耐食性試験
様々な耐食性試験がある中で(中性塩水噴霧試験、酢酸塩水噴霧試験、キャス試験、フェロキシル試験)の詳細をご紹介させて頂きます。
耐食性試験
装飾めっきの耐食性の評価と基準
JIS規格では、「ニッケル及びニッケル-クロムメッキ(JIS H 8617)」と「プラスチック上の装飾用電気メッキ(JIS H 8630)」に装飾用メッキの仕様と耐食性試験の条件、使用環境条件を関連付ける形で耐食性が規定されています。一方、装飾用金メッキ(JIS H 8622)、装飾用銀メッキ(JIS H 8623)では、耐食性の基準は受け渡しの当事者間の規定によるとしています。
ニッケル-クロムメッキ及びプラスチック上の装飾メッキの規定では、耐食性を以下のように規定しています。
① 数段階の製品使用環境を定義する。
② その環境で使われるメッキの構成、最小厚さなどの仕様を規定する。
③ その環境で使われるメッキ製品が満足すべき耐食性試験を規定する。
【プラスチック上の装飾メッキの等級、構成及び最小厚さ】
【プラスチック上の装飾メッキの等級、構成及び最小厚さ】
【プラスチック上の装飾メッキの耐食性試験時間】
この規格では所定の時間、あるいはサイクルの耐食性試験を行なった後、レイティングナンバーが8以上で有ることを必要としています。
1級~5級の等級は、その仕様のメッキ製品を使用できる環境に対応しています。
例えば金メッキあるいは銀メッキを最上層に施した製品の等級は1級または2級ですので、使用環境番号の1または2の屋内環境のみでしか使用できません。
スズ合金メッキが最上層の場合の等級はニッケルメッキの種類、最小膜厚により等級が異なり、使用環境番号の1~3の使用環境に対して使用可能です。
使用環境4~5で使用するには最上層をクロムメッキにする必要があります。
雨もしくは露に濡れることがある使用環境番号3、もしくは屋外で使用できる使用はニッケルメッキが2層または3層で、膜厚を20μm以上施す必要があり、最上層はスズ-コバルト合金メッキあるいはスズーニッケル合金メッキとしたものとなります。
その上でキャス試験を16時間または1サイクル8時間の中性塩水噴霧試験を2サイクル行いレイティングナンバー8以上でなければなりません。
中性塩水噴霧サイクル試験
塩水噴霧サイクル試験装置を使用して、中性の塩化ナトリウム溶液を噴霧、乾燥、湿潤の雰囲気に順次暴露することを繰り返し行いメッキの耐食性を調べる試験方法です。
※亜鉛メッキやクロメート処理などの耐食性試験
【中性塩水噴霧サイクル試験方法の試験条件】
各条件に移行後、その条件の規定の温度及び相対湿度に達するまでの時間
【試験片の保持角度】
原則として試験片の評価対象面が垂直に対し20°(許容される範囲として15〜30°)となるように保持する。
そのほかの耐食性試験
【酢酸塩水噴霧試験】
酢酸酸性の塩水を噴霧し耐食性を調べる試験です。
pH3.1~3.3で塩水噴霧試験を行う。(pH以外は中性塩水噴霧試験に準じる)
【キャス試験】
銅塩の添加で腐食作用を促進した酢酸酸性の塩水を噴霧し、耐食性を調べる試験です。(pH3.0~3.2 50±5℃)
※最終がクロムめっきの製品に適用される。
【フェロキシル試験(有孔度試験 青色斑点)】
鉄素地上の銅-ニッケル、ニッケル-クロム、銅-ニッケル-クロムの耐食性試験です。
判定方法はレイティングナンバーにて表す。
(腐食面積により1~10で表す。10が耐食性が良い)
【中性塩水噴霧試験、キャス試験の主な試験条件(JIS H 8502)】