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【メッキ技能士直伝】スズメッキの特性と活用分野|環境規制対応の安全メッキ技術とは?

更新日:3 時間前

私たちの身の回りにある様々な製品に活用されているメッキ技術。その中でも、特に注目したいのが「スズメッキ」です。


耐食性、導電性、そして人体への低毒性。スズメッキは、これらの優れた特性を兼ね備え、幅広い分野で活躍しています。


この記事では、スズメッキの基礎知識から、知っておきたいメリット・デメリット、そして具体的な用途までを徹底解説。


「スズメッキって何?」「うちの製品に使えるの?」そんな疑問をお持ちの方も、この記事を読めばスズメッキへの理解が深まり、具体的な検討へと繋がるはずです。


■INDEX■


1.1. メッキとは

1.2. メッキに求められること

3.1. 耐食性

3.2. はんだ付け性

3.3. 安全性

3.4. 柔軟性

3.5. コスト

4.1. ウィスカ

4.2. その他のデメリット

5.1. 電気電子部品

5.2. 食品容器

5.3. 建築材料


 

1. メッキについて

1.1. メッキとは


メッキは、古代から人類が用いてきた技術です。素材の表面に金属の皮膜を付着させることで、素材を保護したり、新たな特性を付与したりします。この技術のおかげで、長期間保存されている建築物や構造物も少なくありません。


素材に金属の皮膜を付着させる方法はいくつかあり、現代では電解メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなどが広く活用されています。


1.2. メッキに求められること


メッキを行う目的は大きく分けて3つあります。


1つ目は、素材および構造の保護です。素材を風雨による腐食や外力から守り、構造の強度を維持したり、耐久性を向上させます。


2つ目は、素材に機能性を付与することです。例えば、電気的特性や熱的特性の付与、電子部品のメッキにおけるはんだ付け性の向上など、表面の性質を変化させます。


3つ目は、外観の向上です。金や銀など、美しい金属の皮膜をメッキによって付着させることで、見た目を美しくすることができます。


メッキの目的はケースバイケースで異なり、求められる機能に応じてさまざまな種類のメッキが選択されます。メッキの種類とは、付着させる金属の種類のことです。現代までに蓄積された技術によって、その種類は多岐にわたります。



2. スズメッキとは


本記事では、数あるメッキの中でもスズメッキに焦点を当ててご紹介します。


前述のメッキの定義のとおり、スズメッキは素材にスズという金属の皮膜を付着させる技術です。スズは安定性の高い金属として知られており、錆や腐食を抑制する効果があります。また、非常に柔らかく、曲げたり伸ばしたりといった加工性に優れています。このようなスズを付着させるスズメッキの皮膜は、基本的にスズ自体の性質を受け継ぎます。


例えば、耐食性を利用した代表的なものとして、古くから活用されているブリキがあります。ブリキとは、鉄鋼材にスズメッキを施したもので、まさにスズメッキの典型的な事例です。ブリキ製品は錆びにくく、その結果、無垢の鉄鋼材に比べて製品寿命が格段に向上します。


3. スズメッキのメリット

3.1. 耐食性

スズメッキのメリットの一つはブリキでもわかるような耐食性です。


鉄鋼材などの構造に用いる材料は、強度が高いことで用いられるのですが、腐食してしまう性質もあります。腐食とは、材料が空気中の水分などと反応して化学変化を起こし、劣化したり機能を損ねてしまうことです。


腐食してしまった鉄鋼材は、本来の強度を保つことができず、そこから構造が崩れてしまうことすらあります。メッキはそのような腐食から材料を守る有効な方法です。

錆びにくく安定しているスズメッキもその例の一つです。

スズメッキは耐食性の観点から、多くの構造部材や機械部品などにも用いられています。


3.2. はんだ付け性

スズの代表的な性質の一つに、融点の低さもあります。


融点とは、熱によって溶けるときの温度のことですが、スズは比較的低い温度で溶けてしまうのです。表面が簡単に溶けてしまっては困るようなイメージも持たれがちですが、この性質を逆手に利用すると、電子部品などのはんだ付けにもってこいの性質となります。


電気的特性にも富み、通電もしやすいスズは、今やはんだメッキに変わって電子部品のメッキの主力となっています。実ははんだという金属の場合、鉛を用いた化合物であるため、毒性があることから昨今では使用を敬遠されているのです。

このあたりのことは次の項目で詳しく説明します。


3.3. 安全性

スズという金属は毒性が低く、安全性に優れています。

その性質から、食品を扱うような部品などで使っても問題ないほどです。


昨今では環境性の観点からも、毒性のある技術は使うことができません。

例えば、前述のようなはんだは、スズと鉛の合金ですが、鉛は人体への影響が大きく、使うことができません。このような傾向は、世界規模で進んでおり、RoHS規制というヨーロッパで定められた環境規制に従うことが一般的とされています。


スズメッキはこのRoHS規制に抵触することもなく、安全性も高い技術として知られています。


3.4. 柔軟性

スズはとても柔らかい金属です。

そのような柔らかい金属の皮膜は、表面の柔軟性にも繋がります。


スズメッキした材料は、メッキしたまま変形加工などもできるほどです。

また、表面が柔らかいということは、他の部品と接する部品に用いる場合、接する相手側の部品を傷つけずに済むという利点もあります。


3.5. コスト

スズメッキはコネクタや端子のメッキとしてもよく知られています。

このようなメッキには金メッキなどを用いることもありますが、スズメッキは金メッキなどと比べると、安価です。





4. スズメッキのデメリット

4.1. ウィスカ

スズメッキにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

スズメッキの最も有名なデメリットはウィスカです。


あまり聞き慣れないものかもしれませんが、ウィスカとは内部応力などが原因でスズの単結晶から生成されるヒゲ状の突起のことです。スズメッキは電気部品などに使用されることが多く、その場合にはこのウィスカが大きな問題を引き起こしてしまいます。


電気部品に使われているということは、回路上にスズメッキが施されることも少なくありません。ウィスカのような突起が発生してしまうと、電気的に意図しない場所に回路が繋がってしまい、動作を狂わせてしまったり、ショートさせてしまうこともあるのです。


また、それにより熱負荷が生じ、火災が起きてしまうリスクすらあります。

実はウィスカの発生原因は詳細が解明されていないのが現状です。ただし、ウィスカを防ぐため、下地メッキを施すことは有効とされています。純粋なスズメッキでなく、スズ合金メッキ(スズ-ビスマス合金メッキ、スズ-銅合金メッキ等)ならウィスカは発生せず、環境に負荷をかけないスズ合金メッキを選択することも一手ではあります。

また、メッキ時の添加剤で抑制する方法もあります。


4.2. その他のデメリット

他に、スズ自体の性質によるデメリットもいくつかあります。


例えば、スズは柔軟性が高いというメリットを挙げましたが、裏を返せば柔らかく変形しやすいということにもなります。スズメッキをした部品は他の部品を傷つけることはありませんが、それ自体は傷つきやすくなってしまいます。


耐食性なども期待してメッキをしている場合、メッキが傷つくとその箇所から腐食しやすくなってしまうこともあり得ます。



5. スズメッキの用途例

5.1. 電気電子部品

スズメッキは、その特徴的な性質から、さまざまな用途に用いられます。

典型的な用途は電気電子部品です。


例えば、金属端子に使用する場合は金メッキなど他の方法より低コストで行い、表面に導電性などの電気的特性を付与することができます。コネクタのメッキなどにはよくスズメッキが用いられます。


また、はんだ付け性に優れていることから、回路基板などにもよく利用されます。

ただし、電気電子部品に用いる場合は前述のウィスカに注意することも必要な条件となります。


5.2. 食品容器

スズメッキは安全性の高いメッキです。

したがって、金属製の皿やコップ、弁当箱などの食器容器にも用いられます。


なお、本記事ではここまでスズ=無害としていましたが、これはスズメッキなどに用いられる無機スズの場合のみです。スズ自体の有害性は人工的に作られた有機スズとスズメッキなどに用いられる無機スズとで違いがあり、実は有機スズの場合は環境ホルモンとして人体に有害な性質を持っています。


5.3. 建築材料

既に本記事でも出てきたいわゆるブリキは鉄鋼材にスズメッキをしたものです。

ブリキは缶詰や玩具のような小型の製品にも用いられますが、屋根材など建築材料にも用いられます。錆びにくく、水分や酸にも強い特性です。

光ケーブルやソーラーパネルの保護材などに用いる場合もあります。



6. スズメッキの最新動向

スズメッキは市場規模としては拡大傾向にあります。

環境に優しい上にはんだ付け性や導電性を有しているため、さまざまな電気部品や半導体部品にも欠かせない存在となっています。


特にスマートフォンや電気自動車分野はその勢いを伸ばしており、その成長度合いはさらに伸びることも予測されています。そのため、スズのリサイクルなどについても真剣にその重要性がさけばれている現状があります。


また、環境対応型スズメッキ、高機能スズメッキなど、最新技術も続々と研究開発されています。



7. まとめ

スズメッキについて解説してきました。

以下はそのまとめです。


・スズメッキは素材にスズの皮膜を付着させる技術で、さまざまな特徴がある。

・スズメッキは耐食性が高く、例えば鉄鋼材にスズをメッキしたブリキなどは古くから用いられている。

・スズメッキは導電性も高く、はんだ付け性も良い。

・スズメッキの導電性やはんだ付け性を利用して、電気電子分野に広く利用されている。

・スズメッキは毒性が低く、RoHSの環境規制にも抵触しない。

・スズメッキはテクノロジーの発展に伴い、今後もさらに普及することが予測されています。



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1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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