱伝導性・抗菌性など)を付与したい場合に用いられます。特に、導電性の低い素材に導電性を付与する目的で使われることが最も多くなっています。
また、銅メッキは以下の用途でも活用されます。
はんだ付け性を向上させる
ニッケルやクロムメッキの下地メッキとして利用する
一般的にメッキは電気を通す素材に適用されますが、銅メッキには無電解メッキという方法もあり、電極を用いずにプラスチックなどの非導電素材にも銅皮膜を付けることが可能です。
5.2. 銅製品と銅メッキの違い

銅と銅メッキ品の主な違いは、その目的にあります。
銅素材:もともと導電性を持つ素材として使用する場合に最適
銅メッキ:他の素材に銅の性質を補助的に付与する場合に使用
例えば、電線、ケーブル、バスバーなどには銅素材が用いられます。一方、回路基板やコネクタ、場合によっては建築資材などには銅メッキが採用されることが多いです。
銅メッキの特性は以下の通りです。
導電性:純銅に対して約75%程度(メッキ条件による)
強度:メッキ製品の強度は基材に依存。高強度素材にメッキすれば、高強度かつ導電性のある部材が作れます
熱伝導性:メッキ層の厚さや素材との組み合わせに依存
加工性:銅素材に比べ二次加工の可否が限定的
弊社、株式会社コネクションでも銅メッキの対応が可能です。
電解メッキ、無電解メッキの両方に対応
素材や用途に応じた最適な処理をご提案可能
銅メッキをご検討の際は、素材や用途も含めてぜひご相談ください。
6. まとめ

純銅は赤みを帯びた光沢のある金属で、導電性・熱伝導性・優れた加工性・耐食性・抗菌性を備えている。
純銅は幅広い用途で使われ、電線やケーブルなどの素材として活用されている。
銅合金は、銅に他の金属を結合させて作られ、強度や耐食性などの性質が向上している。
主な銅合金には、黄銅(真鍮)、青銅(ブロンズ)、白銅がある。
高導電性銅合金として、ベリリウム銅やクロム銅なども利用される。
銅合金は純銅に比べて導電性は低めである。
見た目や手触りで、純銅と銅合金を判別できる場合もある。
他の素材に銅の性質を付与したい場合は、銅メッキを用いることも可能である。
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1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。









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