無電解メッキの種類、
電気メッキのメリット・デメリット
無電解メッキといえば、無電解ニッケルメッキを想像する方が多いのではないでしょうか。しかし実際のところ、無電解メッキには銅やパラジウムなどたくさんの種類があります。
無電解メッキ処理を業者に依頼する際は、このような種類とそれぞれの特徴、メリット・デメリットを知ることが大切です。
無電解メッキの種類やチェックしておくべき特性、アルミニウム製品へのメッキ処理の可否を解説します。併せて、電気メッキの特徴やメリットとデメリットについてもご紹介します。
1. 無電解メッキの種類やアルミニウムへのメッキ処理について解説
無電解メッキ処理を業者に依頼する際には、相談や見積もりの前にあらかじめ無電解メッキについて詳しく知っておくことが大切です。メッキには様々な種類があり、採用されている手法・工程、そして使われる金属によって違いが生じるのが特徴だといえるでしょう。ここでは、無電解メッキの種類や特徴、アルミニウム製品への処理についても解説します。
1.1 無電解メッキの種類
無電解メッキは、メッキ液に浸してメッキを施す際に、電気エネルギーを使わない手法として知られています。メッキ液に製品を浸漬してメッキする際、電気の力をかけない代わりに化学反応を利用して金属の皮膜を生成させるのが特徴です。無電解メッキの代表的なものでいうと、カニゼンメッキでおなじみの無電解ニッケルメッキがあります。
無電解メッキはニッケルのみ、というわけではありません。メッキには多くの種類があり、無電解メッキにも様々な金属のメッキがあります。例えば、以下のような材料のメッキも無電解で皮膜を生成することが可能です。
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銅
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パラジウム
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金
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銀
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スズ
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白金
無電解銅メッキや無電解金メッキは、実際に多くの製品のメッキ処理に採用されています。一例を挙げると、電子部品や基板などに多く利用されています。
化学メッキの化学反応には置換型、還元型などがあります。置換メッキはメッキ液にメッキを施したい製品が溶解すること、また、メッキ液に製品よりも貴(イオン化傾向の小さい)な金属イオンが存在することで成り立つ処理方法です。還元メッキには「非触媒型」と「自己触媒型」の2つの種類があり、非触媒型は製品全面にメッキ皮膜が覆うと反応が止まってしまうのに対し、自己触媒型は析出したメッキ皮膜自体が触媒となり反応が継続的に続くため、膜厚を成長させることが可能な処理方法です。
このように化学メッキ・無電解メッキは、金属の種類や処理方法など、様々な点から分類できます。無電解メッキと聞くと、メッキ液に浸漬して還元作用を利用する無電解ニッケルメッキばかりをイメージしがちですが、ほかにもたくさんの種類があることをぜひ覚えておきましょう。
1.2 アルミニウムへ無電解メッキはできる?
昨今は、多くの製品に素材としてアルミニウムが採用されています。アルミニウムでできた製品に無電解メッキを施すことは可能なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、アルミニウムにも無電解ニッケルメッキをはじめとした無電解メッキ処理は可能です。しかるべき工程を踏んで処理を行えば、アルミニウムにも問題なく無電解メッキ処理を施すことができます。
アルミニウムの製品に無電解メッキを施す際に注意しておきたいのが、処理工程が少し多くなるということです。例えば、鉄素材に無電解ニッケルメッキを施す場合とアルミニウム素材に無電解ニッケルメッキを施す場合で比較すると、工程や手間の多さ・煩雑さに大きな違いがあります。
まずは違いを比較するため、鉄素材に無電解ニッケルメッキ処理する際の前処理について、工程を整理してみましょう。
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脱脂
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電解脱脂
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酸洗
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無電解ニッケルメッキ処理
メッキ処理を行う際は、油脂を除去する脱脂処理が不可欠です。脱脂液で油脂を取り除き、その後さらに電解による脱脂で徹底的に表面の油脂をなくしていきます。次に酸洗(酸活性・酸中和)を行い素材表面の酸化皮膜や錆を除去し、メッキ処理を阻害するものが表面に残っていない状態にします。これらの工程を踏むことで、製品への無電解メッキ処理ができ、密着性の確保にも繋がるのです。
では続いて、アルミニウム素材に無電解ニッケルメッキ処理する際の工程を整理していきましょう。
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脱脂
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エッチング(表面粗化)
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脱スマット(デスマット、スマット除去)
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ジンケート(亜鉛置換)
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硝酸浸漬(ジンケート剥離、亜鉛置換剥離)
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ジンケート(亜鉛置換)
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無電解ニッケルメッキ処理
ざっと見るだけでも、工程の多さに違いがあることがわかるでしょう。また、アルミニウム素材への前処理で使用する薬品と、鉄素材への前処理に使われる薬品とは異なります。そのため、メッキ処理業者によっては、無電解ニッケルメッキ処理自体には対応しているものの、アルミニウムには対応していないということも少なくありません。
アルミニウム製品の無電解ニッケルメッキ処理を業者に依頼する場合は、対応の可否はもちろん、アルミニウムのメッキ処理について実績があるかどうかを前もって把握しておく必要があります。
2. 電解メッキのメリットとデメリット
無電解メッキ処理とは、電気を使わない方法であることをご紹介しました。これに対して電気メッキ・電解メッキとは、電気を使ったメッキ処理方法です。ここからは、電気メッキのメリットとデメリットを解説します。
2.1 メリット
電解メッキとは、電気分解によってメッキを施す方法です。無電解メッキの場合は、電気を使わないため無電解メッキ・化学メッキと呼ばれますが、電気メッキは電気エネルギーを使用していることから、電気メッキ・電解メッキと呼ばれるのが特徴です。
電気メッキにも様々なメッキ種があり、金や銅、亜鉛、ニッケルなどメジャーな金属が材料として使用されています。用途も幅広いのが特徴です。では、電気メッキのメリットはどのような点でしょうか。チェックしておくべきポイントは以下のとおりです。
ここからのメリットは電気ニッケルメッキのメリットの内容となっております。
◉耐食性が高い
まずチェックしておきたいのが耐食性の高さです。腐食・変色・さびなどの劣化を防ぐことに長けています。製品がすぐに劣化することで悩んでいる場合は、電気メッキ処理を施すことで耐食性を高めることに繋がります。
◉見た目の光沢感が特徴
電気メッキには光沢が出るというメリットもあります。光沢があるきれいな見た目を長く維持できるため、腐食や変色、さびを防ぎつつ、美しい見た目が表現可能です。実際に、装飾の用途では電気メッキが幅広く利用されています。
◉下地メッキとして耐摩耗性が高い
ニッケルメッキは、耐摩耗性が高いことでも知られています。摩耗しづらく、下地としてしっかりと役割を果たしてくれるのがポイントです。
◉低コストで発注できる
電気メッキのメリットは、無電解メッキと比較するとコスト面にも違いがあります。比較的低コストでの処理が可能となっているため、あまり高いコストはかけられない…といった場合に向いています。
2.2 デメリット
電気メッキのデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
◉膜厚の均一性を求めるのは難しい
全体的に電気メッキは、高精度を求めるのが難しい傾向にあります。電気メッキの膜厚にはどうしてもばらつきが生まれてしまうのが実情です。これには電流分布が関係しており、電気エネルギーの量で場所によって膜厚が変わってしまうためです。
もちろん、高い精度を求めることができないからこそ低コストでの発注が可能という利点もあります。しかし、膜厚の均一性にこだわりたい場合は、電気メッキにはデメリットが多いといわざるを得ないでしょう。
◉形・サイズ・材質によってはメッキできないことも
電気メッキは複雑な形には対応できないことが多く、また製品のサイズや材質の影響からメッキ処理できないことも珍しくありません。「この形のものは処理できるのか」と疑問に感じたときは、電気メッキ処理がそもそも可能なのか、あらかじめ業者に問い合わせておくことが望ましいでしょう。
3. 無電解ニッケルメッキ処理の相談・依頼は株式会社コネクションへ
無電解メッキ処理を業者に依頼する際には、特徴やほかの処理方法との違いを理解しておきましょう。また、アルミニウム製品のメッキ処理は業者によって対応していないこともあるため、あらかじめ確認しておく必要があります。
株式会社コネクションでは、無電解ニッケルメッキ処理の依頼を随時受け付けております。アルミニウム製品にも対応しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。