(1)電離
電気めっきは電流の化学作用による電気分解である。水に電解質である硫酸銅を溶かすと
CuSO4 → Cu2+ + SO42-
となります。
このように液の中でイオンを作ることを電離といいます。
(2)pH(水素イオン濃度)
溶液が酸性かアルカリ性かを知るには、リトマス試験紙やpH試験紙が用いられますが、酸性・アルカリ性の強弱の度合を知るには水素イオン濃度を知ることが必要です。
酸性溶液では〔H+〕が大きく、アルカリ溶液では〔OH-〕が大きくなります。
この〔H-〕と〔OH-〕を14段階に分けこれをpHで表します。
PH 1 2 3 4 5 6 ⑦ 8 9 10 11 12 13 14
酸性 中性 アルカリ性
(3)水素ぜい性
鉄鋼材を酸で洗ったり、メッキ処理を施したりすると水素が発生し、この水素が結晶粒子間に入って吸蔵され、鉄をもろくします。
このような状態を水素ぜい性と言います。
この水素ぜい性は、200℃前後に加熱すると水素を放出して除去することが出来ます。
(4)界面活性剤
溶液中に界面活性剤を加えると表面張力が低下するので、固体と液体とが良くなじみます。めっき液に界面活性剤を添加すると表面張力が下がり還元反応で発生する水素ガスが表面から離れやすくなりピットの発生を抑制することが出来ます。
また、脱脂液や酸洗い液も界面活性剤を使うことで金属表面の親水性を高め脱脂や酸処理の効果を高めることが可能です。
(5)ストライクめっき浴
密着性が良好で均一な薄いめっきを高い電流密度で処理することをストライクめっきといいます。
ストライクメッキは、鉄、亜鉛ダイカストまたはアルミニウム素地上へのシアン化銅ストライクやステンレス鋼上へのウッドニッケルストライクめっきがあります。
(6)M比、R比
シアン化亜鉛めっき液における亜鉛とシアン化ナトリウムと水酸化ナトリウムの三
者の関係をM比、R比で表わす。
ただし(N)は規定度
M比が大きくなれば、つき回りがよくなるが、電流効率が悪くなり、M比が小さくなれば電流効率は良くなるが、つき回りが悪くなる。
シアン化亜鉛めっき浴の良好なM比は1.5~3.0
(7)ピット(巨視的な穴)
メッキ処理を行うと製品側から水素ガスが発生します。
発生した水素ガスがめっき製品に付着し離れなかった場合、その部分が凹状のめっき状態となるが、これをピットといいます。
ピットを防ぐ方法としては、界面活性剤を使用し表面張力を下げる、空気撹拌を行って水素ガスを物理的に除くようにするなどの方法があります。
(8)ピンホール(貫通した小さな穴)
針で穴をあけたような小さな皮膜を貫通した穴をピンホールといい、一定の面積にあるこれ
らの孔の数を有孔度といいます。
めっきにおいてこのようなピンホールの有無や穴の数によって耐食性が左右されます。
ピンホール有無の検査方法として、フェロキシル試験や塩水噴霧試験があります。
(9)膨れ
メッキを施す製品の表面が完全に脱脂されていない場合や、さびが除去できていない状態でめっきを施すとめっきの一部または全体が膨れたり、はく離することがあります。
これを膨れとか、ビリといいます。
(10)平滑化作用(レベリング作用)
近年、光沢めっきが一般的となり、めっき液中に光沢剤を入れ、めっきの表面を少しでも平らな鏡面状態に近づけられるようになりました。
めっきに用いる素材には微小な凹凸が存在するが、この微小な凹凸をめっきによって平らにすることを平滑化作用(レベリング作用)といいます。
このような平滑化作用の良いめっき液を使用すると工程も省け、めっきの仕上がりが非常にきれいになります。
(11)補助陽極
めっき製品の中には形状が非常に複雑なものがあり、品物の内側をめっきするような場合は、電流がすべての部分に均一に行きわたるように補助的に陽極を使用してめっきを行います。このように、正規の陽極以外に、補助的に用いる陽極を補助陽極といいます。
(12)均一電着性とつきまわり
めっきをする場合に品物全体に均一な厚さのめっきがつくことが望ましいが、複雑な品物の場合、めっき液の種類によってめっきが十分つかない個所ができます。この時、均一電着性が悪いとか、つきまわりが悪いとかいいます。
また、めっきしようとする品物に電流を流した場合、電流の分布によってめっきの厚いところと薄いところが生じます。
膜厚のバラツキの少ないメッキ浴が均一電着性にすぐれているといいます。
これはめっき液の性質によっても異なりますが、電流が凸部に流れすぎるのを防ぐために遮へい板や補助陰極(逃し)を用いたり、電流の流れにくいところへ補助陽極を使用することによって改善することができます。
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