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【めっき技能士直伝】日常生活に使われているめっき技術

更新日:2023年8月26日

めっき技術は日常生活であらゆる場所で使われています。

代表的なめっき技術の使用例をご案内致します。



■INDEX■


 

1.自動車



自動車に使われる代表的なめっき部品の使用例をご紹介します。

めっき技術は次のような役割を果たしています。



1-1.表面を美しく見せるための外装部品用装飾めっき

見た目に美しい金属光沢を与えるめっきを装飾めっきと言います。

エンブレムやフロントグリル、ドアハンドルなど金属部品に見える部分は、プラスチック上にめっきを施したものが使われています。

プラスチック上に無電解めっきした上に銅めっき、ニッケルめっき、クロムめっきの順に重ねてめっきが施されています。


自動車の外装部品は工業地帯での酸性雨や寒冷地区の凍結防止用に散布された塩類を含む土砂など厳しい環境に長期間耐える必要があるために、外装用のめっきには高い耐食性が求められます。



1-2.摩耗を防ぐ硬質めっき

車のエンジン部品などでは摩耗を防ぐ目的で硬質のめっきが使われています。

例えば、エンジンのピストンリングやシリンダーの内壁には硬質クロムめっきやニッケルーリンーSiC複合めっきなど硬いめっき皮膜を施し、激しい往復運動による摩擦に対し摩耗を防ぐ目的で利用されてます。



1-3.サビ止めのための各種防錆めっき

自動車の構造材料には鉄鋼が多く使われています。

鉄材は優れた強度が特徴ですが、サビやすいという欠点があります。めっきを施さず鉄材のまま使用しますとサビが発生してしまい、自動車のように長期間使用されなおかつ構造強度を保つ必要がある場合、サビが大きな影響を及ぼしてしまいます。

そこで、鉄鋼のサビ止めの目的で亜鉛めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき、溶融亜鉛めっきなどが使われています。




2.コンピューター



日常生活や業務に欠かせないパソコンやスマートフォンにもめっきが施された部品が多く使われています。特に機能性を目的としためっきが使われていますのでご紹介します。


2-1.電磁波シールド用のめっき

コンピューターは外部からの電磁波により、ノイズの発生や誤動作など電磁波障害を受ける恐れがあります。コンピューターの筐体(ケース)に電導性があれば外部からの電磁波を吸収または反射する事ができますが、一般的なプラスチックには導電性が無いため電磁波を防止する事ができません。


そこで、コンピューターの筐体にめっきを施す事で電導性が確保でき外部からの電磁波を防止する事が可能です。



2-2.プリント配線板用のめっき

ノートパソコンに内蔵されているプリント配線板は、ガラスエポキシという合成樹脂表面に印刷配線された銅の回路が形成され、その上にICチップや抵抗体、コンデンサーなどの電子部品が搭載されます。

このプリント配線板には無電解銅めっき、電気銅めっき、錫めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきなど色々なめっきが使われています。



2-3.半導体および半導体パッケージングのためのめっき

プリント配線板に搭載されるICチップにもめっきが利用されています。

IC半導体の金属回路製作に以前はアルミニウム蒸着法が使われていましたが、IC回路の高密度化につれて電導性の良い銅めっきを用い銅ダマシン方と呼ばれる方法で回路が製作されるようになりました。



2-4.接点、コネクターのためのめっき

コンピューターと電源の接続や電子部品間の電気接続には接点やコネクターが使われていますが、この接点部に金めっきや錫めっきが使われています。

金は化学的に安定で低接触抵抗を維持できるため、接点、コネクター部分に金めっきが用いられています。

コネクターや接点に金めっきが使用される場合、抜き差しの動作により摩耗がある事から金めっきにコバルトやニッケルなどと合金化した硬質金めっきが使われます。



2-5.ハードディスクへのめっき

コンピューターのデータを保存するためにハードディスクが使われていますが、ハードディスクはアルミニウム合金上に無電解ニッケルめっきを施したものが使われています。


ハードディスクでの無電解ニッケルめっきの役割は、軽くてやわかいアルミニウム合金表面に機械研磨加工な硬い無電解ニッケルめっきを15μm程度施し、2μm程研磨して鏡面に仕上げその上に磁性膜や保護膜を形成して使われます。



日常生活に利用されるめっきのまとめ

本記事では、自動車部品のめっき処理、コンピューターへのめっき処理をご紹介しました。

以下まとめです。


自動車部品の外装部品としてプラスチックへの無電解めっき、銅めっき、ニッケルめっき、クロムめっきの順で処理され装飾めっきとして利用されています。

電導性を持たせる目的で無電解めっきを行い、銅めっきで素材の粗さ消しと光沢性を持たせます。ニッケルめっきで耐食性と光沢性を持たせた上にクロムめっきで耐食性と高級感の意匠性を持たせます。


硬質クロムめっきは摩耗を防ぐ目的で利用されていますが、ステンレスの約5倍と非常に硬い皮膜で摩耗から守ります。

硬質クロムめっきは数ミクロンメートルから数百ミクロンメートルまで厚みの調整が可能ですので、目的に応じた厚みを選んで頂く事が可能です。


鉄鋼材をサビから亜鉛めっきなどで守る事ができますが、サビる事で鉄鋼材を劣化してしまい長期的に使用できなくなります。

長期的に使用できなくなる事で環境に優しいモノづくりではなくなりますので、今後より一層重要な項目になるものと考えられます。


電磁波シールド目的でめっき皮膜が利用されますが、電磁波シールド目的はコンピューターだけではなく、ペースメーカーなどへの外部からのノイズや誤動作防止目的でも利用されます。


プリント配線板に使われている無電解銅めっきで回路のベース作り、電解銅めっきはビアフィル目的に、ハンダ接合用の錫メッキやニッケルめっき、それの保護膜としての金めっきなどが利用されています。


半導体や半導体パッケージングの配線パターンの形成技術としてダマシン技術が使われます。

ダマシン技術は、絶縁膜に配線パターンの溝を形成し、溝に金属膜を埋め込む技術です。日本語では「象嵌(ぞうがん)」、あるいは「象眼(ぞうがん)」とも呼ばれています。


コネクターへのめっきは、抜き差しの動作により摩耗がある事から金めっきにコバルトやニッケルなどと合金化した硬質金めっきが使われています。


ハードディスクへの無電解ニッケルめっきはアルミニウム素材の特徴を残して活かしながら、弱点である柔らかさを補うために活用されています。


自動車やコンピューターなど幅広くめっき技術が利用されています。

めっき技術はニッケルめっきやクロムめっきなど単一金属のめっき技術や、2つ以上の金属を組み合わせたニッケル–リン合金めっき、金属と金属以外の別の素材が入り混じったニッケル–リン–SiC複合めっきなど無数に種類がございます。 目的に沿っためっき技術を選定することが難しいと思いますので、お気軽にお問い合わせ下さい。


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【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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