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【メッキ技能士直伝】クロムめっき、クロメート処理、ニッケルクロムこれら全て異なる処理ですが知っていましたか?

更新日:2023年8月28日

めっき処理には聞きなれない名前やよく似た呼び名、通称などさまざまあります。

これら処理名の中でクロムめっき、クロメート処理、装飾クロムめっきどの処理にも「クロ」が付いておりしかも全てクロムを使う処理ですので非常にわかりにくいのではないかと思います。それぞれどのような処理でどのような違いがあるのかご紹介します。



■INDEX■



クロムめっき

クロムめっきは鏡面光沢を有し、耐食性に富み変色しにくい事から銅/ニッケルめっきの最終仕上げの装飾めっきに用いられています。また、硬さが大きく、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく、離型性が良いなどの特性を備えているため、機械部品や金型などへの耐摩耗が要求される工業用めっきとしても利用されています。


ここまででも仕上げのクロムめっきと工業用のクロムめっきに別れており複雑に感じるかもしれません。


1.1装飾クロムめっき


装飾クロムめっきは、光沢ニッケルめっきなどの下地めっきの上に厚さ0.1〜0.5μm程の薄いクロムめっきを施す処理で、クロムめっきで得られた金属クロムは、大気中で酸素と結合することによって表面に透明で極めて薄い不動態膜を形成します。このことによって、ニッケルめっきがもつ美しい光沢を優れた耐食性のクロムめっきによりいつまでも美しい外観を保持することができるため、特に外観部品の装飾用として最適なめっきです。


下地にニッケルめっきやその他のめっきを施した上にクロムめっきを行うため、断面を確認しますとミルフィーユのような積層の皮膜になります。



1.2工業用クロムめっき



工業用クロムめっきは、素地を摩擦、摩耗から守るために素地に数μm〜数百μmの厚いクロムめっきを行います。下地に他のめっきを行う事もありますが、基本的には素地に厚いクロムめっきを直接処理を行うものが硬質クロムめっきです。


硬質クロムめっきを施した部品と未処理の部品を摺動させると、金属同士の摩擦により摩耗が発生します。その際に硬質クロムめっきも少量摩耗されますが、硬質クロムめっきの摩耗粉がバインダーとなり、摩耗が促進されます。

硬質クロムめっきの摩耗粉は非常に硬い粉であるため、めっき処理を施していない部品の組み合わせに比べ、摩耗が激しくなり、クロムめっきを施した製品ではなく特にめっき処理を施していない部品側を中心に摩耗が進みます。これを「かじり」と言います。

硬質クロムめっきを採用する場合、このような点に注意してください。




装飾クロムめっきと硬質クロムめっきの違い

クロムめっきには工業用途の硬質クロムめっきと装飾用途の装飾クロムめっきがあります。

どちらもクロム金属をめっきとして施す処理ですが、JIS規格の区分としては皮膜硬度HV750以上を硬質クロムめっきと区分しています。 装飾クロムめっきとの大きな違いとしては硬質クロムめっきは下地を必要としておらず、直接処理する場合や、ニッケルめっきや無電解ニッケルめっきを目的に応じて下地に施す場合などがあります。

装飾クロムめっきは下地にニッケルめっきを施す場合が多いため、ニッケルクロムとも呼ばれる事がありますが、同じ装飾クロムめっきです。 硬質クロムめっきの別名としては工業用クロムめっきや硬質クロムのフラッシュめっき、白あげ、ICrなどと呼ばれていますが全て同じ硬質クロムめっきです。


装飾クロムめっきも工業用クロムめっきもめっきの処理液としては同じ組成のものが使用されておりますが処理の方法で呼び名が変わります。


クロメート処理



クロメート処理はクロムめっきと同じ無水クロム酸を使った処理ですが、クロムめっきとの大きな違いはクロムめっきは析出する皮膜が金属クロムに対し、クロメート処理は化成皮膜であり、金属皮膜ではないため、価数を持ったクロム化合物となります。

クロメート皮膜には6価・3価の2種類があり、6価クロメート皮膜は3価クロメートに比べ耐食性に優れた皮膜です。 6価のクロメート皮膜の方が耐食性に優れており使用目的としてはいいのですが、RoHS指令に抵触してしまい海外に輸出される場合、環境指令に抵触し輸出できないなど使用できない場合があります。 その場合には3価クロメートを選択する必要があります。


また、クロメート皮膜の膜厚は非常に薄いため、寸法の変化がないことも大きな特徴の一つです。



まとめ

本記事ではクロムめっき、クロメート処理、装飾クロムめっきどの処理にも「クロ」が付いておりしかも全てクロムを使う処理ですので非常にわかりにくいのではないかと思い解説しました。


以下まとめです。


・クロムめっきには装飾クロムめっきと工業用クロムめっきがあります。

・装飾クロムめっきはニッケルクロムめっきと呼ばれる場合がありますが、同じ処理内容です。 ・工業用クロムめっきは白上げやICrと呼ばれますが、全て工業用クロムめっきです。 ・クロメート処理は化成皮膜で6価・3価があり6価のクロメートの方が耐食性に優れています。 ・輸出されるような製品の場合、環境対応の3価クロメートが優れています。



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【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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