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溶融亜鉛メッキ
JIS H8641

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1. 適用範囲

この規格は,鋼材及び鋼材加工品[以下,素材(1)と総称する。]に防食の目的で施される溶融亜鉛めっきの有効面について規定する。ただし,連続的に溶融亜鉛めっきされた溶融亜鉛めっき鋼板類,亜鉛めっき鉄線類及び亜鉛めっき鋼線類は除く。 

(1) 素材の詳細は,附属書1に示す。 

(2) 有効面とは,用途のうえで重要な面をいう。また,用途のうえで重要でない面とは,例えば,めっき後,切削などの機械加工によって,めっき皮膜が除去される部分などであるが,具体的には受渡当事者間の協定によって決められるものである。 

2. 引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS H 0401 溶融亜鉛めっき試験方法  

JIS H 2107 亜鉛地金 

JIS Z 0103 防せい防食用語 

3. 定義

この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 0103によるほか,次による。 

3.1 一般  

a) 素材 溶融亜鉛めっきを施す前の鋼材及び鋼材加工品。

b) 製品 めっきを施した素材。 

c) めっき皮膜 素材上に形成された亜鉛及び亜鉛と鉄との合金からなるめっき層。めっき表面から素材表面までをいう。 

d) 付着量 単位面積当たりのめっき皮膜の質量。1平方メートル当たりの質量をグラム表示したものであり,g/m2で表示する。

 

3.2 めっき表面に見られる諸現象  

a) 不めっき

局部的にめっき皮膜がなく,素材面の露出しているもの。 

参考 不めっきが小さい場合は,周辺亜鉛の犠牲的保護作用によって耐食上あまり影響はない。保護作用の効果が及ぶ不めっき部の大きさは,実験的にはφ5.5 mm又は5 mm幅までである。 

b) やけ 

金属亜鉛の光沢がなく,表面がつや消し又は灰色を呈したもの。甚だしい場合には暗灰色となる。 

参考 この現象は合金層がめっき表面に露出したものであり,大気中での耐食性には影響ない。やけは,密着性さえ十分であれば実用上の欠陥とはならないので,外観基準を設定する場合は,この点を考慮することが必要である。 

なお,金属亜鉛の光沢は酸化の進行とともに失われ,やけの表面と類似した色調となってくる。素材の鋼製造工程(脱酸法)によってけい素含有量に違いがあり,その影響でやけの発生頻度に差が生じる。 

c) たれ 

端部又は部分的に,亜鉛が多量に付着しているもの。 

参考 一般的にやけの発生しやすい素材は,めっき温度を低くしてめっき作業をするため亜鉛の流動性が低下し,たれを発生させてしまうことが多い。たれの部分をやすりなどで研磨し,平滑面を得ようとするときは,素材表面を露出させないようにする。実用上障害とならない限りそのままにしておいたほうがよい。 

d) シーム 

素材にきずがあると,めっきしたときに,めっき表面に特徴ある線状の凹凸になるめっき。 

参考 シームは,通常めっき皮膜が形成されているのでそのまま使用しても問題はない。しかし,その面を平滑にしようとすると素材表面を露出することがある。 

e) かすびき 

表面に亜鉛酸化物又はフラックス残さが著しく付着しているもの。 

参考 一般に耐食性に影響がある。したがって,付着した場合はやすりなどで除去しておくほうがよい。

 

f) ざらつき 

微粒状の突起があり,懸濁浮遊物質(ドロス)が付着した部分。 

参考 耐食性には影響はない。 

g) きず 

めっき作業中,めっき用具とめっき表面とが接触したこん(痕)。 

参考 めっき表面のきずは,発生位置,大きさ及び深さによってその有害性を判断する必要がある。

 

h) 変色 

保管中の薬品などの付着及びめっき浴からの引上げ時に,めっき表面が変色したもの。 

参考 めっき引上げ時に生じる変色は,光の干渉・反射に起因したもので,耐食性に影響はない。

 

i) 白さび 

保管中に雨水の付着,結露などによって生じた塩基性炭酸亜鉛などの腐食生成物。 

参考 白さびによるめっき皮膜の消耗はわずかで,耐食性にはほとんど影響はない。

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4. 種類及び記号 めっきの種類及び記号は,表1による。

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5. 一般事項 

亜鉛浴の品質は,次による。 

a) 地金 亜鉛浴に使用する亜鉛は,JIS H 2107に規定する蒸留亜鉛地金1種又はこれと同等以上の品質の亜鉛地金とする。 

b) 亜鉛浴組成 亜鉛浴の純度は,作業中97.5 %以上とし,品質及び作業性の向上に有効な金属を添加してもよい。 

 

6. めっきの品質 

めっきの品質は,次による。 

6.1 外観 

めっきの外観は,受渡当事者間の協定による用途に対して使用上支障のある不めっきなどがあってはならない。また,めっき表面に現れる耐食性にはほとんど影響のない,濃淡のくすみ(やけなど)及び湿気によるしみ(白さびなど)によって合否を判定してはならない。 

備考 めっきの主目的は,耐食性にあり,美観的要求事項を満足させることではない。また,装飾の目的で施されるものでもない。めっきは表面素材を滑らかにすると考えがちであるが,素材表面より良くならないのが普通である。 
 

6.2 付着量及び硫酸銅試験回数 

めっきの付着量は,7.3の試験を行ったとき,表2に適合しなければならない。硫酸銅試験回数は,表2の試験回数とし,7.4の試験を行ったとき,JIS H 0401の6.8に規定する判定基準を満足しなければならない。

表 2 付着量及び硫酸銅試験回数

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6.3 密着性 

めっき皮膜は,素材表面とよく密着し,通常の取扱いでは,はく離又はき裂を生じないものでなければならない。7.5の試験で,ハンマ試験を行った場合,打こん間に連続した浮き上がり又ははく離があってはならない。 

6.4 仕上げ 

通常,めっきは,危険な鋭利なたれを除き,グラインダ,やすりなどを使用する仕上げは行わない。ただし,不めっき及び接合する部分のたれなど指定された用途に対して使用上支障がある場合には,受渡当事者間の協定によって,仕上げ方法を決定する。また,めっき後,塗装が行われるもの,景観材料などとして使われるものについても,事前に受渡当事者間で仕上げについての仕様を決定する。 

なお,めっき不良品の処置は,次による。 

a) 不めっき部の補修

補修を行うことができる不めっき部は,通常,製品全表面積の0.5 %までとし,各々の不めっき部分の面積は,5 cm2以下とする。 

b) 不めっき部の処置

不めっき部の面積が製品全表面積の0.5 %を超える場合,又は各々の不めっき部分の面積が5 cm2を超える不めっき部の処置については,受渡当事者間の協定によって補修するか又は再めっきするかを決める。

 備考 作業による不良品には,前処理による不良,亜鉛付着量不足による不良,外観不良などがある。これらの不良品を再めっきする場合には,前処理工程を省略し,再浸せきしても良好な亜鉛めっきが得られる場合が多い。 

c) 補修方法

不めっき部の補修方法は,高濃度亜鉛末塗料を用いるか,又は亜鉛溶射などを行う。

d) 不めっき以外の不良品の処置

不めっき以外の不良品の処置は,受渡当事者間の協定による。 

7. 試験  

7.1 試料の採取方法

試料(素材又は製品)の採取方法は,次による。 

なお,詳細な試験片の採取方法は,JIS H 0401による。 

a) 製品から試料を採取できる場合

同一材質の素材を同一の条件でめっきした製品でロットを形成し,そのロットから製品を代表する試料を抜き取る。抜き取った試料から試験片を採取する。

b) 製品から試料を採取できない場合 

製品に使われたものと同一素材から試料を採取し,素材と同時にめっきしたものを試験片とする。注文者は,めっき業者に素材と同一材質の試料及び素材の情報を提供するものとする。

 

7.2 試験片の数 

試験片の数は,受渡当事者間の協定による。 

 

7.3 付着量試験 

通常,JIS H 0401の付着量試験方法の直接法又は間接法による。ただし,めっき1種A及び1種Bには適用しない。 

なお,受渡当事者間の協定によって,JIS H 0401の磁力式厚さ試験を行ってもよい。 

 

7.4 硫酸銅試験 

めっき1種A及び1種Bの場合は,JIS H 0401の硫酸銅試験方法によって,試験を行う。

 

7.5 密着性試験 

めっき2種35〜2種55の場合で試験片が採取できる場合は,JIS H 0401の密着性試験方法により,ハンマ試験を行う。 

なお,ハンマ試験を行えない場合は,JIS H 0401の密着性試験方法に規定する目視による方法によって,通常の取扱いによるめっき皮膜のき裂又ははく離の有無を調べる。 

8. 検査 

めっきは,外観を検査するとともに,7. によって試験し,6. の規定に適合したものを合格とする。

試験片は、同一部品のロットからJIS Z9031によって抜き取る。

備考1. 検査項目及び試験方法の選択に関しては、受渡当事者間の協定による。

備考2. 試験片の数、検査順序及び検査対象箇所並びに試験片の代替使用は、受渡当事者間の協定による。

 

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9. 表示 

製品には,荷札,送り状(納品書を含む。)などに,次の事項を表示する。 

a) 規格番号及び種類又はその記号 

b) 加工年月 

c) 加工業者名又はその略号

出典:JISハンドブック

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