無電解メッキとは
無電解メッキは文字通り外部電源を必要としないメッキ法です。
外部電源を用いない金属析出法としては、金属の標準酸化還元電位(イオン化傾向)の差によって生じる置換(浸漬)メッキと還元剤を利用する化学還元メッキの2つが良く知られていますが、前者の置換メッキの代表例としましては、硫酸銅水溶液中における鉄片上への銅の析出があります。
この反応は、イオン化傾向の卑な金属(鉄)とイオン化傾向の貴な金属(銅)の間で電子の授受が行われることによるもので、式で示せば次のようになります。
Fe + Cu2+ → Fe2+ + Cu (1)
置換メッキは、表面が析出した金属で覆われると反応が停止するため、極めて薄い皮膜しか得られません。
また、置換メッキで得られる皮膜は素地との密着性に乏しい点が欠点です。
化学還元メッキは、金属イオンが還元剤によって還元析出するものであり、析出金属が還元剤の反応に対して触媒作用を有することに最大の特徴があります。
この自己触媒作用により金属析出反応は連続的に進行しメッキ皮膜が成長します。
現在、広く工業的に利用されている無電解ニッケルメッキや無電解銅メッキはこうした自己触媒型化学還元メッキです。
自己触媒作用を有する金属としては、Ni,Co,Fe,Cu,Ag,Au,Rh,Pd,Ptなどが知られています。
化学還元メッキの特徴
形状の不規則な表面に均一厚さのメッキ皮膜が得られる。
プラスチックやセラミックなど不導体上に直接メッキできる。
各種の機能特性を有するメッキ皮膜が得られる。
無電解Ni-Pメッキ
無電解メッキ浴は、金属塩と還元剤からなる基本組成に錯化剤、pH調節剤、pH緩衝剤、安定剤、促進剤、改良剤などが添加されて構成されています。
無電解Ni-Pメッキは、次亜リン酸塩を還元剤とするもので、通常は酸性浴が多く使用されれていますが、プラスチックへのメッキ処理には低温タイプのアルカリ性浴が用いられています。
無電解Ni-Pメッキの主な特徴
メッキ膜はNi(ニッケル)とP(リン)の合金で、Pの含有率は2~14%程度
メッキ状態でビッカ-ス硬度(HV)500程度、熱処理によりビッカース硬度(HV)1000に硬化する。
耐磨耗性は、電気ニッケルより優れている。
鋼を素地とする耐食性は、電気ニッケルめっきより良好である。
リンの含有率の増加とともに磁性は減少し、8%以上で非磁性となる。
無電解Ni-Pは自動車工業ディスクブレーキ、ピストン、シリンダ、ベアリング、精密歯車、回転軸、カム、各種弁、エンジン内部などに硬度、耐摩耗性、焼き付防止、耐食性、精度などの目的に使用されています。
無電解Ni-Bメッキ
ジメチルアミンボラン(DMAB)やテトラヒドロホウ酸ナトリウム(水素化ホウ素ナトリウム)を還元剤として無電解Ni-Bメッキが得られます。
無電解Ni-Bメッキは、無電解Ni-Pメッキと比較して、融点が高い、はんだ付け性が良好であるなどの特性を有し、電子部品用途に用いられています。
デメリットとして還元剤が高価であるため、無電解Ni-Bメッキ浴の使用量は無電解Ni-Pメッキに比べ非常に少ないです。
無電解Ni-Bメッキの主な特徴
メッキ膜はNi(ニッケル)とB(ホウ素)の合金であり、B(ホウ素)含有率は0.1~0.6%
B含有率約3%以上で非晶質。
非晶質皮膜は300~400℃で加熱すると結晶化。B含有率が高いほど非晶質構造の熱安定性が優れている。
硬度はメッキしたままの状態でHv700~800を示し、熱処理を行う事でHv1200~1400
B含有率が高いほど優れた耐食性を示す。7%B含有無電解Ni-Bメッキは電気ニッケルメッキより耐食性に優れますが、無電解Ni-Pめっきと比較すると耐食性は劣る。
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