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【メッキ技能士直伝】知っていましたか?めっきって日本語なんですよ。

更新日:2023年8月30日

めっき処理ってよく知らないって方もめっきの歴史を少し知って頂ければ

少し興味が出てくると思います。


「めっき」は現在平仮名でめっきと表現されていますが、この表記になるまでに実は色々と呼び名が変わってきたんです。

塗金(ときん)〜めっきになるまで

水銀に他の金属を混ぜ合わせそれをめっき処理を行いたい製品の表面に塗り、熱によって水銀を蒸発させ他の金属を付着させる方法、これが古くから利用されてきためっきの方法で、塗金(ときん)と呼んでいました。現在のアマルガム法にあたります。 水銀に金を溶かし込むと金色が無くなり水銀の銀色になります。その不思議な現象で金が滅するという意味から滅金 (めつきん)と呼ばれるようになり、鍍金(めっき)へと変化しました。

鍍金の鍍の漢字が常用漢字で無いことから、新聞などの表記ではめっきやメッキが使われるようになりました。読みやすさなどからカタカナのメッキが使われることも多いのですが、めっきは歴史ある日本語です。JIS規格ではめっきが正式な表記方法になっています。


起源は3500年前

めっきの起源は古く、紀元前1500年ごろメソポタミア北部(現在のイラク)のアッシリアで、金属の腐食の防止目的で錫(すず)めっきが行われていたようです。紀元前700年ごろには、東ヨーロッパの遊牧民族でアマルガム法で青銅に金めっきが行われていました。中国では、紀元前500年ごろに青銅器に金めっきを施したという記録が残っています。

かなり昔から全世界的にめっきが使われていました。


電気めっきの登場

長い歴史のなかで、大きな転換点になったのが、電気めっき(電解めっき)の登場です。

イタリアの物理学者・ボルタが1800年に考案したボルタ電池によって、人類は電気を実用化できるようなりました。この功績により、ボルタの名前は電圧(英語ではvoltage)と電圧(電位差)の単位ボルト(volt)に残されています。

電池の誕生から5年後、1805年に電気めっきが発明されました。電気めっきの登場で、さまざまな金属のめっき法が開発され、用途もこれまで防錆、装飾から格段に増えることになりました。安定した発電のできる発電機が開発されると、機械部品などの量産に対応できるようになり、めっきの利用範囲がさらに広がることになりました。


化学めっきの始まり

化学めっき(無電解めっき)の始まりは、1835年にドイツで開発されたガラス面に銀を析出させる銀鏡反応が最初とされています。鏡は現在でも基本的に同じ手法により作られていますから、毎朝見るもっとも身近なところに化学めっきの歴史が刻まれているんですね。

20世紀初頭になると銅鏡処理が使われるようになりました。そして、現在の最も代表的な化学めっきである無電解ニッケルは、1946年ごろにアメリカで発明されました。


日本国内では

日本では、古墳時代後期の700年ごろ、大陸から仏教と共にめっき技術が伝来し、馬具などにめっきが施されるようになりました。以降、仏像や装飾品、刀剣などに使用されるようになりました。もちろん、このころのめっきは、水銀を利用したアマルガム法によるものでした。

一方、電気めっきは、時代がずっと下がって江戸時代の幕末、薩摩藩藩主の島津斉彬が鎧兜の装飾用として利用したのが最初と言われています。


東大寺の大仏にもめっき処理

752年に完成した東大寺の大仏(盧舎那仏像)は、当時の最先端技術であるめっき処理が大活躍しました。高さ15メートルの巨大な仏像は、全体を8分割し段階的に銅で鋳造し、全体像が完成した後に表面に金のめっき処理を行っています。

鋳造した大仏を砂や砥石で磨いた後、ザクロ酢仕上げを行っていたようです。その後、金アマルガムを均等に塗り、白く乾燥したところで炭火を使用して水銀を蒸発させながら磨くと金だけが蒸着する方法で金めっきが施されました。 巨大な大仏像全体に金めっきをするのに要した期間は、なんと5年!

黄金に輝く大仏像を目にした当時の人々は、どんなに驚いたことでしょう。日本に仏教が根付いた背景には、めっき処理の役割も大きかったのですね。


そんな黄金の大仏製作には負の部分があります。

当時の金めっき大量に使用された水銀です。水銀は飲み込んでも有害ではありませんが、金属で唯一液体である金属水銀は、常温で容易に蒸散します。この水銀蒸気を吸入した場合、呼吸器から吸収され猛毒に作用し死に至ります。


大仏建立では、閉鎖空間の建屋内で、大仏に塗布したアマルガムの水銀を飛ばす作業が5年以上も続けられた結果、作業に従事し水銀蒸気を吸った多くの人が、水銀中毒によって死亡することとなりました。


現在はこのような危険な方法でめっき処理されることはありませんが、このイメージが残りめっき=環境汚染のようなイメージが残っているのかも知れませんね。


また、めっきが剥がれるということわざがありますが、隠れていた本当の姿が現れるという同じ意味で使われます。昔のめっき皮膜は、剥がれやすかったために、こんなことわざができたようですが、現在のめっき皮膜は剥がれにくくなっていますので、なかなか本当の姿が現れないものとなっています。


まとめ

かつてのめっきの用途は、見た目の美しさを利用する装飾めっきがほとんどでした。

もちろん、現代でも装飾美、腐食防止としても数多くの場面で利用されていますが、その真価は、機能めっきで発揮されています。めっきは見た目以上に、いろいろな中身(機能)で活躍しているのです。


ことわざに使われるめっきは良いイメージの使われ方はしておりませんが、めっきは業界問わずあらゆる業界に使われている技術です。

今後も資源の削減を考える上でもめっきは有効な技術です。


めっきは種類が多く、それぞれに目的や用途により使い分けを行う必要があります。

ご使用の目的など弊社の担当者に伝えて頂ければ目的に応じためっきをご提案させて頂きます。


お急ぎの方はこちら 直通電話 090−6819−5609




【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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