電解ニッケルメッキの歴史
電解ニッケルメッキの歴史を少しご紹介します。
電解ニッケルメッキは、R.Boettger が1843 年に硫酸ニッケルと硫酸アンモニウムによるメッキ浴から得られた外観的に緻密なニッケルメッキが初めてであると言われています。
実際に工業的にニッケルメッキが行われたのは1869年のAdamsが初めてとされています。
1915 年には有名な0.P.Watts によるワット浴が開発されました。
その後pH管理法、低pHメッキ浴の使用、光沢ニッケルメッキ浴などが開発されています。
電解ニッケルメッキの特徴
金属ニッケルの特徴は堅くて、薬品にも強く、色調も良く変色しにくく強磁性の金属です。
ニッケルは各種の金属素地に直接密着のよいメッキができるのでメッキに利用できる金属としては最も重要な金属となっています。
ニッケルメッキの用途
ニッケルメッキの用途はクロムメッキや貴金属メッキの下地メッキとして利用されています。
またニッケルの適度な硬さや機械加工性の良さを利用して各種工業的な分野にも多用されています。
そのほか、機能めっきの分野では金、銀などが素材への拡散を防止するための下地メッキとしての利用、また強磁性も機能性で利用されています。
さらに、電鋳製品として、プラスチック成形金型、箔、各種メッシュ、ダイヤモンドドリ
ルなどの多くの用途に利用されています。
しかし、ニッケルは金属アレルギーの原因となり、特に近年ヨーロッパを中心に問題となってからは、皮膚に接する装飾部分へのニッケルメッキは減少しています。
電解ニッケルメッキの種類
1.無光沢ニッケルメッキ
無光沢ニッケルメッキは、光沢剤を添加せず処理する方法で、光沢のない外観になりますが、皮膜のつきまわり、柔軟性、耐食性、変色しないなど光沢ニッケルメッキに比べ良好な特性があるため、光沢ニッケルよりも機能的用途に使われています。
2.光沢ニッケルメッキ
光沢ニッケルメッキ浴は0.P.Watts 開発のワット浴に光沢剤を添加したものです。
皮膜の外観は光沢性のある鏡面を得る事ができ、仕上げ研磨など行わなくとも光沢のある外観が得られます。
また、光沢ニッケルメッキはレベリング(平滑化)作用が強く、クロムメッキや各種貴金属メッキともよく適合することから、これらの下地メッキとして用いられています。
光沢ニッケルメッキ皮膜には、微量ではありますが硫黄が含有されるため、無光沢ニッケルメッキに比べ耐食性が劣ります。
また、硫黄は熱脆化の原因となるため、メッキ後熱処理を行なうものについては注意が必要です。
3.半光沢ニッケルメッキ
半光沢ニッケルメッキは光沢ニッケルメッキと比べ外観美は劣りますが、耐食性は硫黄
の含有量が少ないため優れています。
また、耐食性向上を目的として、半光沢ニッケルメッキの上に光沢ニッケルメッキを重ねた2層ニッケルメッキや、2層ニッケルメッキ以上の耐食性をもたせるために、半光沢ニッケルメッキの上に高硫黄含有のトリニッケルストライクを行い、その上に光沢ニッケルメッキを行なった3層ニッケルメッキを行なう場合があります。
ニッケルは一般に硫黄含有量が多いほど標準電極電位が卑になる事から、硫黄含有量の違う皮膜を重ねるとその間に電位差が生じさせることで、硫黄含有の多い皮膜が優先的に腐食される事から2層ニッケルメッキでは、光沢ニッケルメッキ皮膜が優先的に腐食されその結果母材を守る事ができます。
3層ニッケルメッキでは光沢ニッケルメッキ皮膜が侵された後、腐食はトリニッケルメッキ皮膜で横に拡がり、半光沢ニッケルメッキ皮膜と母材は守られることになります。
(二層ニッケルメッキの厚さは20μm 以上でないと防食効果は少ないとされています。)
半光沢ニッケルメッキは、ワット浴に半光沢剤を添加して得られます。
半光沢剤は大別するとクマリン系と非クマリン系とがありますが、クマリン系は優れたレベリング作用があるが、臭気が強いので作業環境上好ましくなく、また、分解生成物のメリロット酸を生じ、液管理も頻雑なため最近ではほとんど使用されなくなりました。
まとめ
電解ニッケルメッキには、無光沢ニッケルメッキ、半光沢ニッケルメッキ、光沢ニッケルメッキなどに分けれられ用途によって使い分けがされている。
同じニッケルメッキであっても外観の違いだけでなく、耐食性やその他の特性で異なる点が出てくる。
これらの事から求めておられる目的や用途によってニッケルメッキを選定する必要があるため、めっき専業社に目的や用途を伝え提案や過去のデータを得ながら設計・設定を行う必要がございます。
めっきに関するお問い合わせやご質問などございましたら、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡下さい。
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