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第13節 複合メッキってどんなメッキ??

複合メッキ(コンポジットメッキ)とは、電気メッキや無電解メッキ(化学メッキ)によ

る析出金属のマトリックスの中に微粒子や繊維状の複合物質を含む皮膜です。





複合メッキの種類

複合メッキの種類としては、メッキ法の違いにより次のように分類できます。

  1. 微粒子を分散材とし、メッキ液中に懸濁させる方法。

  2. メッキ処理する表面に粒子を沈降させておき、析出金属により粒子を埋めこんでゆく沈降共析法と呼ばれる方法。

  3. 長繊維をメッキ中に埋めこんだり、巻き付けたりしてメッキ皮膜に取り込む方法。

なお、得られたメッキ皮膜は1.2の方法では複合メッキで、3の方法で得られたメッキ皮膜は繊維強化複合メッキと呼ばれています。


複合メッキ皮膜は、メッキ浴中で連続的に成長する金属表面に分散粒子が衝突して吸着し、析出金属によってメッキ皮膜中に埋め込まれ生成するものです。

金属と共析出した粒子は金属マトリックスの中で不規則に分布した分散層となります。

繊維強化複合メッキでは、巻き付けられて長繊維の規則的な配列が認められます。金属と共析出した分散粒子は一部分が金属の中に埋め込まれ、残りが皮膜の表面に露出した状態にあなります。

複合メッキ皮膜の特性は、このような表面粒子の性質や皮膜内部粒子の作用により得られ、たとえば、自己潤滑性皮膜や蛍光性皮膜では皮膜表面に半分露出した粒子が潤滑性や蛍光特性と金属皮膜の相乗効果が得られます。


複合メッキの処理方法

  • 素材(母材)に直接メッキ

  • 下地に他のメッキを施してから複合メッキ

  • 複合メッキの上に異なるメッキを施す

複合メッキに用いられるマトリックス金属としてはニッケルメッキが非常に多い。

これはニッケルメッキ皮膜はある程度の硬さ、メッキ条件も複合メッキに適しているためとです。

そのほか、無電解ニッケルメッキ、銅メッキ、クロムメッキ、亜鉛メッキなどがマトリックス金属として使用されています。

分散させる粒子はPTFE、アルミナ、シリコンカーバイト、二硫化モリブデンなどが分散材として使用されております。


複合メッキ処理のポイント

(1)分散粒子

分散粒子の条件はメッキ浴中で安定で、なおかつ溶解しないものとなります。

また、不純物を含まない高純度で、粒径はできるだけ細かいものが望ましい。とくに、比重の大きな粒子であるとメッキ液中で沈んでしまい共析出来ない。

また、粒径が大きくなることも共析を困難にします。

粒径のばらつきのないことも重要である。分散粒子はメッキ液中で親水性でなければ均一に分散することが難しいです。

したがって、PTFEのような疎水性の粒子の場合には界面活性剤を用いて親水性を持たせ、メッキ浴中に均一に分散させるかが重要です。分散粒子の多くは非電導性ですが、電導性の粒子を用いているものもあります。電導性粒子の場合には粒子にメッキが付着する場合があり、外観を損なうことがあるので注意が必要です。


(2) 攪拌

複合メッキでは分散粒子を均一にカソード(製品)面に衝突させるために、分散粒子をメッキ浴に均一に分散させるために非常に重要です。製品に均一に粒子を衝突させるために製品に合った攪拌方法を採用しています。

工業的に生産する場合、均一に攪拌することが製品の出来上がり具合を左右します。


(3) 電流密度

複合メッキでは、カソード(製品)電流密度が増すと共析量が増す場合や逆に減少する場合があります。金属の析出速度が増すとともに粒子-カソード間での結合速度も速くなるので、電流密度が増すとともに粒子の共析速度は増大します。

一方、電流密度が高くなるにつれて、水素の発生が多くなり、そのために粒子の電極表面

は粒子カソードの吸着が阻害されて、共析量が減少する場合もあります。


複合メッキの実用化例

1.複合メッキによる耐食性の向上

鉄素材に防食と装飾の両方の目的で銅メッキ→ニッケルメッキ→クロムメッキ、あるいは半光沢ニッケルメッキ→光沢ニッケルメッキ→クロムメッキする方法が一般的に用いられています。自動車のバンパーのように屋外で使用される部品にはさらに耐食性が要求されるために、クロムメッキをマイクロポーラスにするメッキ方法が採用されています。マイクロポーラスクロムメッキが高耐食性が得られる理由としては、クロム表面の微小なポアー(孔)により、ニッケルの露出面積を増大させ、腐食電流を分散させるためであると考えられています。


マイクロポーラスクロムメッキを得るための方法としては、クロムメッキ液中にグラファイトを添加してマイクロポーラスにする方法と、光沢ニッケルメッキ後にニッケルメッキ浴中に微粒子を懸濁させて薄い複合ニッケルメッキを行い、その上にクロムメッキを施してマイクロポーラスにする方法の二つの方法があります。クロムの複合メッキにより、マイクロポーラスクロムメッキを得る方法はクロムメッキ厚さを厚くしなければなりません、クロムメッキの電流密度依存性が大きいなどの理由で安定したマイクロポーラスクロムメッキが得られにくいため、あまり用いられていません。一方、ニッケルの複合メッキはマイクロポーラスクロムメッキを得るために多く用いられています。

ユージライト社よりジュールニッケルメッキ(ニッケルシールとも称する)として市販されています。分散させる粒子としては、0.02μm程度の大きさのシリカ、アルミナ、カオリン、硫酸バリウムなどです。


ジュールニッケルメッキ処理のポイント

①均一な攪拌を行うようにすること。

②めっき液の濾過ができないため、不純物の持ち込みを注意すること。

③めっき浴中の粒子がアノードを覆いやすく、アノードバッグをつまらせやすいので注

意すること。


その他亜鉛メッキにアルミニウム粉末を分散させて耐食性を目的とした複合メッキを利用されている例がございます。


2.表面外観の変化

硫酸銅メッキ、光沢ニッケルメッキなどのように光沢とレベリング作用の優れたメッキが一般に用いられています。最近の傾向としてギラギラした鏡面光沢以外の処理が好まれ、ハーフトーン、渋い色調の外観が好まれるようになってきました。古くから行われている梨地面を得る方法としては、素材をエッチング、サンドブラストによりあらす方法がありますが、加工する製品を一つずつ加工しなければならないこと、均一な梨地が得にくいことなどの欠点があります。これらの欠点を解消するために複合メッキにより、梨地面を得る方法が開発され用いられています。


(1) 非電導性粒子を共析させる方法

ワットニッケルメッキ浴にサッカリンのような一次光沢剤と共に1~5μmの粒径の硫酸バリウムやシリカのような非電導性粒子を添加し、ニッケルメッキと共にこれらの粒子をメッキ皮膜中に取り込み梨地面を得る方法です。

懸濁させる粒子の大きさにより、表面粗さが異なる皮膜が得られます。主な用途としては、反射防止性が要求されるような製品に適用されています。


(2) 界面活性剤のエマルジョンによる方法

ニッケルメッキ浴中に温度が上昇すると分解してエマルジョン(乳化)を形成する界面活性剤を添加し、このエマルジョン(乳化)によりニッケルメッキ表面に梨地を形成させる方法です。

この方法により得られるめっき表面は先に述べた非電導性粒子を添加する方法により得られた皮膜より均一微細です。丁度ビロード状の外観を示すので、オーディオ部品や自動車の内装部品、弱電部品に多用されています。

工業的にはシェーリング社のベロア、上村工業株式会社のパールブライトとそれぞれ名付けられためっき浴があります。

ABS樹脂製のドアノブにはこのメッキが多く適用されています。このメッキの上にスズ-ニッケル合金メッキ、スズ-コバルト合金メッキ、スズ-ニッケルー銅合金メッキを施すと、光沢ニッケルメッキ上にこれらの合金メッキを施すのとは異なった外観になります。


複合メッキの耐食性について

耐摩耗性、あるいは耐摩擦性を目的とした用途に複合メッキが用いられることは非常に多く、とくにマトリックスとしてはニッケルメッキが用いられることが多い。最近は無電解のニッケルメッキもマトリックスとして、使用されることが多くなってきました。

これは熱処理することにより、硬さの高い皮膜が得られるからである。電気メッキによるニッケル-リン合金メッキをマトリックスに選択する場合もある。

ニッケル以外では銅、鉄、クロム、コバルトなどがマトリックスとして用いられる。分散剤としてはSiC、BN(窒化ホウ素)、アルミナ、ダイヤモンドなど比較的粒子の硬さの高いものが選択されています。


ニッケル/SiCの複合メッキは耐摩耗性が優れていることから自動車用のエンジンシリンダーに適用されています。たとえば、ドイツではNikasil(ニカジル)法と呼ばれる複合メッキがアルミニウムシリンダーのメッキに用いられています。

また、日本では鈴木自工(株)が1970年頃より、複合メッキを採用し、水冷用ローター、二輪車の空冷用シリンダーにはNi/SiC複合メッキが行われており、軽トラック用2サイクルエンジン、雪上車用空冷シリンダーにはNi-P-BN、Ni-P-SiCの複合メッキがそれぞれに行われています。

ダイヤモンドの粒子をニッケルメッキ皮膜中に複合させて、砥石、グラインダーホイール、歯科用研削針などに応用されています。


複合メッキの潤滑性について

潤滑性も複合メッキの特性として期待されている性質です。ニッケル、あるいは銅をマトリックスとして、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化黒鉛、四フッ化エチレン樹脂などが用いられています。

用途としては、軸受け、シャフト、シリンダー、歯車などで、特に焼き付きの起こり易い金属どうしの組み合わせのときに用いると効果的です。


複合メッキの機能について

プラスチック、ゴムの成型用金型に対する型離れを良くするためのニッケル/四フッ化エチレン樹脂複合メッキ、塗膜の接着性を良くするための亜鉛/シリカ複合メッキ、高温時の耐摩耗性を改良するため連続鋳造用モールドなどに用いられているニッケルーリン/SiC複合メッキ、耐熱性を得るためのニッケル/アルミニウム複合メッキ、装飾性を付与するためのニッケル/蛍光染料複合メッキなど新たな機能を求めて、複合メッキが検討されています。導電性、反射防止性、触媒活性、多孔性などの機能も複合メッキにより得られています。


複合メッキまとめ

複合メッキは、新しい機能を求めて多くのところで使用されるようになってきました。

まだ、種々の特性については十分把握されていない面が多いが、実際の製品に適用した場合の利点、欠点についてはこれから集積して行く必要があります。





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