知っていますか?皆様の愛車にはめっき処理を施した部品が大量に使われている事を。
現代社会のもっとも身近な移動手段である自動車やバイク、そこで使われている機械部品の多くにもめっきの技術が利用されています。
自動車やバイクに使われるめっきとは
自動車やバイクには多くのめっき処理が使われています。外装品・内装品など装飾目的の部分はもちろんですが、機械部品など見えない部分にもめっきの技術が必要とされ、重要な役割を果たしています。外装などの装飾目的のめっき処理よりも、むしろ自動車の内部など見えない部分の方が圧倒的に多くのめっき処理された部品が使われています。
具体的に紹介すると、まず外装品でエンブレム、フロントグリル、ドアノブやアルミホイールなど、内装品でインパネルやシフトノブなどの手に触れる部分などに使われています。
車の内部の部品としては、エンジン関係や歯車・ギア・シャフトなどの部品にめっき処理が施された部品が使用されています。 これら外装品・内装品・機械部品のどのようなところに、どのような役割をめっきの技術が果たしているのかを見ていきましょう。
使用されている部品から見るめっきの役割
外装品、内装品において、エンブレムやフロントグリルなどは見た目の美しさや高級感の目的で、ドアノブ・スイッチ類などは手触りの良さでめっき処理が利用されています。これらの多くは、プラスチック樹脂にめっきを施すプラめっき(プラスチックへのめっき)が利用されています。
プラスチック樹脂へめっき処理が多く利用される理由としては、加工のしやすさや、部品を軽くすることができることで、低燃費につながることが挙げられます。また、手に触れる部分は、金属の抗菌作用も利用される一つの要因になっています。 このように、目に触れる部分、手に触れる部分は、めっき処理を利用することで、機能性と見た目の両立がなされています。
また、機能面でめっき皮膜の硬さ、耐摩耗性、潤滑性などの機能性が利用されています。 表面硬さや耐摩耗性は部品の表面強度を増す目的に、潤滑性はエンジンのシリンダーや歯車をスムーズに動かし効率良く力を伝達するための機能として使われています。
エンジンとモーターの組み合わせたハイブリッド車やモーターのみで動く電気自動車などが普及し始め、自動車も電気的制御がなくてはならないものになっています。大容量のバッテリーを利用し、高出力のモーターの制御には、数多くの特殊装置が必要になります。これら電気制御系の装置にもめっきの技術が使われています。
自動車に限らずですが、脱炭素への対応が必要となります。
欧州連合は2035年にはブリット車を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、排ガスを出さない「ゼロエミッション車」のみとする案を示されました。
日本車メーカーは今後10年程度は強みとするハイブリット車を拡販できますが、同時に電気自動車や燃料電池車への投資を拡大する必要があります。
ガソリン車に限らずハイブリット車、電気自動車・燃料電池車にもめっき技術は欠かせない技術となります。
自動車やバイクには、さまざまな制御のための電子制御装置が組み込まれ、それらにはプリント基板や多くの電子部品が使われています。そして、当然ながら、そこには多くのめっきの技術が使われています。乗り物の場合、振動や高温など過酷な環境下での使用となるので、製品の耐久性はもちろんですが、めっきも信頼性の高い処理方法が必要となります。
今でも自動車やバイクの内部にたくさんのめっきが使われておりますが、電気自動車や電動バイク、燃料電池車に代わることで電子制御が今まで以上に増えることから、めっきの需要が伸びることが想定されます。
まとめ
ここでご紹介しましたように、自動車やバイクなどの乗り物には、機械的な部分や電気的な部分、さらに装飾的な部分でもめっき処理がたくさん使われています。
自動車やバイクに乗られたとき、見える範囲でも多くのめっきが見つかるでしょう。そして、見えない部分には、それ以上のめっき処理が使われていることを、今回のお話から思い出していただけると嬉しいです。
今後も電気自動車や電動バイク、燃料電池車に代わることで電子制御が今まで以上に増えることから、めっき技術がゼロカーボンなどに一役買う技術となります。
めっきは種類が多く、それぞれに目的や用途により使い分けを行う必要があります。
ご使用の目的など弊社の担当者に伝えて頂ければ目的に応じためっきをご提案させて頂きます。
お急ぎの方はこちら 直通電話 090−6819−5609
【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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