パラジウムメッキの特徴と特性
パラジウムめっきは、白金族特有の高貴な色調を保ち、大気中では不錆、不変色、化学的安定度が高く酸及びアルカリに侵されない特性があります。
また、ビッカース硬度は250〜400HVで、ニッケルメッキと同等の硬さを有しています。
パラジウムは白金族元素の中で最も密度が小さい金属で、大気中における加熱(250℃)において表面にごく薄い酸化膜が形成されるだけで、ニッケルの様に厚い酸化膜が形成されることはありません。
パラジウムメッキに使用されるパラジウム(Pd)金属の特徴は?
白金族元素に属するパラジウムは、融点1555℃、比重12.0、原子番号46の元素で、元素記号は Pdで表される金属です。
パラジウム(Pd)の目的は?
パラジウムの金属材料としての利用としては装飾品(銀歯やジュエリーなど)にも使われておりますが、主な用途は自動車の排ガスの触媒に使われております。
排ガスに対するパラジウム(Pd)
自動車から排出される排ガスには窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素などが含まれておりますが、パラジウム金属を使う事で炭化水素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する事ができるため、大量に使用されております。
パラジウム用途別割合(2009年データ)
使用総量 233,250kg
電子部品 17%
排ガス触媒 52%
歯科材料 9%
宝飾用途 15%
その他 7%
また、体積の935倍もの水素を吸収するため、水素吸蔵合金としての利用も期待されています。
パラジウムメッキの利用目的は?
パラジウムめっきの用途としては、耐食性や耐摩耗性の求められる分野や、耐酸化性や熱的安定性、非磁性、電気伝導性やはんだ付け性などが要求される電気的接点やスイッチ部品・コネクター部品等の電子部品に適用されています。
パラジウムメッキは開発当初の金メッキの代替えのみでなく、優れた熱安定性、銅の拡散を抑制するバリア性などの特性が認識されるようになり、多くの用途で使用されています。
例えば、ワイヤーボンディング用の金の極細線の代替えとして、パラジウムメッキ銅線が使用され流用になったり、環境保護対策の一環として鉛規制に対応する電子部品、電子機器の鉛フリー化を目的としてパラジウムメッキがICリードフレームに使用されています。
一度処理したパラジウムメッキは再生可能なの?
一般的な材料(例えば鉄、ニッケル、銅、及びそれらの合金)上のパラジウムメッキ、パラジウム合金メッキを剥離、再生可能です。素材をほとんど溶解しない為、パラジウムメッキの剥離後に素材を再利用する事が可能です。
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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