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【メッキ技能士直伝】プラスチックの基礎知識:樹脂材料の種類から加工方法、メリット・課題まで総まとめ

  • 執筆者の写真: コネクション
    コネクション
  • 11 分前
  • 読了時間: 15分

元来、「樹脂材料」とは、松などの木から得られる樹液成分を指していましたが、現在では一般的にプラスチック材料を意味する言葉として使われています。


このような樹脂材料は、今や私たちの生活に広く浸透しています。


身の回りを見渡せば、プラスチックでできた製品は非常に多く見つかります。たとえば、買い物時の包装材やレジ袋、定規などの文房具、バケツといった掃除用品、おもちゃや家電製品など、幅広い分野で使用されていることはよく知られています。


また、産業界においても、工業製品や構造物に用いられる樹脂材料は少なくありません。

「樹脂材料」と一口に言っても、その範囲は非常に広く、多種多様な特性を持つ材料が含まれます。


本記事では、樹脂材料の種類や性質について、できるだけ幅広くご紹介します。プラスチックなどの樹脂材料の導入をお考えの方は、ぜひご一読ください。


■INDEX■


1.1. 天然樹脂と合成樹脂

1.2. 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂

1.3. 金属との違い

2.1. 汎用プラスチック

2.2. エンジニアリングプラスチック

2.3. スーパーエンジニアリングプラスチック

3.1. 射出成型

3.2. 押出成型

3.3. ブロー成型

3.4. 真空成型

3.5. 3Dプリンター

4.1. 軽量性

4.2. 加工性の高さ

4.3. 多様な機能性

4.4. コストパフォーマンス

5.1. 環境問題

5.2. 耐久性・耐熱性


1. 樹脂材料とは何か?

1.1. 天然樹脂と合成樹脂

「樹脂材料」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。

もともと「樹脂」とは、樹木から分泌される樹液が固まってできた天然物を指していました。

しかし現在では、石油などを原料として人工的に作られた、いわゆる「プラスチック」を指すのが一般的です。


前者は「天然樹脂」、後者は「合成樹脂」と呼ばれています。


天然樹脂には、マツなどの樹木の樹液から得られる松脂や漆のほか、動物由来の膠(にかわ)やべっ甲、さらには鉱物由来の琥珀など、自然に存在する樹脂が含まれます。これらは古くから、接着剤、塗料、香料、薬品などに用いられてきました。


一方、合成樹脂は石油などを原料に、化学的な合成によって人工的に作られた高分子化合物です。軽量で加工性に優れ、今では私たちの暮らしに欠かせない材料となっています。


本記事では、この合成樹脂を中心に、その特徴や用途について詳しくご紹介していきます。


1.2. 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂

合成樹脂は、さらに「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2つに大別されます。


熱可塑性樹脂とは、熱を加えると柔らかくなり、冷やすと再び固まる性質を持つ樹脂です。再加熱することで何度でも成形し直すことができるため、リサイクル性にも優れています。

代表的なものには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂などがあり、容器、ビニール袋、おもちゃなど、私たちの身近な製品に幅広く使われています。


一方、熱硬化性樹脂は、一度加熱することで化学反応を起こし硬化し、その後は再加熱しても柔らかくならない性質を持ちます。強度が高く、耐熱性や耐薬品性に優れますが、リサイクルが難しいという特性があります。


代表的な熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどがあり、電子部品、接着剤、塗料、FRP(繊維強化プラスチック)の基材など、主に工業用途で使用されています。


1.3. 金属との違い

樹脂材料と金属材料の違いは、まず外観に現れます。


金属材料は一般に光沢があり不透明ですが、樹脂材料は光沢のないものや、光を透過する透明なものが多く見られます。

また、密度にも大きな違いがあります。金属材料は密度が高く重いのに対し、樹脂材料は密度が低く軽量です。


強度に関しては、一般的には金属材料の方が高いものの、樹脂材料の中にも「エンジニアリングプラスチック」と呼ばれる高強度の材料があり、用途によっては金属の代替となることもあります。


そのほか、金属は熱伝導性や電気伝導性に優れる一方で、樹脂材料はこれらの伝導性が低く、絶縁性に優れている点も特徴です。加えて、樹脂材料は加工が容易で、複雑な形状の成形や大量生産に適しているという利点もあります。



2. 主要な樹脂材料の種類

2.1. 汎用プラスチック

樹脂材料にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると以下の3つのカテゴリに分類されます。

  1. 汎用プラスチック

  2. エンジニアリングプラスチック

  3. スーパーエンジニアリングプラスチック


このうち汎用プラスチックは、私たちの日常生活で最も頻繁に目にする、安価で加工性に優れたプラスチックです。大量生産に適しており、消費財を中心とした多くの製品に使われています。


代表的な汎用プラスチックには以下のようなものがあります:

  • ポリエチレン(PE):レジ袋、食品用ラップ、容器など

  • ポリプロピレン(PP):食品容器、自動車部品、家電製品など

  • ポリスチレン(PS):食品トレイ、発泡スチロール製品など

  • ポリ塩化ビニル(PVC):配管、床材、電線の被覆など

  • PET(ポリエチレンテレフタレート):ペットボトル、衣料用繊維など


2.2. エンジニアリングプラスチック

エンジニアリングプラスチックとは、汎用プラスチックと比べて耐熱性、強度、剛性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性といった機械的・熱的性能が大幅に向上した高機能プラスチックの総称です。


これらの特性により、エンジニアリングプラスチックは主に工業用途で使用され、自動車部品や電気・電子部品、精密機械などの分野で活躍しています。


代表的なエンジニアリングプラスチックには、以下のような種類があります:

  • ナイロン(PA):ギア、コネクタ、繊維など

  • POM(ポリアセタール):歯車、ファスナー、精密部品など

  • ポリカーボネート(PC):CD・DVD、車のヘッドライト、防弾ガラスなど

  • アクリル(PMMA):看板、レンズ、水槽など

  • PBT(ポリブチレンテレフタレート):電気部品、自動車部品など


2.3. スーパーエンジニアリングプラスチック

スーパーエンジニアリングプラスチックは、エンジニアリングプラスチックの中でも、特に優れた性能を持つ高機能材料です。150℃以上の高耐熱性に加え、高強度、耐薬品性、耐クリープ性(長期間荷重がかかっても変形しにくい性質)などを備えており、極めて過酷な環境下での使用にも耐えうることが特徴です。


そのため、航空宇宙、自動車、医療、電子部品、半導体製造など、厳しい使用条件が求められる分野で広く採用されています。


代表的なスーパーエンジニアリングプラスチックには、以下のようなものがあります:

  • ポリフェニレンスルフィド(PPS):自動車のエンジン周辺部品など

  • ポリエーテルエーテルケトン(PEEK):航空宇宙部品、医療機器部品(インプラントなど)、半導体製造装置部品など

  • 液晶ポリマー(LCP):小型コネクタ、薄型電子部品、光ファイバーケーブルなど



3. 樹脂材料の加工方法

3.1. 射出成型

樹脂材料の魅力のひとつは、その加工方法の豊富さにあります。用途や製品の形状に応じて、さまざまな加工法が選択できるため、多様な製品づくりに対応できます。

まずは、代表的な加工法である射出成型をご紹介します。


射出成型(インジェクションモールディング)は、最も広く普及している樹脂成型法の一つです。この方法では、まずプラスチックの原料(ペレット)を加熱して溶融させ、それを高圧で金型に注入します。注入された樹脂は金型内で冷却・固化され、成型品として取り出されます。


複雑な形状の製品でも高い精度で大量生産が可能なため、家電製品、自動車部品、日用品、医療機器など、非常に幅広い分野で活用されています。


3.2. 押出成型

押出成型は、断面形状が一定の製品を連続的に製造するのに適した加工法です。

この方法では、プラスチック原料を加熱して溶かし、目的の断面形状をもつ金型(ダイ)から連続的に押し出すことで成形します。その後、押し出された材料を冷却し、必要な長さにカットして製品化します。


比較的シンプルな工程で大量生産が可能なため、パイプ、シート、フィルム、ケーブル被覆などの製造によく用いられています。


3.3. ブロー成型

ブロー成型は、中空構造の製品を製造するのに適した加工法です。


この方法では、加熱して柔らかくした筒状のプラスチック(パリソン)を金型に挿入し、その内部に空気を吹き込んで膨らませます。プラスチックが金型の内壁に密着した状態で冷却・固化させることで、目的の形状が得られます。


代表的な製品にはペットボトルがあり、他にもタンク類、洗剤ボトル、燃料容器など、中空で軽量かつ強度が求められる容器類の製造に広く用いられています。


3.4. 真空成型

真空成型は、シート状のプラスチックを立体的な形状に加工する方法です。


この方法では、プラスチックシートを加熱して柔らかくし、金型の上に置いた状態で金型とシートの間の空気を真空状態にして吸引します。これにより、シートが金型の形状に密着し、冷却後に目的の形に成型されます。


主に比較的薄肉で軽量な製品に適しており、食品トレイや弁当容器、ブリスターパック(透明パッケージ)などの製造に広く用いられています。


3.5. 3Dプリンター

これは比較的最近確立された加工方法で、一般には積層造形や3Dプリンティング(3Dプリンタによる造形)と呼ばれます。


デジタルデータに基づいて材料を一層ずつ積み重ねていくことで、立体物を直接成形するのが特徴です。従来の加工方法では難しかった複雑な形状や中空構造も、一体で高精度に造形することができます。


金型を使用しないため、試作、少量生産、カスタマイズ品の製造に非常に適しています。また、設計から製品完成までのリードタイムを短縮できる点も大きな利点です。



4. 樹脂材料のメリット

4.1. 軽量性

樹脂材料が広く普及している背景には、多くの使用上のメリットがあることが挙げられます。


その代表的な例が「軽量性」です。樹脂材料は、同じ形状の製品であっても金属に比べてはるかに軽く作ることができるため、輸送時のコスト削減に大きく貢献します。

さらに、自動車部品などに樹脂を用いることで、車両の軽量化による燃費向上にもつながり、環境負荷の低減にも寄与します。


4.2. 加工性の高さ

加工性の高さも、樹脂材料の大きな魅力のひとつです。


前章でご紹介したように、射出成型、押出成型、ブロー成型、真空成型、3Dプリンティングなど、多彩な成型方法が存在し、さまざまな形状や用途に対応できます。

特に射出成型のような方法では、基本的に金型がひとつあれば複雑な形状の製品でも安定して成形でき、大量生産にも非常に適しています。


4.3. 多様な機能性

機能面においても、樹脂材料にはさまざまなメリットがあります。


たとえば、優れた電気絶縁性を持つことから、電気を通したくない部品や製品に広く使用されています。これは、家電製品や電子機器の内部部品などで特に重要な特性です。

また、耐薬品性に優れている点も大きな利点であり、薬品や溶剤を扱う装置や容器、配管部材などにも多用されています。


さらに、透明性の高い樹脂は視認性やデザイン性に優れ、中身が見える容器やカバー、照明カバーなど見た目と機能の両立が求められる製品にも適しています。


4.4. コストパフォーマンス

樹脂材料は、コストパフォーマンスの面でも優れています。


特に汎用プラスチックは、金属材料に比べて強度こそ劣るものの、多くの製品用途においては十分な性能を発揮し、材料費・加工費を含めた総コストを大幅に抑えることが可能です。

また、成形性に優れており大量生産に適しているため、さらなるコスト削減も期待できます。


ただし、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックは、高い性能を持つ分、材料費が高額になる傾向があります。

また、使用環境や構造要件によっては、明らかに金属材料の方が適しているケースもあります。


したがって、用途や必要とされる性能に応じて、最適な材料を選定することが重要です。



5. 樹脂材料の課題

5.1. 環境問題

樹脂材料には多くの利点がある一方で、いくつかの課題も抱えています。


中でも近年大きな関心を集めているのが、環境問題です。特に、廃棄されたプラスチックが適切に処理されずに海洋に流出する「海洋プラスチック問題」は、早急な対策が求められる深刻な課題となっています。


海に流出したプラスチックは、紫外線や波の影響で劣化・破砕され、微細な粒子=「マイクロプラスチック」へと変化します。このマイクロプラスチックは、海水中の有害化学物質(PCB、DDT、ダイオキシンなど)を吸着し、それを海洋生物が体内に取り込むことで、食物連鎖を通じて上位の生物、さらには人間の体内にも取り込まれるリスクがあるとされています。


つまり、プラスチックの環境問題は、単なる「ごみの問題」ではなく、最終的には私たち自身の健康や生活に大きな影響を及ぼす可能性があるということです。


5.2. 耐久性・耐熱性

樹脂材料にはさまざまな利点がありますが、金属材料と比較した場合の課題も存在します。


その一つが、耐久性や耐熱性において劣ることがあるという点です。

特にプラスチックの耐久性に大きな影響を与えるのが、紫外線と熱です。例えば、屋外に放置されたプラスチック製品が時間の経過とともに劣化し、ボロボロになる様子を目にすることがありますが、これは紫外線によってプラスチックの分子結合が破壊されるために起こります。


そのため、屋外で使用するプラスチック製品には「耐候性」の配慮が欠かせません。ただし、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)などは、比較的耐候性に優れたプラスチックとして広く使用されています。


また、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックは、高い耐熱性を備えており、自動車部品や電気電子部品など高温環境にさらされる用途にも十分対応可能です。



6. 環境への取り組みと未来の樹脂材料

樹脂材料は非常に便利で多用途に使える素材である一方で、前述のとおり環境負荷の問題も指摘されています。


そのため近年では、リサイクル技術の進展や、環境に配慮した新しいプラスチック素材の開発が積極的に進められています。


たとえば、使用済みペットボトルを再資源化して衣類やカバンなどに生まれ変わらせるリサイクル技術は、循環型社会の実現に向けた代表的な取り組みのひとつです。

また、植物由来の原料を用いた「バイオマスプラスチック」や、自然環境下で分解される「生分解性プラスチック」の開発も進んでおり、持続可能な素材として注目されています。



7. まとめ

本記事では、樹脂材料について、その基本的な性質から種類、加工方法、利点、課題までを幅広く解説しました。


もともと「樹脂」とは、樹木から分泌される天然の樹液成分を指していましたが、現在では一般的に石油由来の合成樹脂(プラスチック)を意味することがほとんどです。


樹脂材料は、使用目的や性能に応じて、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックといった種類に大別されます。

これらの樹脂材料は、射出成型や押出成型をはじめとする多様な加工方法に対応しており、金型を使用することで複雑な形状でも安定的に大量生産が可能です。そのため、あらゆる分野で幅広く利用されています。


また、軽量性加工性の高さコストパフォーマンスの良さといった点は、金属材料に対する大きな利点といえます。一方で、近年深刻化している海洋プラスチック問題をはじめとする環境負荷の課題も見逃せません。適切なリサイクルや、環境に配慮した新しいプラスチック素材の開発など、今後の持続可能な利用に向けた取り組みが求められています。


このように、樹脂材料は私たちの暮らしや産業にとって欠かせない素材であると同時に、社会的責任を伴う素材でもあると言えるでしょう。



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1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。


 
 
 

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