通常無電解ニッケルメッキと言われるとニッケル-リン合金メッキを指しているのですが、
この無電解ニッケルメッキには実はニッケル-リン合金メッキ以外にもニッケル-ホウ素合金メッキなどもあるんです。
今回アルミニウム合金(A6061)に無電解ニッケル-ホウ素(Ni-B合金メッキ)合金メッキ処理のご依頼がございましたので対応させて頂きました。
無電解ニッケルーホウ素合金メッキの歴史
無電解ニッケルーホウ素合金メッキ(Ni-B合金メッキ)は1958年頃Du Pont社とBayer社の2社が個別に研究を進めていましたが、1965年にニボダー法として公表されました。
この方法で処理された無電解ニッケルーホウ素合金メッキのホウ素の共析量は6~7wt%で、析出した皮膜は非晶質で析出状態でかなり高い硬度(500~750HV)を示しており、熱処理ができない部品の耐摩耗性や表面硬度強化の目的で使用されています。
無電解ニッケル-リンと無電解ニッケル-ホウ素何が違うの?
無電解ニッケルーリンと無電解ニッケル-ホウ素の処理方法などの違いにはこんなものがあります。比較してみました。
1.メッキ液が全く異なります。
無電解ニッケルメッキには還元反応を起こすための還元剤というものを入れておりますが、
この還元剤が違います。
ニッケル-リン合金メッキの場合は次亜リン酸ナトリウムを還元剤として使用。
ニッケル-ホウ素合金メッキの場合はジメチルアミンボラン(DMAB)などを還元剤として使っています。
2.処理温度の違い
ニッケルーリン合金メッキの処理温度は通常90℃で処理
ニッケルーホウ素合金メッキの処理温度は通常60℃で処理と30℃も違います。
3.析出速度の違い
ニッケルーリン合金メッキは1時間あたり20μm程度
ニッケルーホウ素合金メッキは1時間あたり6μm程度と1/3以下となります。
4.皮膜硬度の違い
ニッケルーリン合金メッキは析出状態で500~700HV、熱処理を行うと最大で950~1000HVとなります。
ニッケルーホウ素合金メッキは析出状態で700HV程度、熱処理を行う事で最大1000~1300HV程度となります。
また、ニッケルーリンの場合400℃程度で熱処理を行いますと表面が酸化し色の変色がみられますが、ニッケルーホウ素の場合、400℃程度の熱処理では熱処理での変色はございません。
まとめ
比べてみるといろいろ優れた点のあるニッケルーホウ素合金メッキですが、析出速度が遅い、メッキ液自体が高価、液のランニングが短いなどデメリットがあることからニッケルーリン合金メッキに比べ処理コストアップになるため使用分野が限定されております。
デメリットもありますが、熱が加わった際に変色しない(酸化しづらい)などの点から
接触関係やセンサー関係など特性が必要な部分に使用頂いております。
また、処理温度自体が低い、熱処理を行わなくても皮膜硬度が高いなど他にも優れた点が
ありますので、今後使用の範囲が広がっていくと思われます。
200×150mmサイズまでは処理実績がございます。
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