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頻繁に利用されているのに知られていないスズメッキ、こんなに特徴のある皮膜です。


身近なところですとスマートフォン、自動車、あらゆる家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)、最先端技術(5Gや宇宙関連)から昔から使われているネジなどの防錆めっきなど幅広く使われております。


そのなかで近年、IT機器の需要が増していることに合わせて、利用が増加中なのが『スズメッキ』です。スズはその特性として柔らかく、延性があり、融点が231.9℃と低く、固定金属と固体金属のはんだ接合や、しゅう動部のなじみ性に有効であることから、電子部品や自動車、飛行機などから産業用製造装置など幅広く利用されています。


スズメッキの歴史としては、紀元前16世紀の北部メソポタミアでは鉄器などへのスズめっきが行われていたとされています。そんなスズメッキは1970年代に入ると電気・電子部品工業における生産量の急速な伸びと携帯電話、情報端末機器などの電子機器の小型化に伴い、電子部品の小型化とセラミックスまたはガラスなどの絶縁材料がメッキ部分が一体となったチップ部品が増大するようになりました。


その結果、電子部品の素材が変化するとともに従来のスズメッキ浴ではセラミックスまたはガラスなどの素材が侵食されるため使用が困難になり、これらの素材が侵食されにくい中性のスズメッキが開発されました。


今では当たり前に使われているスズメッキですが、以前はスズー鉛合金メッキ(半田メッキ)が主流でしたが、米国において、廃棄された電気製品の接合部から酸性雨の影響により鉛が溶出し、地下水を汚染し、飲料水などから鉛が人体に取り込まれ、鉛中毒の原因となることが懸念され、鉛フリー半田メッキ=スズメッキへ移行することが不可避となりスズメッキの開発が盛んになりました。


あまり知られていませんが、スズメッキにはこんなに優れた特性が

あまり知られていませんが、スズメッキにはこんなに優れた特性が


  1. スズメッキは非常に柔らかく延展性に優れている。

  2. 溶融点が低い。

  3. ハンダ付け性に優れている。

  4. 人体に害が少ない。

  5. 有機酸に対して耐食性に優れている。

  6. 窒化防止に優れている。

  7. しゅう動部品のなじみ性に優れている。

  8. 装飾性に優れている。


優れた様々な特性をもう少し掘り下げてご紹介。


1.金属なのにすごく柔らかいスズメッキ皮膜


スズメッキの硬さを比較してみたいと思います。

その前にメッキの皮膜硬度にはビッカース皮膜硬度が使われますが、ビッカース硬さ試験とは硬さを表す尺度の一つで、押込み硬さの一種で、ダイヤモンドでできた剛体を被試験物に対して押込み、そのときにできるくぼみの面積の大小で硬いか柔らかいかを判断する試験方法です。


このビッカース硬度で比較した場合、例えばアルミニウムはアルミ缶にも使われる非常に柔らかいイメージのある金属ではないかと思いますが、このアルミA7000系の超々ジュラルミンと呼ばれるアルミの硬度がHV150程度、スズメッキにも数種類ありますが、どのメッキ皮膜もアルミのHV150を大きく下回る柔らかさを持った皮膜です。


  • 光沢スズメッキ・・・・HV40~60

  • 半光沢スズメッキ・・・HV14~16

  • 無光沢スズメッキ・・・HV5~7

  • アルカリスズメッキ・・HV3~4


柔らかいスズメッキ皮膜ですが、柔らかい皮膜であるからこそのメリットが・・・・「製品を傷つけない」スズメッキを施した製品を治工具として使用した場合、喧嘩してもスズメッキが柔らかいため、傷を付けることを避けることが可能です。


2.溶融点の低いスズメッキ

スズメッキの融点は231.9℃と非常に低いため、ろう付け、はんだ付け性など接合技術に幅広く利用されています。


スズメッキ自体も非常に融点が低いのですが、昨今の電子部品では性能向上により耐熱性が低くなっています。

低い耐熱性の製品に対してのはんだ接合をクリアするために低融点のスズメッキが求められています。


3.優れたハンダ付け性のスズメッキ

ハンダ付けは固体の基材間に液状のハンダを供給し、このハンダが固体に拡散して合金層を形成することで両者を接合する技術で、ろう接合の一種です。


家電や電子部品の部品実装には、比較的融点が低く、安価なスズ-鉛合金メッキ(ハンダメッキ)が用いられていましたが、RoHS規制などの環境対応の要求から鉛の含まない鉛フリースズメッキへと替わってきましたが、金属のハンダ接合性には低融点であることが必要ですが、その点でスズメッキは先にお伝えしたように融点が231.9℃と非常に低く有効な金属ですが、スズメッキにはウイスカ(whisker)が問題になるんです。


ウイスカ(whisker) とはほおひげ、または動物のひげの事を表すのですが、その形状や発生の仕方がひげのようであることから金属やその他の固体の細線状の結晶成長をウイスカと呼んでおります。このウイスカが発生することで、回路同士が繋がり障害を発生させる原因となります。


このウイスカ対策皮膜としてスズメッキをベースにビスマス、銅、銀、亜鉛などの合金メッキが開発され、合金化することでスズメッキ単体の皮膜よりも低融点になり尚且RoHS規制にも対応できたことで、電子部品での利用拡大に期待されています。


参考までにスズメッキをベースにした合金メッキについて融点は以下になります。

  1. スズ-銅(0.7%)合金メッキ  融点227℃

  2. スズ-銀(3.5%)合金メッキ  融点221℃

  3. スズ-亜鉛(9%)合金メッキ    融点198℃

  4. スズ-ビスマス(58%)合金メッキ 融点139℃

※スズ-ビスマス(58%)合金メッキは最も低い融点となりますが、はんだ接合時の実装部品のリフトオフの問題や皮膜がもろくなるなどの問題があるためスズ-ビスマス合金メッキ(1~5%)が使用されています。



4.人体に害が少ないスズメッキ



金属スズは毒性のない金属として知られており、昔から食器などに使われておりますが、人体に害があると思われている方もおられるかと思います。勘違いされる原因は、人工的に作られた有機スズとスズメッキなどの無機スズが同一物質と思われ、スズ=有害と勘違いされていることがありますが、有機スズとスズメッキなどの無機スズとは別物で、無機スズは毒性のない金属となります。


5.有機酸に対して耐食性に優れるスズメッキ



スズメッキ皮膜は、有機酸に対して腐食されにくい特徴がある事から缶詰、屋根、容器などに使用されています。

スズメッキはバリヤー型の防錆であるため、スズメッキ皮膜が鉄素材を完全に被覆している状態であれば優れた防錆を示しますが、皮膜に傷などの欠陥を生じると鉄素材の腐食が促進されます。


スズメッキ以外にも、スズ-亜鉛合金メッキやスズ-亜鉛-鉄合金メッキなども特有の耐食性を持った皮膜であるため、色んな耐食性の用途に応じて使い分けを行っております。


6.窒化防止に優れたスズメッキ

窒化処理とは、鉄鋼などを高温の窒化雰囲気に暴露することで、鋼の表面近傍(1mm以内)に窒素を浸透させて硬化させる処理で、表層が高硬度になるため耐磨耗性に優れており、窒化物を形成することで表面付近に圧縮残留応力が発生するため優れた疲労強度を有しておりますが、部分的に窒化処理を避けたい場合にスズメッキを施すことで窒化処理を防止することが可能です。


7.潤滑性(摺動性)にも優れたスズメッキ

スズメッキは潤滑性(摺動性)にも優れております。

スズメッキ、各種スズ合金メッキはベアリングなどの潤滑性を目的としたメッキ皮膜としても幅広く利用されております。


8.装飾性にも優れたスズメッキ

スズメッキは装飾目的でも使用されています。

しかし、スズメッキ単体は非常に柔らかいメッキ皮膜ですので、使用時に傷がつきやすいなど装飾目的ではデメリットとなります。そこでスズと他の金属を組み合わせた合金メッキが装飾目的では使用されます。

装飾クロムメッキに似た色調としてスズーコバルト合金メッキ、ピンクがかった外観であればスズーニッケル合金メッキ、黒色の外観であればスズー銅ー亜鉛合金メッキなどが利用されています。


スズメッキにデメリット(短所)はあるの?

色んな優れた特性の多いスズメッキですが、スズメッキのデメリットにはどのようなものがあるかメッキ処理業社としてご案内します。


スズメッキのもつデメリットは以下の様なものがあります。

  • バリヤー型の防錆機構であるため、スズメッキが完全に鉄素地を被覆していると防錆に優れていますが、スズメッキ皮膜に欠陥が生じ素材が露出すると、腐食が促進します。

  • スズメッキの皮膜が柔らかい(金メッキなどよりも柔らかい)ため、布などでの拭き取りで擦り傷がつきやすい。

  • 高温で使用できない(融点231.9℃と低いため、高温下で使用した場合皮膜が溶解してしまう。


以前、こんなお問い合わせがありました。


「スズメッキを施した製品を在庫保管しているのですが、手で握った部分や倉庫管理による変色、シミ等の問題発生で困っております。発生した変色を除去することは可能でしょうか」


それについての回答はこちらです。


結論からお話させていただくと、変色してしまったスズメッキの変色のみを除去することはできません。

シミや変色を除去する方法としましては、現在のスズメッキを全て除去し再度メッキを施す方法しかございません。


このように変色やシミが発生してしまうと、現在のメッキ皮膜を除去しないと問題解決できないため、変色やシミの発生しにくいスズメッキを施す事が重要となります。


方法としましてはリン三酸ナトリウムの溶液やクロメート処理を施すことで変色を防止できますが、デメリットとしましてハンダ付け性が低下するなどがございますので、目的に応じた変色防止を行う必要があります。


ただ、こちらはあくまで提案事例ですので、お客様の使用する環境・目的によって変わってきます。スズメッキでお困りの際は、ぜひ弊社までご相談ください。



まとめ スズメッキで延展性、ハンダ付け性、潤滑性、耐食性向上!


スズメッキを加工することで、延展性、ハンダ付け性、潤滑性、耐食性の向上

が可能です。

さらに、さまざまな素材、複雑な形状にもスズメッキができます!

はんだ付けができ、RoHS(ローズ)指令に対応(鉛フリーのメッキ皮膜なので安全)しています。


反対にデメリットは、

  • スズメッキ皮膜に欠陥が生じ素材が露出すると、腐食が促進。

  • 布などでの拭き取りで擦り傷がつきやすい。

  • 高温で使用できない


スズメッキにもデメリットがありますが、それ以上に様々な優れたメリットあります。

弊社では、光沢スズメッキだけでなく、無光沢スズメッキにも対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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