電子部品の性能向上により耐熱性が低くなっています。
従来、半田接合部には融点の低いハンダメッキを施されておりましたが、2000年頃からハンダめっきから錫めっきに切り替えが行われました。
本来であれば融点が183℃と非常に低い半田メッキを使い所ですが、錫メッキに替えざる得なかった理由とは何だったのか説明していきます。
■INDEX■
鉛フリーはなぜ必要? 1-1 RoHS指令とは 1-2 WEEE指令とは
鉛フリー化による課題は? 2-1 実装時の温度 2-2 ウイスカの問題
1.鉛フリーはなぜ必要?
鉛フリー化は環境問題(RoHS指令、WEEE指令)に対応する必要から始まりました。
RoHS指令は、電気・電子機器のリサイクルを容易にするため、また、最終的に埋立てや焼却処分されるときに、人や環境に影響を与えないように、EUで販売する電気・電子機器の有害物質を非含有とさせることを目的として制定されました。
RoHS1で、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB(ポリ臭化カビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質が規制対象になりましたが、半田メッキは鉛を含んだ皮膜であるため規制に対応する必要に迫られ錫メッキへ移行していきます。
1.1.RoHS指令とは
RoHS指令(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令)が制定され、特定有害化学物質の使用制限を目的とし、EU域内で基準値を超えた電気・電子機器の販売を規制する指令が制定され規制物質に鉛が含まれております。
1.2.WEEE指令とは
WEEE指令(電気・電子機器の廃棄に関する欧州議会及び理事会指令)
電気・電子機器の廃棄に関する指令で、EU域内で電気・電子機器を販売するメーカーは、各製品が廃棄物として環境に悪影響を与えないよう配慮する必要があり、回収・リサイクル等についても製造者責任を有し、回収やリサイクルが容易な製品設計やマーキングをするとともに、回収・リサイクル費用の負担などが求められます。
2.鉛フリー化による課題は?
鉛フリー化で環境に対応した内容となりますが、課題は無いのでしょうか?
家電や電子部品の部品実装には、比較的融点が低く、安価なスズ-鉛合金メッキ(ハンダメッキ)が用いられてきましたが、RoHS指令・WEEE指令などの環境対応の要求から鉛フリースズメッキへの変更が求められました。
2.1.実装時の温度
半田接合性には低融点であることが必要ですが、その点でスズメッキは先にお伝えしたように融点が231.9℃と低い融点のめっき皮膜ですが、共晶ハンダめっき(6:4 スズ:鉛)の融点は183℃とさらに低く、出来る限り低い融点のめっきが望まれます。
錫メッキでは融点が高くなってしまうため、合金にて低融点を実現できないか検討されております。
2.2.ウイスカの問題
ウイスカ(whisker)とは、金属表面に金属単結晶が自然成長する現象のことで、特に錫(Sn)メッキや亜鉛(Zn)メッキなどから発生します。ウイスカという語が、猫やネズミなどのヒゲを意味する通り、金属結晶が針状やノジュール状に成長します。
ウイスカが発生するだけであれば特に気にする事も無いのですが、ウィスカが発生することで、電機機器や電子デバイスの短絡など、市場でのトラブルを招くため対策が必要です。
ウイスカは数%の鉛を添加する事で抑制できるますが、2003年2月にRoHS指令が制定され、使用制限物質として鉛が含まれた事から、鉛フリー化を推進せざるを得なくなり、結果としてスズめっきのウイスカが再び問題視されるようになりました。
ウイスカはさまざまな要因が考えられていますが、ウイスカの根本的なメカニズムは解明されていません。
3.スズメッキをベースにした合金メッキの融点
合金皮膜 | 融点(℃) |
スズ-銅(0.7%)合金メッキ | 227 |
スズ-銀(3.5%)合金メッキ | 221 |
スズ-亜鉛(9%)合金メッキ | 198 |
スズ-ビスマス(58%)合金メッキ | 139 |
※スズ-ビスマス(58%)合金メッキは最も低い融点となりますが、はんだ接合時の実装部品のリフトオフの問題や皮膜がもろくなるなどの問題があるためスズ-ビスマス合金メッキ(1~5%)が使用されています。
4.錫メッキの課題解決策
融点が半田メッキに比べ高い事、ウイスカの発生リスクなど鉛フリー化を進める事でいろんな課題があります。
それら課題の中で最も頭を悩ますウイスカについてコネクションでは以下の様な取り組みで課題を解決します。
めっき液による抑制
めっき条件による抑制
めっきの膜厚による抑制
めっきの工程による抑制
熱処理による抑制
これらの組み合わせすることにより錫メッキの最大の課題であるウイスカの抑制を行います。
「ウイスカ対策」に関する詳細は、お気軽にご相談・お問い合わせください。
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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