フッ素樹脂には特異な非粘着性があり、付着性の強い粘着物に対しても離型しやすく、粘着性の物質も粘着することはありません。PTFEやPFA,FEPなどは特にこの性質が強く、特別な処理をしないかぎり粘着性の物質で接着しても容易に離れてしまいます。フッ素樹脂はそのままの状態では接着剤によって他の物質に接着することは困難ですが、その表面を化学的処理をすることによって接着できるようになります。その化学的処理がナトリウム処理です。
■INDEX■
1. フッ素樹脂の特徴
3. ナトリウム処理とは
4. ナトリウム処理の原理
5. ナトリウム処理まとめ
フッ素樹脂が粘着しずらい理由とは??
1.高い撥水性
フッ素樹脂は多くの物質に対してはじく性質をもっています。 フッ素コーティングを施したフライパンに水を垂らすと綺麗な水滴になります。水や油をはじく理由として、表面張力が低いことがあげられます。 PTFEは表面張力が低く、逆に水は表面張力が高く、その数値の差が大きいことで綺麗な水滴ができます。
2.馴染みにくい性質
水に油を注ぐと、混ざり合わずなじみません。これと同じように、フッ素樹脂はほとんどの物質に対して馴染みにくい性質をもっています。
なじみにくさを数値化して表したもののひとつとして、SP値というものがあります。SP値とは溶解度パラメータとも呼ばれ、この数値が離れている物質は「なじみにくく、くっつきにくい」といわれています。
フッ素樹脂は、ほとんどの物質に対してSP値が離れていることから、それらと「なじみにくい」と言えます。
3.化学的に安定している分子構造
フッ素樹脂は炭素原子とフッ素原子が結合したものが直鎖的につながった分子構造になっています。
さらに炭素原子同士の結合部はフッ素原子で隙間なく覆われています。
炭素原子とフッ素原子の結合エネルギーは化学結合の中でとても強いものです。
結合エネルギーが強いことで、ほとんどの物質と化学的に結合することがありません。
・炭素原子がフッ素原子で隙間なく覆われた構造 ・炭素原子とフッ素原子の結合エネルギーはとても強い
これらの理由によりフッ素樹脂は高い撥水性、馴染みにくい性質、化学的に安定している分子構造などが優れた非粘着性の理由と考えられます。
優れ特性のフッ素樹脂その優れた特性が接合の面ではマイナスに働きます。 そんなマイナスの面をプラスに変える処理、それがナトリウム処理です。ナトリウム処理は非粘着性に優れたフッ素樹脂(PTFE,PFA,FEP)やフッ素ゴム表面を親水性に変えることでフッ素樹脂同士の接合や、他の物質と接合することができるようになります。
あまり聞きなれないナトリウム処理とはどのような処理か?
ナトリウム処理についてご紹介していきます。
ナトリウム処理とは??
ナトリウム処理とは、フッ素樹脂(PTFE,PFA,FEP)、フッ素ゴムを疎水性から親水性に変える表面処理です。
フッ素樹脂(PTFE,PFA,FEP)、フッ素ゴムの表面を親水性に変えることで接着材を付着させることが可能となり、フッ素樹脂同士の接合や異種材料との接合を接着性を使用して可能となります。
また、親水性となる事でめっき処理も可能となり、フッ素樹脂(PTFE,PFA,FEP)、フッ素ゴムに導電性を持たせる事など付加価値を加えることで、フッ素樹脂の可能性を広げる事が可能です。
ナトリウム処理の原理
ナトリウム処理は、素材の中に含まれているナトリウム原子の親ハロゲン性によって、この鎖からフッ素原子を化学的に引き抜き、炭素原子を二重結合などの電子不足の状態にします。
この状態の炭素原子は撥水性のフッ素原子に囲まれていないのでそれだけで親水性になりますが、更に処理液から出して空気に触れることで、空気中の酸素、水素、湿気などにより電子不足が解消され、濡れ性や接着性のある官能基が形成されてより親水性を持った表面になります。
ナトリウム処理のまとめ
フッ素樹脂には特異な非粘着性があり、付着性の強い粘着物に対しても離型しやすく、粘着性の物質も粘着することのない材質です。 非粘着性のフッ素樹脂ですが、フッ素樹脂同士もしくは異種材料と接合したい場合、そのままでは接着剤が粘着せず接合することができません。このような優れた性能を持つフッ素樹脂に弊社のナトリウム処理を施す事でフッ素樹脂同士の接合、異種材料との接合などが行えるようになります。
また、通常の状態では水を弾いてしまう性質のフッ素樹脂ですが、ナトリウム処理を施すことで水を弾かない状態になる事からめっき処理などの表面処理を施すことも可能となります。
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【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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