めっきの役割は、材料の表面に新しい機能を与えて付加価値を高める事です。 アクセサリーなどの装飾品には装飾めっきが使用されます。装飾メッキには金、銀、白金、ロジウム、パラジウムなどの貴金属やその合金メッキが使用されています。
これらの装飾メッキの特徴をご案内します。
■INDEX■
1.装飾メッキ

1.1.金メッキ
金メッキは化学的に安定で、ほとんど酸化されないため長期間にわたり美しい黄金色を維持することができます。
また、銅、銀、ニッケル、コバルトなどの他の金属と合金を形成することで様々な色調を得ることが可能です。
1.2.銀メッキ
銀メッキは金属中で最も電気抵抗率が低い金属で、可視光域において90%以上の高い反射率を示す事から、LED照明の反射板などに利用されています。
銀メッキは金メッキと異なり硫黄化合物と接触する事で容易に硫化物を形成し変色することが知られています。銀メッキは抗菌性を有する事からスプーンやフォークなどに利用される場合がありますが、変色が課題です。
1.3.パラジウムメッキ
パラジウムメッキは皮膜が硬く、見た目も白く美しいことから、メガネフレームやネックレスチェーン等装飾品に利用されています。
パラジウムメッキは化学的に安定した金属であるため、美しい見た目が酸やアルカリに反応して変色することも少なく、純パラジウムメッキであれば金属アレルギーなどの心配もないことが大きな理由です。
1.4.貴金属以外の装飾メッキ
金メッキや銀メッキ、パラジウムメッキなどの貴金属以外の装飾メッキとしては、自動車の外装あるいは内装部品に使用されるクロムメッキが挙げられます。
クロムメッキ皮膜は青白い光沢外観で、皮膜硬度や耐食性に優れており、幅広い分野で利用されています。
クロムメッキが利用される自動車用外装部品としましては、ラジエーターグリル、バンパー、エンブレム、ドアハンドルなどが挙げられます。
現在これらの部品の多くは軽量化と低コスト化のため、ABS樹脂あるいはPC/ABS樹脂製であり、下地メッキとして銅メッキ/ニッケルメッキを行なった後に最終表面処理としてクロムメッキが行われます。
現在使われているクロムメッキのほとんどは六価クロムを主成分としたメッキ液が使われています。六価クロムを使用していますが、還元処理後に廃液処理を完全に行えば問題はありませんが、六価クロムを使わないクロムメッキも出てきて実用化されていますのでご紹介させて頂きます。
2.三価クロムメッキ
三価クロムメッキは150年以上前に発見された非常に古い技術です。
六価クロムを主成分としたメッキ浴から得られたクロムメッキ皮膜は純度が高く、皮膜中のクロム含有率は99%以上です。これに比べ三価クロムを主成分としたメッキ浴から得られたクロムメッキ皮膜の純度は、六価クロムを主成分としたメッキ浴から得られたクロムメッキ皮膜に比べ純度がかなり低く、金属クロム以外に炭素が皮膜に取り込まれています。
三価クロムメッキ液は浴組成が複雑で管理が難しく、特殊な陽極を必要とする事から特殊な目的での使用に限定されています。
メッキ皮膜の色味としても六価クロムメッキ浴で得られた皮膜は青白い色調に対し、三価クロム浴で得られた皮膜は黒っぽいシルバー色となります。
(皮膜の純度を調整することで六価クロム浴で得られる青白い色調に近づける事は可能です。)
現在では、この黒っぽい色調を利用し自動車の外装、内装部品などに広く利用されています。
3.装飾メッキのまとめ
装飾メッキには金メッキ、銀メッキ、ロジウムメッキ、パラジウムメッキなどの貴金属からクロムメッキ、三価クロムメッキなどが使われています。装飾目的ですので色目や光沢感などが重要な内容となります。
光沢を出す方法としては素材の研磨が重要な工程です。
装飾メッキは膜厚が1μm未満と薄いものが多く、研磨の良し悪しが顕著に影響しますので
特に重要な工程となります。
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【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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