知っていますか?金属には様々な特性があります。 鉄やアルミニウムなど金属によって熱の伝わる速さが異なります。
熱伝導率とは熱の伝わり易さを表す値で、熱がどのくらいの速さで固体中を伝わり、一様な温度になるかを示すものです。 以外に思われるかもしれませんが、物質の中で最も熱伝導率の大きな材料はダイヤモンドです。
金属の中で最も熱伝導率が大きい(最も速く熱を伝える事ができる)材料は銀です。
熱伝導に優れた銀をめっき皮膜として色々な金属材料に処理が可能です。 銀めっきを施す事で部品の表層は銀の服を着た状態になり、銀の特性を持たせる事が可能になります。
例えば銀より熱伝導率の悪いステンレスに銀めっきを行う事でステンレスの熱伝導性の悪さを銀めっきで補う事ができます。 オーディオケーブルなどでは銅線に変えて銀線を使う場合がありますが、銀線でケーブルを作っては高額なケーブルになってしまいます。 そこで銀線ではなく、銅線に銀めっきを施す事で銀線のケーブルでなくても銀線のケーブルと特性的に遜色のないものが得られる可能性がございます。
銀めっきはどんなめっき処理?また、導電性以外の特性はどうかなど銀めっきをご理解頂けると思います。
目次
銀の基本的な特徴
銀は元素番号47、原子量108の遷移金属です。
室温における電気伝導率、熱伝導率、可視光線の反射率は金属中で最大です。
元素 | 融点(℃) | 熱伝導率 W/(m·K) | 電気抵抗率 (Ω・m) |
Au | 1064 | 320 | 2.21 |
Ag | 962 | 420 | 1.59 |
Pt | 1772 | 70 | 10.4 |
Pd | 1554 | 72 | 10.5 |
Rh | 1962 | 150 | 4.3 |
Ru | 2280 | 117 | 7.1 |
Ir | 2447 | 147 | 4.7 |
銀めっきの可能性1:低融点
銀の融点は961℃です。これを銀と他の金属との合金にすることで融点を下げる事が可能です。例えば、銀を72%、銅を28%の割合で共晶合金を作ると融点は779℃になります。
低融点金属のPd,Sn,Bi,Cd,Inなどを混ぜ合わせて多元素の共晶合金を作ることで融点の低い合金を作り出す事が可能になり、例えばお湯で溶けて、水で固まるなどの合金を作り出す事が可能で新たな利用が期待されます。
銀めっきの可能性2:細菌活動の抑制
中世の教会や遠洋航海では、壺の中に銀のコインを入れる事で水がいつまでも腐らないことから遠征する兵士の飲料水に使われました。 コレラなどの疫病防止、胃腸病、眼病、蓄膿症などの治療にも利用されました。 他にもアメリカの開拓時代には牛乳に銀のコインを入れて殺菌したなど、昔から銀の細菌活動の抑制が利用されていました。
市販の洗濯機には銀の細菌活動を抑制を利用した洗濯機もあり、銀イオンを衣服に残留させる事で、衣服の生乾き臭を抑制する事が可能です。 洗濯物が外干しできない梅雨や冬場には特にありがたい機能です。
金属の熱伝導性まとめ
金属の熱伝導性の話から金属中で最も熱伝導性に優れた銀の特性をご案内致しましたが、 銀は高価な金属ですので、それを材料として製品を作ることはコストが掛かってしまいます。 ただ、銀の優れた特性には大きな魅力があります。 そこで、材料は安価な金属で作成し、その表面に銀めっきを施す事で銀の優れた特性を安価な材料で持たせる事ができるようになります。当社でも銀めっきを取り扱っておりますので、お気軽にご相談下さい。
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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