アルミニウムの陽極酸化処理(アルマイト処理)は、表面の耐食性や装飾性を向上させるために広く利用される技術です。ここでは、陽極酸化処理の基本的な条件について解説します。
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アルマイト処理を行う前に、アルミニウム表面の油、汚れ、および不純物を必ず除去してください。これには脱脂、エッチング、スマット除去などの工程が含まれます。
通常は硫酸を主成分とする酸性の電解液が使用されます。この他にも、シュウ酸系やクロム酸系などの電解液がありますが、用途や求められる特性に応じて選択されます。 硫酸の場合、通常10-20%程度の濃度が使用されます。 硫酸濃度以外にも溶存アルミが増加する事で不具合の原因となるため、15g/l以下での管理が必要です。 一般的な処理温度は20〜25°Cです。ただし、温度を下げることでアルマイト皮膜の硬度が上がるため、硬質アルマイトの場合は0度に近い温度で処理を行います 一般的な電流密度は2〜3 A/dm²で行われておりますが、具体的な条件は処理目的や電解液の種類によって異なります。
アルマイト処理後に色付けを行う場合、染料を使用します。染色の方法や条件は、使用する染料の種類によって異なりますが、一般的には専用の染色液で数十分から数時間浸漬します。
染色後、皮膜表面の微細な孔を封じる処理を行います。これにより、皮膜の密度が向上し、耐食性や耐摩耗性が大幅に向上します。
アルミニウムの陽極酸化処理は、電解条件の適切な管理が変化します。電解液の種類、濃度、温度、および電流密度は、目的に応じて調整する必要があります。また、染色処理と封孔処理によって、さらなる機能性と美しさを加えることができます。 これらの条件をコントロールすることで、最適なアルマイト処理を実現し、製品の耐久性と装飾性を両立させることができます。アルマイト処理は、アルミニウム製品の表面硬度を大幅に向上させ(Hv200~600程度)、耐摩耗性を高めることができる優れた表面処理技術です
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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