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【メッキ技能士直伝】意外に知られていない電気抵抗、接触抵抗No.1は銀メッキ!!

更新日:6月4日



電気抵抗や接触抵抗の優れたメッキと考えた場合、候補に上がるメッキ皮膜としましては金メッキや銅メッキが出て来ますが、実は電気抵抗、接触抵抗No.1は銀めっきなんです。


銀の基本的な特徴

銀の元素記号はAgですが、Agはラテン語のargentum(読み方:アルゲントゥム)に由来しており、白いや輝くという意味です。

銀の用途は産業用が半分以上となっております。


電気抵抗、接触抵抗値データ

金属

元素

電気抵抗率(nΩ)

熱伝導率(W/m·K)

融点(℃)

Ag

15.9

429

960

Cu

16.8

401

1083

Au

22.1

317

1063

アルミ

Al

28.2

237

660

ロジウム

Rh

43.0

150

1966

マグネシウム

Mg

43.9

156

650

タングステン

W

52.8

174

3422

モリブデン

Mo

53.4

138

2610

亜鉛

Zn

59.0

116

419

コバルト

Co

62.4

100

1495

ニッケル

Ni

69.3

90.7

1453

カドミウム

Cd

72.7

96.8

1413

Fe

96.1

80.2

1536

白金

Pt

105.0

71.6

1769

パラジウム

Pd

105.4

71.8

2963

スズ

Sn

115.0

67

231

クロム

Cr

125.0

93.7

1907

Pb

208.0

35.3

327

チタン

Ti

420.0

21.9

1668

これらのデータからハイブリッド自動車や電気自 動車に用いる大電流用端子のニーズに対しては銀めっきが優れている事がご理解頂けると思います。


熱伝導率でもNo.1の銀

電気抵抗以外にも熱伝導率もNo.1で、可視光線の反射率も金属中で最大となります。

また、展延性(素材が破断せずに柔軟に変形する限界)も非常に優れているため、1gの銀で約2kmの線に加工する事が可能です。


銀メッキは硫化により色が変色してしまう。



銀は空気中の硫化水素、亜硫酸ガス、水蒸気と反応して硫化銀を作り出します。

硫化銀の膜は厚くなるに従い灰色から黒色に変わります。

この黒色化する現象を利用し戦国時代の将軍や大名などは毒味に使っていました。

当時の毒は硫砒鉄の粉末を加熱して発生する亜砒酸ガスを冷却して作った結晶でしたが、亜砒素精錬技術が粗悪であったことから硫黄が亜砒酸に混合していたためこの硫黄に銀が反応し変色することで判断しておりました。


硫化速度は湿度や温度などの影響により生成速度が異なりますので保管環境や移送環境にも注意が必要です。


まとめ

銀メッキの硫化を防ぐ目的でロジウムメッキやクロメート、変色防止剤での保護など様々な方法で変色を防ぐ方法を行なっておりますが、メッキ後の使用目的で接触抵抗が必要や見た目が必要などにより硫化を防ぐ方法も選定が必要となります。

銀メッキを使用される目的をしっかりメッキ処理メーカーに伝えどのような変色防止が有効か提案頂くのがよろしいかと思います。


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【著者のプロフィール】

代表取締役

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。





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