知っていますか?めっきを施す事が難しい金属材料と簡単に処理できる金属材料があることを。
金属材料には比較的簡単にめっき処理ができると思われがちですが、金属材料によって比較的簡単にめっき処理できる金属材料とめっき処理に工夫が必要な金属材料などがございます。
技術の進歩とともに、金属材料に対する要求機能が一層高度化する傾向にあり、金属材料の多様化が進む事でめっき処理の難しさも年々上がっております。
めっき処理を必要とする材料の変化
めっき処理を必要とする金属材料としては、最も経済的な実用材料である鉄鋼材料から、軽量化のためのアルミニウムやマグネシウム、電子材料としての42 アロイ(Fe-42%Ni 合金)や銅合金などが広く利用されています。最近では、焼結合金やチタン、タンタル、モリブデンなどの特殊金属素材へのめっき処理の検討も増加しています。
また、プラスチックやセラミックス等の非電導性素材への機能的なめっきの要望も増えております。
めっきを必要とする金属材料がどんどんめっき処理が難しい金属材料に
今回難素材と言われるタンタルにめっきをご依頼頂きました。 難素材ですので、めっきの可否を判断するために先行で条件出しを行わせて頂きました。
めっき処理が難しい(難素材)とは、めっきの密着性の確保が難しい材料です。 めっきの密着性の確保が機能性維持や品質保証の観点からも重要ですが、めっきの密着性の良否についてはいずれの素材においても基本的には素材表面にめっき皮膜が少なくとも原子レベルで全面被覆するまでに決定されますので、素材表面の前処理による清浄化や活性化及びめっき過程である各種イオンの吸着、触媒作用、結晶化過程が重要なポイントになります。
金属材料のタンタルとは??
ギリシャ神話のタンタラスにちなんで命名されたタンタルは、白金に似た外観で、展延性(素材が破断せずに柔軟に変形する性質)を持ち、加工性はタングステンなどよりも容易です。
タンタルは、耐酸性に優れており、硝酸、塩酸、硫酸、王水などに対し優れた耐食性を持っています。
タンタル材の特徴と今後の展望
タンタルの特徴はその耐食性にあり、化学的特性は貴金属に匹敵します。融点2996℃、低い熱膨張係数、比重が高いと言った特性から高融点金属に属しています。結晶構造は体心立体格子になります。柔軟性と延性がある為、深絞り、プレス、曲げと言った加工作業性は比較的高く、溶接性にも優れた金属です。しかし切削加工においては粘り気があり、切りくずが剥がれにくい性質を持っており、削るという観点では比較的難加工と言える素材です。 タンタル金属材料は、電子部品であるコンデンサや半導体の配線材料に用いられており、テレワークなどを背景としたモバイル端末や通信インフラの需要増大により着実に需要が伸びており、この傾向は今後も継続すると予測されます。
タンタルは、今後着実に需要が伸びる事が予想される材料ですが、めっき処理に対しては難素材であるため、条件だしを含め試作処理をさせて頂きました。
タンタル試作処理のまとめ
めっき処理の難素材と言われるタンタルへのめっき処理は基本的に可能です。 ただし、比較的めっき処理が施しやすい鉄鋼材料などに比べますと、材料のメーカー様によって挙動が変わりめっきの密着性が確保できない可能性があるため、前もってめっきの可否を確認する事をお勧め致します。
一般的にめっき処理が難しいとされる材料に対しても積極的に試作や条件だしなど対応しておりますので、他社で断れた案件などご相談下さい。
めっきは種類が多く、それぞれに目的や用途により使い分けを行う必要があります。
ご使用の目的など弊社の担当者に伝えて頂ければ目的に応じためっきをご提案させて頂きますのでお気軽にご連絡下さい。
お急ぎの方はこちら 直通電話 090−6819−5609
【著者のプロフィール】
1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。
30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。
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