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錫メッキの信頼性を脅かす
「ウイスカ」とは?

 

「ウイスカ(whisker)」とは、金属表面から金属単結晶が自然に針状やノジュール状に成長する現象を指します。特に錫(Sn)めっきや亜鉛(Zn)めっきで発生することが知られています。ウイスカという名前は、猫やネズミの「ひげ」に形が似ていることに由来しています。

ウイスカが引き起こす深刻な問題
 

電子回路や接続部においてウイスカが成長すると、回路間のショート(短絡)を引き起こし、電子機器の故障や誤作動の原因となります。

ウイスカによる問題は、古くから認識されていました。1946年には、カドミウムめっきが使用されていたラジオのバリアブルコンデンサで、ウイスカによる短絡故障が多発し、大きな注目を集めました。1950年代には、鉛を微量合金化させることでウイスカの成長を抑制する対策が主流となりました。

しかし、2000年代に入り、環境規制の強化に伴う鉛フリー化の動きが加速し、鉛を含まない純錫めっきが広く採用されるようになりました。これに伴い、腕時計から原子炉、さらにはNASAの人工衛星やスペースシャトルといった航空宇宙分野に至るまで、錫めっきのウイスカによる故障が相次いで発生。再び、ウイスカは電子部品の信頼性における極めて重要な課題として浮上しました。

錫めっきウイスカの発生原因
 

ウイスカの根本的な発生メカニズムは未だ完全に解明されていませんが、以下の要因が複合的に影響すると考えられています。


金属間化合物の拡散は、錫めっきと下地の銅が反応して生じる体積変化や応力により、ウイスカの成長を促進する可能性があります。

異なる金属が電気的に接触して生じる電位差、すなわちガルバニック腐食(異種金属接触腐食)が、ウイスカの成長に関与する可能性があります。

​部品の組み立て時や使用中に加わる機械的な応力が、ウイスカの発生を誘発する可能性があります。

​錫めっきと素地の材料間で熱膨張係数が異なる場合、温度変化によって生じる応力がウイスカ成長の要因となることがあります。

錫めっきウイスカが発生しやすい環境
 

錫や亜鉛のウイスカは室温付近でも成長が見られますが、特定の環境条件が元素の拡散を促進し、ウイスカの発生・成長を加速させます。代表的な環境条件は以下の通りです。
 

  • 特別な外的要因がなくても、長期間の室温放置でウイスカが成長する可能性があります。

  • 急激な温度変化が繰り返されることで、熱膨張係数の差による応力が発生し、ウイスカ成長が促進されます。

  • 高温多湿や腐食性のガスが存在する環境では、ウイスカの発生が加速する傾向があります。

  • コネクタの嵌合や部品の固定など、外部からの機械的圧力が加わることで、ウイスカが発生しやすくなります。

  • 電流密度が高い半導体やフリップチップなどの特殊な実装では、金属配線に電流が流れることで金属原子が移動する「エレクトロマイグレーション現象」が発生し、陽極側にウイスカが成長することがあります。

エレクトロマイグレーション現象とは、集積回路の金属配線に電流を流した際に、金属原子が移動する現象です。例えば、アルミ配線の場合、電子が流れる方向にアルミ原子が移動することで、陽極側にウイスカやヒロックが発生・成長します。

錫めっきウイスカの信頼性評価試験
 

錫めっきウイスカの発生リスクを評価するためには、様々な条件下での促進試験が実施されます。

【評価試験方法】
 

  • 室温放置試験
    目的:金属間化合物や拡散の影響によるウイスカの成長観察
    環境:30±2∘C / 60±3%RH
    時間:4000Hr
     

  • 恒温恒湿試験
    目的:ガルバニック腐食によるウイスカの成長観察
    環境:55±3∘C / 85±3%RH
    時間:2000Hr
     

  • 温度サイクル試験
    目的:熱膨張係数の差によるウイスカの成長観察
    環境:低温 −55±5∘C または −40±5∘C / 高温 85±2∘C または 125±2∘C
    周期:2000サイクル
     

  • 外部応力試験
    目的:外部応力の影響によるウイスカの成長観察
    種類
    ①コネクタ嵌め合い試験(実際の製品を使用)

    ②荷重試験(球形 0.1Φ のジルコニア球を 300gf の荷重で 500h 保持)

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