無電解ニッケルメッキ膜厚測定方法とは

無電解ニッケルメッキの膜厚精度が良くても、測定評価ができなければ意味がありません。 そこで無電解ニッケルメッキ皮膜を測定試験する方法をご紹介致します。
一般的な無電解ニッケルメッキの膜厚測定方法としましては以下の方法があります。
蛍光X線式試験方法
デジタルマイクロメーターによる試験方法
質量計測による無電解ニッケルメッキ皮膜付着量試験
断面観察による測定試験
蛍光X線式試験方法とは
蛍光X線式厚さ試験方法とは、物質にX線を照射するとその物質中に含まれる元素に固有のX線が放射され、無電解ニッケルメッキの膜厚を既知の試料との蛍光X線量を比較することによって無電解ニッケルメッキの膜厚を測定できる試験方法です。
金属、非金属上の比較的薄い無電解ニッケルメッキの膜厚測定に利用されます。
蛍光X線量の選別方式によって波長分散型とエネルギー分散型の2つの方式があり、無電解ニッケルメッキを施す製品によっては測定できない場合もあるので確認が必要となります。
デジタルマイクロメーターによる試験方法とは
デジタルマイクロメーターによる試験方法とは、外径、内径などの寸法を測定できる精密測定機器で、無電解ニッケルメッキ前・後の寸法の差を測定することで無電解ニッケルメッキの膜厚を測定する方法です。
板厚であれば表裏両面無電解ニッケルメッキ分厚くなるため、片側の無電解ニッケルメッキの膜厚はトータル膜厚÷2で片側の無電解ニッケルメッキの膜厚を算出します。
※無電解ニッケルメッキ皮膜のように均一にメッキ処理される方法に限る測定方法になります。
質量計測による無電解ニッケルメッキ皮膜付着量試験とは
質量計測による無電解ニッケルメッキ皮膜付着量試験とは、無電解ニッケルメッキの皮膜重量から膜厚を測定することが出来ます。
皮膜重量の測定には小数点以下3桁(0.000)まで秤量可能な電子天秤にて測定し、無電解ニッケルメッキ前・後の重量を電子天秤にて測定します。
測定した結果を下記の計算表に当てはめて計算します。
無電解ニッケルメッキ皮膜重量(g) = 無電解ニッケルメッキ後重量(g) - 無電解ニッケルメッキ前重量(g)
無電解ニッケルメッキ膜厚(μm) = 無電解ニッケルメッキ皮膜重量(g)/製品表面積(cm2)/無電解ニッケルメッキ比重(g/cm3)×10000
断面観察による測定試験とは
断面観察による測定試験とは、無電解ニッケルメッキを施した製品を切断し、断面を観察測定することで無電解ニッケルメッキの膜厚を測定する方法です。
実際の膜厚を実測で測定できる方法ですので、蛍光X線やデジタルマイクロメーターなどでの測定値が正しい値か確認するための検証測定としても利用しております。
デメリットとしまして製品を切断する必要があるため、破壊試験となり破壊ができない案件などには不向きな内容となります。
無電解ニッケルメッキ膜厚精度
Φ5×200mmの細長いアルミニウムのパイプの内面に無電解ニッケルメッキを施し、パイプを切断し実際の膜厚を断面観察にて測定した結果、パイプの入り口付近の膜厚は15.20μmに対し、パイプ中央部15.48μmとほぼバラツキのない均一と言えるレベルの膜厚となっておりました。
1μm(マイクロメートル)は、1000/1mm肉眼では確認できないかなり極小の単位です。弊社の無電解ニッケルメッキであれば、これほど精度の高い均一な膜厚を実現することができます。
膜厚測定以外のメッキ皮膜評価テスト
膜厚測定以外にはどのような評価方法があるのかご紹介
膜厚測定以外にもメッキ皮膜を評価する項目は色々あります。
ビッカース皮膜硬度測定(単位はHVになります。)
メッキ皮膜密着強度試験(テープテスト、ピール強度試験などがあります。)
耐食性試験の詳細はこちら(中性塩水噴霧試験、酢酸塩水噴霧試験、キャス試験などがあります。)
その他にも仕様に応じたメッキ皮膜の評価テストがございます。
お急ぎの方はこちら 直通電話 090−6819−5609
【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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