
メッキ工程で利用されている代表的なメッキの前処理方法とその目的
(1)素材の応力除去を目的
・残留応力除去焼鈍
(2)油等の有機性汚れの除去を目的
脱脂(浸漬、+/-電解、高速電流反転PR、超音波併用)
(3)酸化物除去、表面の粗化、スマット除去、表面の粗化を目的
・ブラスト処理、ホーニング処理等の機械的処理
・酸洗(浸漬、+/-電解)
・エッチング
(4)活性化、酸化皮膜除去、素材の溶解、再酸化防止、触媒付与を目的
・酸浸漬
・逆電解処理
・高速電流反転
・ジンケート処理(Zn結晶核)
・センシタイザー、アクチベーター、キャタリスト処理など(Pd結晶核)
(5)ストライクめっき、Ni(塩酸酸性浴)、Cu(シアン浴)
・酸化物還元作用
・表面清浄
・拡散防止
・密着性向上
(6)水洗(各メッキ工程間・仕上げ洗浄)
・表面清浄
工業的なレベルでの前処理は、メッキ皮膜の密着性に問題を生じないレベルまで表面を清浄化(脱脂及び酸洗)および活性化することです。
湿式プロセスであるメッキの前処理工程では主に化学的処理方法が用いられていますが、難素材ではブラスト処理やホーニング処理等の機械的処理法も利用されています。
脱脂
メッキ素材には各種の油分(潤滑油、グリース、切削油、さび止め油)等の有機性汚れが付着しています。
これらは主にけん化性の植物性油脂と不けん化性の鉱物油です。
一般に植物性油脂は高温アルカリ性水溶液でけん化除去され、鉱物油は適当な有機溶剤による分解、あるいは界面活性剤による乳化で除去できます。
深絞り用プレス油やタップ油などの粘性が高く、硫黄や塩素を含む油は除去が難しくなります。
防錆油では溶剤希釈型の油はとれやすいが、油膜型さび止め潤滑油は除去が難しくなります。
一般的なアルカリ脱脂のうち、浸漬脱脂は予備脱脂、電解脱脂は仕上げ脱脂と考えられています。
さらに、脱脂力の向上のため陰極・陽極電解、揺動、超音波が併用されています。
プレス加工の際に利用したプレス油は、2週間程度の放置であれば30分程度で容易に油は除去できますが、加工後3週間以上放置された素材ではその脱脂性が極端に悪化するため、長時間脱脂洗浄を行う必要があります。
脱脂洗浄のまとめ
プレス加工直後であれば、加工油が完全に除去できるのに対し、二次的加工を受けた素材表面では清浄化が困難になっていくことが明らかにされています。
脱脂剤や脱脂方法を選択する際には、メッキ素材にどのような油が付着しているのか、さらに加工後メッキ工場に運ばれるまでの時間経過等も把握しておかないと不十分な脱脂となり、密着不良の原因になります。
メッキ素材の加工履歴だけでなく、加工後の素材の管理状況も把握しておくことが重要です。
なお、金属素材の予備脱脂として利用されていたトリクロロエタンやトリクロロエチレン等の塩素系有機溶剤は環境問題から規制され、最近では塩素系有機溶剤の代替洗浄方法が開発されています。

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