top of page
お問い合わせ
電話番号

シアン化銅メッキ

 

シアン化銅メッキは、シアン化合物を含むアルカリ性メッキ浴(シアン浴)を用いる電気メッキ技術です。

このプロセスでは、メッキ対象物を陰極、銅を陽極としてメッキ液中で電流を流し、銅イオンを製品表面に析出させることで、均一かつ密着性の高い銅皮膜を形成します。

 

他の銅メッキでは難しい鉄鋼材料や亜鉛ダイカストといった素材に直接適用できる点が、その最大の強みです。

特徴と現在の状況

かつて、シアン化銅メッキはその優れた密着性から主要な銅メッキ技術として幅広く活用されていました。

しかし、近年では状況が変化しています。

 

硫酸銅メッキ浴の性能が向上し、新たな添加剤の開発が進んだことで、より扱いやすい方法で同等の密着性や光沢が得られるようになりました。加えて、シアン化合物が持つ高い毒性のため、その取り扱いや廃液処理には厳格な環境規制が適用され、多大なコストがかかります。

 

これらの理由から、現在シアン化銅メッキの使用は特定の専門分野に限られており、対応できる加工メーカーも減少傾向にあります。

​​

シアン化銅メッキの利点

厳しい制約がある一方で、シアン化銅メッキは、特定の用途において代替が難しい独自の技術的優位性を持っています。

まず、優れた直接密着性(ストライク銅メッキ)が挙げられます。一般的な酸性銅メッキでは、鉄鋼材料へ直接メッキすると水素脆性や密着不良を起こしやすいのですが、シアン化銅メッキはアルカリ性浴であるため、化学的に安定した状態で直接メッキでき、非常に高い密着性を実現します。特に、高い電流密度で水素ガスを伴うストライク銅メッキは、素地金属との密着力に優れ、つきまわり(複雑な形状の隅々までメッキが行き渡る性質)の良い銅皮膜を形成するため、メッキ層の剥離を防ぎ、製品の耐久性向上に貢献します。

次に、亜鉛ダイカストの下地処理における優位性があります。亜鉛ダイカストは活性が高く酸性浴では溶解しやすい性質がありますが、シアン化銅メッキはアルカリ性浴であるため、亜鉛を侵食することなく、後工程のニッケルメッキやクロムメッキの強固な下地として利用可能です。

また、浸炭防止効果も特筆すべき利点です。鉄鋼製品の熱処理プロセスにおいて特定の箇所への炭素の浸入(浸炭)を防ぐ目的で銅メッキが利用されますが、シアン化銅メッキはこの浸炭防止において特に高い効果を発揮します。銅の皮膜が炭素原子の拡散バリアとなり、素材の特定の硬化を防ぎます(なお、窒化防止にはスズメッキが用いられます)。

さらに、優れた均一電着性もシアン化銅メッキの強みです。光沢シアン化銅メッキは特に均一電着性が良く、複雑な形状の製品でも各部分をほとんど均一な厚さにメッキすることができます。これは、機能部品の性能維持に不可欠な特性であり、小物製品のバレルメッキなど、装飾メッキの下地としても利用されます。

最後に、メッキ液自体による洗浄効果も期待できます。メッキ液がアルカリ性であるため、被メッキ物の表面に付着した油分や汚れをある程度除去する効果があり、前処理工程の簡素化に貢献する場合があります。

シアン化銅メッキの欠点

シアン化銅メッキの採用を検討する際には、以下の重大な欠点を十分に理解する必要があります。

まず、メッキ浴に毒性の強いシアン化合物(青酸)が含まれるため、人体への影響が極めて大きく、取り扱いには特別な資格と厳重な管理体制(換気設備、保護具の着用、緊急時の対応計画など)が法律で義務付けられています。

次に、廃液中のシアン化合物は深刻な環境汚染を引き起こすため、専門的な知識と高額な設備を用いた厳格なシアン分解処理が必須となります。これにより処理コストも高く、環境負荷の低減が常に求められる技術です。

これらの理由から、シアン化銅メッキを選択する際は、その専門知識と安全管理体制が確立された、信頼できる加工メーカーとの連携が不可欠です。

お気軽にご連絡下さい。ご相談、お見積りは無料です。

​(受付時間 9:00〜18:00)

お電話でのお問い合わせはこちら

Q&A

お気軽にご連絡下さい。ご相談、お見積りは無料です。

​(受付時間 9:00〜18:00)

お電話でのお問い合わせはこちら

bottom of page